政治部 尾原崇也
おはら・たかや 1981年静岡市生まれ。2004年入社。社会部、大仁支局、浜松総局、伊東支局、社会部、焼津支局、未来戦略チームを経て2022年4月から政治部。「リニア水問題」のほか、選挙、県議会などを担当。地域の声なき声を丁寧に聞き届けます。学生時代はサッカーを12年続けました。最近は腰痛に悩まされています。
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静岡県知事選 期日前投票スタート 混雑少ない前半の利用呼び掛け
知事選の期日前投票が10日、静岡県内の全39市区町で始まった。投開票日前日の25日まで実施する。期日前投票所の数は2021年の前回知事選と同じ132カ所。市役所や公民館、商業施設のほか、車両を使った移動式投票所も開設し、投票率向上を図る。 静岡県選管によると、初日は市区町の庁舎を中心に49カ所が運用を開始した。受付時間は会場によって異なるが、原則午前8時半から午後8時まで。 静岡市役所静岡庁舎では受け付け開始から次々と有権者が訪れ、1票を投じた。同市葵区の主婦(68)は「物価高をなんとかしてほしい」と思いを語り、障害者福祉施設に勤務する同区の男性(65)は「リニア問題を早く解決してほしい
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城北公園再整備、内容を再検討 静岡市長「出店 前提にせず」
静岡市の難波喬司市長は10日の定例記者会見で、葵区の城北公園再整備事業について「より魅力的で、親しみやすい公園にするにはどうするのがいいのかもう一度考えたい」と述べ、内容を再検討する考えを示した。カフェや駐車場を整備する内容で民間事業者と基本協定を締結しているが、「テナントが入るという前提にしない」と話し、協定の見直しも含めて検討するとした。 同事業を巡っては、市民が市を相手取り、実施協定締結差し止めを求める訴えを静岡地裁に起こし、市民側の請求を棄却する判決が4月に確定した。 難波市長は訴訟結果を「前向きに受け止めたい」としつつ、事業の進め方を巡っては「地域住民への説明や合意形成の仕方に
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静岡市議選 25年3月23日投開票
静岡市選挙管理委員会は9日、任期満了(2025年3月31日)に伴う市議選の日程を同年3月14日告示、23日投開票に決めたと発表した。 定数は前回選と同じ葵区17、駿河区14、清水区17の計48。3区とも現職、新人、元職が出馬の準備を進めていて、選挙戦になる見通し。 8日現在の選挙人名簿登録者数は葵区20万8598人、駿河区17万3540人、清水区19万3609人の計57万5747人(男27万8095人、女29万7652人)。
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リニア巡る主張 独自色どこまで 大村氏「1年以内に」/鈴木氏「空港新駅を」/森氏「事業は中止」【静岡県知事選】
静岡県が大井川水資源や南アルプス生態系への影響の懸念から着工を認めていないリニア中央新幹線トンネル工事への対応を巡り、9日告示、26日投開票の知事選立候補予定者の主張の違いが明らかになってきた。元副知事大村慎一氏(60)と前浜松市長鈴木康友氏(66)はともに事業推進を掲げるが、大村氏が期限を1年と区切った上で環境問題を解決する姿勢を前面に押し出すのに対し、鈴木氏はこれまでの議論の継続で「解決に向けて前進できる」と指摘。期限を区切ることには慎重な構えを見せる。 共産党県委員長森大介氏(55)は「水と自然を守る」として着工を認めず、リニア事業の中止を訴える。 大村氏は2日に静岡市清水区で行わ
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難波静岡市長、大村氏を「友人として応援」 静岡県知事選
