木造住宅耐震化「TOUKAI-0」問い合わせ増加 静岡県、市町の連携プロジェクト 25年度末終了「早めに相談を」

 能登半島地震を受け、静岡県と市町が連携して実施している木造住宅耐震化プロジェクト「TOUKAI(東海・倒壊)-0」に関する県民の問い合わせが増えている。能登半島地震の犠牲者の多くが家屋倒壊による圧死で亡くなったとみられることが、県民の危機意識に影響している状況がうかがえる。2025年度末にプロジェクトが終了するため、県の担当者は「未対応の人は早めに相談を」と呼びかけている。

静岡県庁
静岡県庁

 プロジェクトは1981年以前の旧耐震基準で立てられた木造住宅を対象に、市町が窓口となって無料で耐震診断を行い、耐震補強工事費も助成する。県によると、2001年度の開始から22年度末までの耐震補強助成件数は累計2万6548戸に上る。耐震化率は89・3%(18年度時点)。
 無料診断は24年度、耐震補強工事費助成は25年度で終了する予定で、県は25年度末までに累計3万戸、耐震化率95%を目指している。ただ、跡取りがいない、資金がない―などの理由で耐震化に消極的な高齢者世帯が多く、助成件数は頭打ちになりつつあった。
 しかし能登半島地震を受け、県民の意識に変化が表れているという。磐田市では、昨年12月の1カ月間で6件だった無料耐震診断の申し込みが、今月1日の地震発生から15日までに9件あった。浜松市でも通常は「週に1~2件」だったが、地震後の約1週間で10件以上あった。担当者は「被災地の映像を見て不安になった人や、自宅の改修を考えていた人の背中を押したのでは」と指摘する。
 プロジェクトは国、県、市町が事業費を負担して実施している。無料診断の申し込みが今後も増えることを見据え、複数の自治体から県費負担の増額を要望する声が上がっている。県建築安全推進課の担当者は「極力要請に応えられるようにしたい」と話し、「今こそ、住宅の倒壊から命を守る対応を講じてほしい」と強調した。
 (政治部・豊竹喬)

 穴水、七尾 建物40%「危険」静岡県と5市派遣の技術職員判定
 県は23日、能登半島地震で被災建築物の応急危険度判定支援のため、石川県穴水町、七尾市に派遣した県と5市(静岡、沼津、富士、富士宮、焼津)の建築技術職員の活動実績を発表した。6日から18日までに計42人が1692棟を調査した結果、立ち入ることが「危険」と判定された建物が、木造を中心に全体の40%に上った。「要注意」の建物も全体の29%を占めた。
 調査対象の内訳は、木造1519棟、鉄骨造り135棟、鉄筋コンクリート造り38棟。危険と判定されたのは、木造が629棟、鉄骨造りが41棟、鉄筋コンクリート造りが11棟だった。
 穴水町で判定作業に当たった県建築安全推進課の担当者は「1981年以前の旧耐震基準で建てられ、屋根瓦が重い木造住宅の被害が目立った」と振り返った。比較的新しい住宅でも外壁が損壊したり、境界のブロック塀が崩れたりした場所が散見されたという。
 本県で想定される南海トラフ巨大地震などに備え、担当者は「耐震診断を受けていれば、いざという時の行動をイメージできる」と指摘。旧耐震基準の家に住んでいて耐震診断を受けていない人は、県の木造住宅耐震化プロジェクト「TOUKAI(東海、倒壊)―0」による無料耐震診断の利用を呼びかけた。

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