災害現場の測量 スマホで省力化 静岡県取り組み「優秀政策」に

 スマートフォンなどのモバイル端末を使って3次元点群データを構築し、災害現場の測量や図面作成などの省力化を図る静岡県の取り組みがこのほど、全国知事会の「先進政策バンク」の優秀政策(デジタル部門)に選ばれた。小規模な現場であれば、職員1人でも現場の情報を正確に読み取ることができ、予算や時間の大幅な縮減も可能。自然災害が頻発する中、県の担当者は「市町でも活用してほしい」と期待している。

タブレット端末を用いて護岸の3次元点群データを構築する静岡県職員=川根本町(県提供)
タブレット端末を用いて護岸の3次元点群データを構築する静岡県職員=川根本町(県提供)
3次元点群データを基に作られた画像(静岡県提供)
3次元点群データを基に作られた画像(静岡県提供)
タブレット端末を用いて護岸の3次元点群データを構築する静岡県職員=川根本町(県提供)
3次元点群データを基に作られた画像(静岡県提供)

 県の取り組みは、レーザー光で距離や位置を測定する「LiDAR(ライダー)」センサーを搭載したモバイル端末で空間をスキャン。3次元点群データを基につくられた現場の画像をあらゆる角度から見たり、計測したりすることが端末上でできる。無償の点群処理ソフトや計測アプリを活用しているのも特徴。
 一般的な測量は数人がかりで行い、再計測が必要な場合もあるが、「一度スキャンすれば何度でも測り直しが可能。従来の時間や人員を3~4割削減できる」(担当者)という。
 県は昨年9月の台風15号で被災した川根本町の護岸調査にこの仕組みを活用し、職員だけで現況横断図面や復旧に向けた設計図面、国の災害査定時の資料を作成した。県建設政策課の石橋稜大技師は「広域災害時は測量士やコンサルタントの確保が難しくなる。職員がその役割を担えると対応の迅速化が図れる」と話した。既に他県から問い合わせがあり、県内市町への普及に期待感を示した。
 (政治部・豊竹喬)

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