静岡市の難波喬司市長は8日、同市葵区で開かれた自民党静岡市静岡支部大会であいさつし、知事選への立候補を表明している元副知事の大村慎一氏(60)について「10年来の友人。市長ではなく個人としては大村さんにぜひ頑張ってもらいたい」と述べ、大村氏を応援する意向を示した。 大会には大村氏も参加し、難波市長は壇上で大村氏と抱擁したほか、「頑張ろう三唱」にも参加した。市長は「地域間対立をあおるような形にみられてしまうので市長としてマイクを握ることはしない」と断りつつ、「(大村氏とは)深い友人関係だと理解してもらえれば。良い結果になることを祈っている」と述べた。 難波市長は8日、知事選への出馬を表明し
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民意の変化 JRとの信頼構築課題【静岡県知事選2024 リニアの行方㊦】
2021年6月の前回の静岡県知事選で川勝平太知事はリニア水問題を争点化した上で、「命の水と南アルプスの自然環境を守る」と主張し、自民推薦候補に圧勝した。環境への影響を懸念する住民の共感を集め、市町別の得票率は大井川流域が上位を独占した。しかし、3年がたち、民意は川勝知事から離反の様相を呈す。 「工事を遅らせることが目的のような言い方をしていた」。大井川土地改良区理事長の内田幸男さん(89)は、辞職表明後の川勝知事の記者会見を見てあぜんとした。大井川の水問題を巡って一歩も引かずに国やJR東海と渡り合う川勝知事を支持してきた。国の議論を経てJRの環境保全策が進んだことも評価していた。しかし、2
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清水区創業のタイカ 静岡市へ3000万円 企業版ふるさと納税
静岡市は22日、企業版ふるさと納税として市に3千万円を寄付した清水区創業の介護、福祉用品製造販売タイカ(東京)への感謝状贈呈式を市役所静岡庁舎で開いた。 寄付金は、タイカの意向でサッカーJリーグ2部清水エスパルスと連携した地方創生事業に活用する。鈴木大登社長は「スポーツの力を地域づくりに生かしてもらいたい」と話し、老朽化が進むIAIスタジアム日本平の改修などへの活用を希望した。難波喬司市長は「大事に使わせてもらう。エスパルスを一緒に盛り上げていけたら」と話し、感謝状を手渡した。
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音楽青葉会・静岡児童合唱団 葵区で80年記念演奏会 歌い継いだ名曲披露
静岡市の音楽青葉会・静岡児童合唱団(戸崎裕子主宰)は21日、創立80年記念演奏会(静岡新聞社・静岡放送後援)を同市葵区の静岡音楽館AOIで開いた。園児から高校生までの団員と卒団生の計36人が出演し、美しい歌声のハーモニーを響かせた。 2023年4月と12月に行った記念演奏会3回シリーズの最終回。80年の歴史の中で、練習を重ねてきたレパートリーを中心に17曲を披露した。中でも、児童合唱組曲の「えんそく」ピアノ伴奏版は半世紀以上歌い継いできた作品。情感豊かな歌声に、団員が考えたという朗読やダンスを織り交ぜ、約300人の聴衆を楽しませた。 最後に同合唱団創設者の戸崎舜裕さん(故人)作曲の「NH
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自民静岡市4支部、大村慎一氏に推薦状交付【静岡県知事選】
自民党の静岡市内4支部と同党市議団は19日、知事選(5月9日告示、26日投開票)に立候補を表明した元副知事の大村慎一氏(60)に推薦状を交付した。市町など地域単位である県内の自民支部で大村氏に推薦状を交付したのは初めて。 党県連が18日、大村氏の推薦を内定したことを受けた対応。4支部のうち清水、由比、蒲原と市議団は19日までの総務会で推薦を決定し、静岡支部は同日、同市葵区で開催した総務会で出席者の満場一致で推薦を決めた。 市議団の役員は大村氏を推薦した理由について「総務省などで豊富な行政経験があり、県域全体の均衡ある発展や国、市町との緊密な連携が期待できる」と説明した。鈴木和彦市議団会長
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静岡市議会 知事選と県議補選の経費追加 4月25日に正副議長選
