公共工事入札制度を改善 静岡県、地元業者 請け負いやすく

 静岡県は2024年度から、建設業者の経営安定化やダンピング(不当廉価)対策を強化するために改善した公共工事の入札・契約制度の運用を始めた。自然災害の頻発化に伴い、緊急時に対応できる地域に根差した建設業者を維持・確保するのが狙い。
 伊豆半島や安倍川、大井川、天竜川上流域といった過疎地や振興山村地域の実情に応じ、原則としておおむね20者以上としていた制限付き一般競争入札の参加想定業者数の設定を「最低5者以上」に改めた。県建設業課によると、過疎地などには建設業者が少ないため、これまで地域外の建設業者が公共工事を落札するケースが多かった。参加想定業者数の引き下げにより、地元業者が工事を請け負いやすくなるという。
 指名競争入札の業者選定の評価項目には、県からの出動要請に基づく災害応急工事の実績を加えた。今年4月以降の出動実績を対象とし、25年度から指名業者の評価に活用する。
 ダンピング対策も改善した。事前に設定した調査基準価格を入札金額が下回った場合に行う「低入札価格調査」を経て契約した業者が粗雑な工事を行った場合、入札参加資格の停止期間を従来の1~6カ月以内から、3~6カ月以内に伸ばす。建設資材が高騰する中、業者の経営圧迫や無理な工事受注を回避する狙いがある。同課の担当者は「災害が相次ぎ、地域の安全安心を守る建設業者の重要性は増している。入札制度の改善を通じ、地域力を強化したい」と話している。
 (政治部・豊竹喬)

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