静岡人インタビュー「この人」 熱海芸妓置屋連合組合の組合長を務める 小笠原亜紀子さん(熱海市)

 2022年6月に22代目の組合長に就任した。観光地熱海の「華」である芸妓(げいぎ)衆の先頭に立って、伝統文化の継承と魅力の発信に努めている。芸名は「美保」。佐賀県出身。

小笠原亜紀子さん
小笠原亜紀子さん

 -組合長としての抱負は。
 「まちの人から愛され続ける組合にしていきたい。現在、組合に所属する芸妓は70人ほど。芸妓の伝統文化を継承していくためにも、担い手の発掘、育成に努めていく。師匠に学ぶ踊りや唄、鳴り物、茶道、華道は生涯の宝になる。若い人が憧れて飛び込んでくるような世界にしていきたい」
 -芸妓を取り巻く環境は。
 「新型コロナウイルス禍を境に大人数の宴会が激減し、厳しい状況に置かれた。組合員みんなで励まし合って、何とかここまで乗り切ってきた。市内の各種団体や常連さんの支えも大きかった。少しずつだが、お座敷の仕事は回復してきている」
 -組合として力を入れていることは。
 「公式マスコットキャラクター『熱海まめっこ』などを通じて芸妓を身近に感じてもらえるようさまざまな場所に出向いている。また、熱海市や旅行会社と協力して、熱海芸妓見番で飲食やお座敷遊びが楽しめる観光商品を販売している。お客さまを待つだけでなく、自ら呼び込む努力が大切だと思っている」
 -今後の抱負は。
 「熱海芸妓にとって1年間の稽古の成果を披露する恒例の『熱海をどり』がコロナ禍の影響で2019年を最後に開催できていない。やはり人前で発表する目標があると、芸妓たちの稽古にも一層力が入る。開催に向けた準備には相当の時間を要するが、伝統文化や技術を若い芸妓に受け継いでいくためにも何とか復活させたい」

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