静岡市議会は17日、議会運営委員会を開き、25日の4月臨時会で正副議長選を実施すると決めた。知事選と同市清水区選挙区(欠員1)の県議補選の事務経費2億7900万円を追加する2024年度4月補正予算案など市当局提出の5議案を審議することも確認した。 正副議長は1年交代を慣例としている。正副議長選に先立ち、立候補予定者の所信表明会を24日に開く。 議運では各会派代表者会議で決定した委員会構成案を報告した。4月臨時会で正式に委員を選任する。 代表者会議で決めた各委員会正副委員長候補は次の通り。 【総務】(正)堀努(副)児嶋喜彦 【市民環境教育】(正)平井正樹(副)長島強 【厚生】(正
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市役所で静岡おでんいかが 静岡庁舎食堂「茶木魚」 だし香る 屋台風ブース
静岡市役所静岡庁舎の食堂「茶木魚(ちゃきっと)」で4月から「静岡おでん」の提供が始まり、利用者の人気を博している。 食堂に入ると屋台風のおでんブースが目の前にあり、食欲をそそるだしの香りが店中に漂う。弁当・総菜販売の天神屋(本社・駿河区)が弁当やおむすびとともに販売を始めた。 おでんの種類は黒はんぺんや白焼き、なるとなど静岡ならではの練り物のほか、牛すじ、ダイコン、卵といった定番を含めた約20種類。特徴の黒いだし汁は毎朝、食堂内の調理場でしょうゆベースのだし汁に牛すじと練り製品を煮込んでつくっている。 同社の担当者によると、売れ筋はダイコンやスケトウダラの練り物の白焼きなど。「市民はお
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【静岡県知事選】自民静岡市4支部 大村氏推薦で最終調整
自民党県連の静岡市内4支部が静岡県知事選(5月9日告示、26日投開票)への立候補を表明している元副知事の大村慎一氏(60)を推薦する方向で最終調整していることが15日までの複数の関係者への取材で分かった。党県連は18日をめどに推薦候補を内定する方針で、県連の決定に先んじて支部単位で候補者推薦の動きが明らかになるのは初めて。 静岡市内の党支部は静岡、清水、由比、蒲原。関係者によると、一部の支部では既に大村氏の推薦を決定した。ほかの支部も今週中にも総務会を開き、大村氏推薦を正式決定する方針。 市内の自民党関係者は大村氏の副知事や総務官僚としての経験を踏まえ、「知事になれば、県域全体の均衡ある
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リニア工事で影響懸念の南アルプス植生 難波静岡市長、移植・播種をJRに求めず
静岡市の難波喬司市長は12日の定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う南アルプスの植生への影響に対する代償措置の考え方について、損失が懸念される植生の移植・播種(はしゅ)は「機能しない可能性が高い」としてJR東海に求めず、鹿の食害などで失われた南アルプスの別の場所の植生を回復させれば、代償措置として認める方針を示した。市側がJRに求める対策のハードルを下げた格好だ。 難波市長は大井川上流域にある沢のうち、JRの影響予測で水枯れが懸念される蛇抜沢を例に挙げて説明した。蛇抜沢の植物を別の所に植え替えるのではなく、別の場所で種を植えるなどして植生を増やせばいいとの認識を示した。 難波
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生物影響前提に「代償措置検討を」 リニア静岡県専門部会、南アルプス上流の変化予測手法提示
リニア中央新幹線トンネル工事の自然環境への影響と対策について協議する静岡県有識者会議の生物多様性専門部会の会合が12日、県庁で開かれ、今回から部会委員になった竹門康弘大阪公立大客員研究員(生態系管理学)が、南アルプス上流域の沢の水生生物への具体的な影響を予測する手法を提示した。竹門委員は「影響は必ず出る」との考えを前提にすべきだとし、「正面から代償措置を検討していく必要がある」と強調した。 県専門部会ではこれまで、環境影響の回避・低減に関する議論を優先し、影響が回避できない場合に実施する代償措置の議論を十分に進めてこなかった。2023年12月に報告書を取りまとめた国専門家会議で課題が整理さ
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“日本一の女性”へ意気込み コンテスト県代表 静岡市長訪問
