静岡・杉尾の不適切盛り土 静岡県、業者の計画を不承認 撤去代執行へ

 静岡市葵区杉尾の砂防指定地内で違法に盛り土を造成した残土処分会社「富田建材」(同市葵区、富田生一社長)が県に提出した原状回復の計画書について、静岡県は19日、同社の計画内容が応急的な対応に過ぎないため不承認とし、行政代執行で盛り土を撤去する手続きを進めると発表した。県は11月中旬に工事を始める方向で調整している。
 杉尾地区の盛り土量は約5・1万立方メートル。県は9月、県砂防指定地管理条例に基づく原状回復命令に従わない同社に対し、行政代執行の事前手続きとなる「戒告書」を交付し、現地の原状回復に向けた計画書を提出するよう求めていた。
 県河川砂防管理課によると、同社は提出期限の今月16日に計画書を提出したが、沈砂池の設置や流路の保護・整備といった土砂流出を防ぐ応急的な対応にとどまっていた。県は盛り土の全量撤去を原状回復の前提としていたため、計画を不承認とし、17日付で同社に文書通知した。
 県は今後、行政代執行の実施に向けた入札や地元への説明などを行う。代執行に要する費用は同社から徴収する。
 同社は杉尾地区の北側の日向地区でも約37・5万立方メートルの不適切盛り土を造成している。一部の土砂から土壌汚染の基準を超えるフッ素が検出されているため、県は行政代執行を視野に入れて汚染土砂の分布などを調べている。
 (政治部・豊竹喬)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