文豪坪内逍遥の遺徳しのぶ 熱海で命日に記念祭

 熱海ゆかりの文豪、坪内逍遥(1859~1935年)の命日に当たる28日、熱海市昭和町の起雲閣で「第52回逍遥忌記念祭」(市、熱海稲門会など主催)が開かれた。市や早稲田大関係者らが出席し、熱海の文化芸術の発展に貢献した逍遥の遺徳をしのんだ。

坪内逍遥の功績を解説する紅野特任教授(右)=熱海市昭和町の起雲閣
坪内逍遥の功績を解説する紅野特任教授(右)=熱海市昭和町の起雲閣


 熱海で晩年を過ごした逍遥は、市歌を作詞したほか、図書館創設時に大量の蔵書を寄贈するなど地域に大きな足跡を残した。式典では斉藤栄市長、熱海稲門会の森田金清会長、早稲田大坪内博士記念演劇博物館の岡室美奈子館長がそれぞれ逍遥に宛てた「お慕いの言葉」を述べた。
 日本大文理学部の紅野謙介特任教授の記念講演も行われた。紅野特任教授は、言文一致運動の先駆者である逍遥の功績により「微細な心の動きが手に取るように描かれるようになった」と解説。現代は感情をいくつかの形容詞でしか表せない人が増えているとし、「心の渇きや魂の震えを表す言葉を探ることが大切。逍遥がやってきたことを振り返ってほしい」と語った。
 (熱海支局・豊竹喬)

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