主要な女性コンテストの県代表3人が11日、静岡市役所静岡庁舎に難波喬司市長を訪ね、7月以降に始まる日本大会への意気込みを語った。 訪問したのは、ミスプラネットジャパンに出場する行徳優さん(30)=清水区出身=、ミセスSDGsジャパン出場の鬼頭舞友さん(28)=葵区在住=、ミスユニバースジャパン出場の植田真菜さん(22)=菊川市出身=で、3人とも各大会の県代表者を選ぶ合同選考会「ベスト・オブ・ミス静岡大会」で選出された。 行徳さんは「古里静岡の自然を守るという思いをアピールしたい」、鬼頭さんは「ジェンダー(社会的な性別)に関係なく、影響力のある人間になるという目標を達成するために日本一を目指す
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リニア環境問題「解決に道筋」 次期知事に「資料読み歴史勉強を」【川勝知事辞職届提出】
川勝平太知事は10日の定例記者会見で、任期途中の辞職を決断した理由としてリニア中央新幹線の静岡県内工事を巡る問題に「解決の道筋がついた」と説明したことに関し、「環境問題を解決するためのモニタリングに国もJRも協力することになったため」と具体的な理由を明かした。ただ、国が設置したモニタリング会議の主な役割は県内工事開始後の環境変化と対策の確認、検討であり、「県内の環境問題の解決に結びつくのか」との問いには明確な答えを示さなかった。 川勝知事は辞職を決断した理由について、JRがリニア27年開業を断念し、南アルプストンネル静岡工区工事が約10年かかるとの工事計画を明らかにしたことを改めて挙げた。
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リニアトンネル工事の環境対策 薬液注入「効果得られない前提で」 静岡市長がJRに予測要求 「最悪の想定を」とも
リニア中央新幹線トンネル工事の環境影響について議論する静岡市の事業影響評価協議会(会長・増沢武弘静岡大客員教授)は9日、市役所静岡庁舎で会合を開き、難波喬司市長が南アルプス生態系の保全措置についての市の考え方をJR東海に伝えた。同社が環境影響の回避・低減措置として示しているトンネル湧水の低減工法「薬液注入」は、高被圧で地下水がたまっている場所の掘削では十分な効果が期待できない可能性があるとし、効果がないことを前提に植物の移植などの代償措置を考えるべきだと指摘した。 国専門家会議が2023年12月に取りまとめた報告書では薬液注入の効果を前提にJRの保全措置は適切だと評価していて、難波市長は異
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大村慎一氏、静岡知事選出馬表明 主な発言
静岡県知事選への立候補を表明した元総務官僚の大村慎一氏(60)の8日の主な発言は次の通り。 【取材冒頭】 大村慎一と言います。静岡県出身で、総務省に入り、長い間地方行政、国、都道府県市町村で仕事をしてきた。古里の静岡県でも総務部長と副知事の仕事をした。 今の静岡県政について(川勝平太)知事の急な辞職があり、混乱も起き、対立と分断があるように思っている。 私自身は何の政治経験もない、ただの1人の行政マン。一市民だと思っている。そういう中で、長年培ってきた地方行政での経験を、この状況での県政の立て直しや再構築に役に立てるのではないかと考えた。私が取り組みたいのは、県政の立て直し、その一点
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記者コラム「清流」 パワハラ撲滅は遠い
長時間の叱責(しっせき)や職員の人格、能力を否定する言葉の暴力―。静岡市が危機管理総室(現危機管理局)幹部の言動をパワハラ行為と認定し、減給の懲戒処分を下した。 該当部分とされる録音データを聞き、被害者を取材したが、内容は聞くに堪えないものばかりだった。言われた方は明らかに萎縮し、長期間に及べば心身を壊しうると誰でも想像できる。報道が出るまで有効な手だてが打たれなかった組織対応にも怒りを覚える。 難波喬司市長は、パワハラ認定後も同室の仕事ぶりを評価する姿勢を変えていない。パワハラと密接に結びついた状態で行われた仕事を評価していいのか。一連の行為がなければ、もっといい仕事ができたと考えるべ
