母に憧れ熱海芸妓に 「早くお客さまの前で舞いたい」 6年ぶり新人 百々華さん

 観光地熱海を彩る芸妓(げいぎ)に、新たな若者が仲間入りした。地元育ちの百々華さん(18)。母親で芸妓の愛華さんに憧れて今年6月、伝統文化の世界に飛び込んだ。約70人の芸妓が所属する熱海芸妓置屋連合組合によると、新人の加入は6年ぶり。百々華さんは宴席や舞台で踊りを披露できる日を夢見て、厳しい稽古に励んでいる。

踊りの稽古に打ち込む百々華さん=熱海市の熱海芸妓見番歌舞練場
踊りの稽古に打ち込む百々華さん=熱海市の熱海芸妓見番歌舞練場


 百々華さんは市内の小中学校を卒業後、美容専門学校に進学。しかし幼い頃から見てきた愛華さんや他の芸妓衆のように自分も美しく舞いたいと、学校をやめて花柳界に入った。日本舞踊の経験はなく、現在は月5回稽古を積みながら、先輩の稽古を見学して勉強を重ねている。
 客前で踊りを披露するには春秋に行われる試験に合格しなければならず、当面は「熱海とろりこ」や「熱海名所」といった課題曲のマスターが目標だ。師匠の前で緊張した面持ちで踊る百々華さんだが、「覚えたことを体で表現できることが楽しい。お客さまに早く見てもらえるように頑張りたい」と初々しい笑顔を見せて語る。
 前向きな若者の姿に、小笠原亜紀子組合長は「これから覚えることはたくさんあるが、みんなでフォローして大切に育てていきたい。百々華さんをきっかけに、芸妓の世界に興味を持ってくれる人が増えてほしい」と期待した。
 (熱海支局・豊竹喬)

 

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