JR社長 田代ダム案「理解いただきたい」【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川水問題を巡り、JR東海の金子慎社長は16日、名古屋市内で開いた定例記者会見で、同社がトンネル湧水の県外流出対策として示した東京電力田代ダム取水抑制案について「(県側が)議論は否定していないようなので、具体的に答える中で理解をいただきたい」と述べ、県有識者会議で引き続き説明する考えを示した。

田代ダム取水抑制案について説明する金子慎JR東海社長=16日午後、名古屋市
田代ダム取水抑制案について説明する金子慎JR東海社長=16日午後、名古屋市

 同社の案について、川勝平太知事は「湧水全量戻しの方策として破綻している」との考えを示している。
 金子社長は同案公表後、「(水問題)解決に期待する声が各方面から届いている」と述べた。具体的な内容についての意見や質問が流域の関係者から寄せられているとし、県有識者会議とは別に説明の場を設ける考えを示唆した。
 トンネルが貫通するまでの間、本県で発生するトンネル湧水が山梨県側に流出することについて金子社長は「これ自体を防ぐことはできない」と従来の主張を繰り返した。その上で、田代ダム取水抑制案は「地域の水利用に対する懸念を解消する」という本来の目的に沿った方策だと強調した。
 JR東海は金子社長の続投など次期役員体制を発表した。6月23日に予定する株主総会を経て正式決定する。

 ■「解決に向け、期待の意見寄せられている」 JR東海社長一問一答
 名古屋市内で16日に行われた金子慎JR東海社長の定例記者会見で、主なやりとりは次の通り。
 ―JR東海が示した東京電力田代ダム取水抑制案について川勝平太知事が「トンネル湧水の全量戻し」の方策としては「破綻している」と述べたことの受け止めは。
 「議論は否定していないようなので、県(有識者会議)の専門部会を通じて具体的に答える中で理解をいただきたい」
 ―川勝知事は同案を「検討に値する」としながら「トンネル工事とは別次元の問題」とも発言している。受け止めは。
 「発言で分かりにくいところがある。トンネル先進坑が貫通するまでは静岡県境付近で発生するトンネル湧水が山梨県側に流れていく。これ自体を防ぐことはできないが、流出量と同じ水量を静岡県側に戻す案を示した。地域の水利用に対する懸念を解消する(という)目的に立ち戻り、理解をいただきたい」
 ―案についての周囲の反応は。
 「(水問題)解決に向けて期待する意見が各方面から寄せられている。内容に関する質問、意見も来ている。専門部会で意見を伺うのも大事だが、それにかかわらず、こうした声に丁寧に回答し、意見交換していきたい。案がまとまってくれば、(田代ダムを管理する)東電側と話をする(という)段取りかなと考えている」

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