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リニア完工、静岡工区以外も2027年以降 JR東海初めて認める 山梨県駅完成は31年
JR東海は4日、静岡市葵区の静岡支社で開いた記者会見で、リニア中央新幹線品川ー名古屋間の建設工事について、山梨県駅(仮称、甲府市)など2カ所の工事で2031年の完了を見込み、当初開業を予定していた27年を超える工期を初めて設定したと明らかにした。同社は3月、静岡工区のトンネル工事で着手の見込みが立たないことを理由に27年の開業断念を表明したが、「開業の遅れに直結するのは静岡工区のみ」との考えについては維持した。 リニア工事の今後の主な発注見通し3件を公表し、このうち山梨県駅新設で約6年8カ月、長野県飯田市の座光寺高架橋新設で約5年10カ月の工期をそれぞれ設定した。24年度に工事契約を結び、
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【川勝知事辞意表明】島田市長が面会 御殿場市長からは苦言も
川勝平太知事の辞意表明から一夜明けた3日、静岡県内市町の首長がそれぞれ、受け止めを語った。知事が職業差別ともとれる不適切発言をしたことについては落胆の声が相次ぎ、大井川流域の市長からはリニア問題について、今後の静岡県の対応の変化を注視するとの意見が聞かれた。 染谷絹代島田市長は3日、川勝知事の辞職表明前から決まっていた予定として知事と静岡県庁で面会した。知事から「リニアの県内工事は10年以上かかると分かった。そんなに前のめりにJRとの協議をする必要はないのでないか」との指摘を受けたとし、「率直に伺った。内容を胸に受け止めてやっていく」と述べた。 2021年10月の知事の「コシヒカリ発言」
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知事辞職表明、リニアへの影響「極めて大きい」 難波静岡市長、自身の知事選出馬は否定
静岡市の難波喬司市長は3日、川勝平太知事が任期途中の辞職意向を表明したことを受けて市役所静岡庁舎で取材に応じた。環境への影響を懸念して静岡県内での着工を認めてこなかったリニア中央新幹線トンネル工事への影響について「極めて大きい」と述べ、知事の職業差別ともとれる発言については「これまで聞いたことがないレベルの不適切な発言」と問題視した。 難波市長は、川勝知事が「この職を辞そうと思っている」と述べたことから、「まだ正式に表明したわけではない」との認識を示し、辞職への直接的な言及は避けた。次期知事選への出馬については「市長になってまだ1年。全く考えていない」とし、周囲から求めるような声も届いてい
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人口減対策 中学生が提案 若者の住みやすい静岡へ 安倍川中 スマホ代補助など市に施策
静岡市立安倍川中の3年生が14日、主権者教育の授業で作成した人口減少対策の提案書を市に提出した。提案の根拠となるデータや先進事例を示し、若者が住みやすくなる「スマートフォン利用代補助」など具体的な施策を盛り込んだ。受け取った大長義之副市長は「大人ではなかなか思いつかない。参考にしたい」と舌を巻いた。 自分たちが暮らす地域社会に主体的に関わる意識を高めようと3年生74人が、社会科の1年間のまとめとして2月から取り組んだ。15班別に提案書をつくった後、さらに20ページの冊子「住みやすい静岡市を目指して」にまとめた。 提案は、子育て、若者の住みやすさ、観光、クリーンなまちづくりの4分野にわたる。子
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静岡市議会委員会 親子向け施設 500万円補助 商店街への誘客狙う
静岡市の平尾隆司商業労政課長は12日の市議会2月定例会観光文化経済委員会で、静岡、清水両地区の中心市街地に子育て世帯を呼び込む新たな施策として、商店街の空き店舗に、子育て世帯を対象にした施設・店舗を出店する事業者に対して最大500万円を補助すると説明した。小山悟氏(志政会)と石井孝治氏(創生静岡)への答弁。 市は2024年度当初予算案に、JR清水駅西口の駅前銀座商店街のアーケード下に子どもの屋内遊び場を設置する事業費2500万円と、中心市街地に大型の遊び場を設置する事業者に最大2千万円を助成する事業費を計上した。遊び場周辺に、プレイルームを伴う飲食店や、子ども関連の商品やサービスを扱う施設を
