記者コラム「清流」 公園にあったフジの木
幹は根元から切られていた。残ったのは藤棚の支柱のみ。以前見た藤色の花は、どこにも見当たらなかった。
4月に訪れた湖西市の「おちばの里親水公園」。住民グループが市の委託を受けて管理を続ける園内は、四季を感じられる花木であふれる。傷んだ藤棚の修理をグループが市に依頼したところ、フジは1月に幹ごと伐採、撤去されたという。約20年前から手入れしてきた男性は「もうどうしようもない」と落胆した。
市の担当課は「修理にかかる費用がものすごかった」と伐採の経緯を説明し、グループとの意思疎通不足があったと釈明した。男性の思いに触れていれば、こんな結果は招かなかったのではないか。
残った切り株は再生することがないように、十字の切り込みが入れられていた。
(湖西支局・大沼雄大)