記者コラム「清流」 朝のあいさつに込めた思い

 始業前の校門で、住民は「お帰りなさい」と児童を出迎えた。朝の学校であまり聞くあいさつではないかもしれない。しかし、この日の朝は間違いなく「お帰りなさい」が一番ふさわしかった。
 大規模土石流の被災地を校区に含む熱海市の伊豆山小で1日、約4カ月ぶりに教育活動が再開された。学校周辺の安全が確保できないとして、児童は2学期当初から約7キロ離れた隣接校の泉小に通い、空き教室で授業を受けていた。
 慣れない環境の中、泉小の児童に気を使う場面も多々あっただろう。登下校の所要時間は、倍以上はかかっていたはずだ。そんな苦労を乗り越えて伊豆山小に戻ってきた児童を心からねぎらいたい住民の思いが、あいさつに込められていた。
 (熱海支局・豊竹喬)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