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駐車場設置義務を緩和へ 条例改正案提出 静岡市
静岡市の望月克彦交通政策課長は11日の市議会2月定例会都市建設委員会で、一定規模以上の建築物に駐車場の設置を義務付ける条例について規制を緩和する方向で改正し、既存駐車場の活用や大規模な開発事業の促進を図る考えを明らかにした。市によると、同条例を改正するのは2003年の制定以来初めて。高木強氏(自民)への答弁。 改正するのは「建築物付置駐車施設条例」で、商業地域と近隣商業地域に建設するホテルや飲食店、アパートなどについて、規制の対象になる建築物の規模や、延べ床面積当たりで設置すべき駐車場台数を定めている。 2月定例会に提出した改正案では、現行条例で「延べ床面積千平方メートル超を対象に、延
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静岡市葵区・江川町交差点 24年度に横断歩道新設 市議会
静岡市の小沢滋都市企画担当課長は11日の市議会2月定例会都市建設委員会で、検討していた葵区の江川町交差点の横断歩道新設について交通管理者の静岡県警と合意し、2024年度に交差点改良工事に着手すると明らかにした。高木氏への答弁。 市は中心市街地の回遊性向上とバリアフリー化のため、12年に平面横断の社会実験を行うなど同交差点の横断歩道増設を検討していた。今回の新設で、5差路のすべてに横断歩道を設置するめどがついた。 新たな横断歩道は北街道に、Denbill(デンビル)側と日本生命静岡ビル側を結ぶ形で設置する。信号機付き。24年度当初予算案に事業費を計上した。 市によると、歩車分離式信号機を
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静岡県内ボーリング 実施へ JR社長検討「県、関係者に説明」【大井川とリニア】
JR東海の丹羽俊介社長は7日に名古屋市で開いた定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事のうち、県内で実施する予定の高速長尺先進ボーリングについて、大井川流域市町から提案があった大井川上流部の田代ダム取水停止期間中の実行に向けて「県や他の利水関係者の方々に説明していきたい」と述べ、具体的に検討する考えを示した。 大井川流域10市町は2月25日に静岡市で開かれたJRとの意見交換会で、発電設備の改良工事に伴い田代ダムでの取水が停止される2月から2025年11月までの間に県内でボーリングを実施して湧水が県外に流出しても、JRによる返水の方策は必要ないとの意向を示し、ボーリングの早期着手を求めて
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JRと県 議論加速を 協議体設置など提案 国モニタリング会議 矢野座長インタビュー【大井川とリニア】
静岡県内のリニア中央新幹線トンネル工事に伴い、国土交通省が新たに設置したモニタリング会議で座長を務める矢野弘典氏が6日、静岡市内でインタビューに応じた。環境保全措置に関するJR東海と県の議論について「前進はしているが、解決には至っていない」と述べ、モニタリング会議の議論を進める前提として当事者間で合意する必要性に言及した。両者の議論を加速させるために新たな協議体の設置を提案し、期限を区切った上での議論もあり得るとした。=関連記事5面へ 国交省は大井川の水資源確保と、南アルプスの環境保全に関する専門家会議を開催し、2023年12月までに二つの報告書をまとめた。これをもって、県が提起した課題
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公共施設総合管理計画 市、民間資産も対象 静岡市議会
