ブルーノ・タウトが手掛けた「旧日向家別邸」修理完了 熱海、27日から公開 国重要文化財、社交室などに工夫随所

 熱海市は19日、大規模な保存修理事業が完了した熱海市春日町の国重要文化財「旧日向家熱海別邸」の報道向け内見会を開いた。同邸は、ドイツの世界的建築家のブルーノ・タウト(1880~1938年)が日本に残した唯一現存する建築作品。市は27日に一般公開を再開する。

自然と調和し、視覚的な工夫が施されている社交室=熱海市春日町の旧日向家熱海別邸
自然と調和し、視覚的な工夫が施されている社交室=熱海市春日町の旧日向家熱海別邸

 同邸は、急斜面に建てられた木造2階建ての上屋と、土留めの代わりに造られた鉄筋コンクリート造りの地下室で構成する。
 タウトが手掛けたのは地下室で、ダンスや卓球などが行われた社交室をはじめ、洋風客間、日本間などがある。社交室には105個の裸電球がつるされている。床板や天井板が描く線を含め、部屋の北東側に向かって広がって見えるように工夫されている。
 内装にキリやタケを多用し、ハギを用いた簀戸(すど)もはめ込まれている。同邸ガイドで駿河台大名誉教授(ドイツ文学研究)の太田隆士さん(69)は「視覚的なダイナミックさと、家の中と外のつながりが感じられる造りになっている」と解説した。
 同邸は雨漏り対策や耐震補強などのため、2018~21年に往時の建材をできる限り使って保存修理した。総事業費は約3億円。市生涯学習課の小川朋宏主幹は「建物の素晴らしさ、技術力の高さを後世に伝えていきたい」と話した。
 入館は完全予約制。開館日は水、土、日曜と祝日。4シフト制で1回の上限は10人。予約は市ホームページからアクセスできる専用サイトで受け付ける。

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