三保松原「羽衣の松」付近の砂浜 静岡県、海岸保全施設に指定へ

 静岡県は19日、世界遺産富士山の構成資産の一つである三保松原(静岡市清水区)のシンボル「羽衣の松」付近の砂浜を海岸保全施設として23日の「富士山の日」に指定すると発表した。県によると、都道府県知事が海岸保全施設に砂浜を指定するのは全国初という。

海岸保全施設として知事指定される砂浜=2023年12月17日、静岡市清水区(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
海岸保全施設として知事指定される砂浜=2023年12月17日、静岡市清水区(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)

 指定エリアは、羽衣の松付近の南北200メートル、東西73メートル。海岸保全施設は堤防や突堤といった構造物が一般的だが、1999年の海岸法改正で砂浜も指定可能になった。指定された施設は、国から災害復旧費の補助が受けられる。
 県河川海岸整備課によると、三保松原周辺は昭和50年代に浸食が目立ち始め、県は1983年から砂を投入して砂浜の復元を図る「養浜(ようひん)」などの対策を続けてきた。2000年に潮流で砂浜が削られるのを防ぐL型突堤を整備してからは、海岸線が安定しているという。
 担当者は「長年続けてきた対策の成果が表れている。今回の指定範囲は一部に限られるが、富士山の世界遺産登録10周年を機に『守られた砂浜』として全国に発信したい」と述べた。その上で、「景観に配慮し、できるだけ構造物に頼らずに砂浜本来の消波機能などが発揮されるよう、水面下も含めて適切に管理していきたい」と話した。

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