難波喬司市長は、見直しの方針を示していた公共施設総合管理計画「アセットマネジメント基本方針」について、対象資産に民間が所有する土地・建物を加え、社会全体の資産の有効活用という理念や目的を新たに設定すると説明した。稲葉氏への答弁。 計画名称も「社会共有資産利活用基本方針」に変更する。難波市長は、公共施設と市有地を対象に2014年に策定した現行計画について「古いアセットマネジメントの考えにとらわれている」と指摘した。市アセットマネジメント推進課によると、公共施設の総延べ床面積を43年度までに、11年度末比で20%減らす縮減目標については維持するものの、最上位の目標としては位置づけないという。
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国交省 第1回モニタリング会議 座長「静岡県とJRの議論も監視」【大井川とリニア】
国土交通省は29日、静岡県内のリニア中央新幹線トンネル工事に伴いJR東海が実施する水資源、環境保全対策の実施状況を確認する「第1回モニタリング会議」を都内で開いた。座長に就いた一般社団法人ふじのくにづくり支援センター理事長の矢野弘典氏は冒頭のあいさつで、これまでに同省専門家会議で整理された対策の評価を巡り「JRと静岡県の間にかなりの隔たりがある」と述べ、県とJRに協議を促すとともに、両者の協議の進捗(しんちょく)についてもモニタリング会議で確認していく意向を示した。 矢野座長は「隔たりを埋めない限り、リニア事業は一歩も進まない」とし、「早急にギャップを埋める議論を精力的に進めてもらいたい」
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ダム工事期間のボーリング 「流域総意か確認必要」 川勝知事会見【大井川とリニア】
川勝平太知事は26日に静岡県庁で開いた定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題を巡り流域市町が、同河川上流部の田代ダムで取水されない発電設備の工事期間中にJR東海が県内で高速長尺先進ボーリングを実施して湧水が県外に流出しても、同社による返水の方策を求めないとの考えを示したことについて、「(意見が流域の)総意だったのか確かめる必要がある」との見解を述べた。 大井川流域10市町の首長(御前崎市は代理出席)は25日に静岡市葵区で開かれた丹羽俊介JR東海社長との意見交換会に参加した後、取材に応じ、染谷絹代島田市長がこうした考えを「流域の総意」としてJRに伝えたと説明した。
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ふるさと貢献賞 地域づくり 活動たたえ 13団体・1個人 表彰
公益財団法人静岡新聞・静岡放送文化福祉事業団と静岡新聞社・静岡放送は24日、地域のために献身的な活動を続ける個人・団体を顕彰する「第13回ふるさと貢献賞」の表彰式を静岡市駿河区の静岡 新聞放送会館で行った。 表彰されたのは県立浜松東高など「学校の部」の7団体と「団体・企業の部」の6団体、「個人の部」の池谷信子さん(島田市)の計13団体・1個人。長年にわたる地域の環境整備や魅力発信に向けた活動が評価された。 表彰式では、池上重弘県教育長と静岡新聞社幹部が表彰状と記念トロフィーを贈呈した。池上教育長は「どの活動からも地域とのふれあいを楽しんでいる様子が伝わってきた」と受賞者をたたえた。 受
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東名日本平久能山スマートIC周辺、物流の拠点化着々 大型倉庫の建設進む【迫る24年問題】
静岡市駿河区の東名高速道日本平久能山スマートインターチェンジ(IC)周辺の32・8ヘクタールを対象にした恩田原・片山地区の土地区画整理事業で、大型物流倉庫の建設が進んでいる。背景にあるのは、4月から始まる運転手の残業規制で輸送能力の低下が懸念される2024年問題。新型コロナウイルス感染症の影響で企業進出が停滞する時期もあったが、物流網の再構築を図る輸送業界の中で静岡県内拠点の適地と高評価を受けた。 山梨へ配送も念頭 高評価 市大谷・小鹿まちづくり推進課によると、24年3月までに企業用地22区画のうち19区画で契約が完了し、面積ベースで95%に達する見込み。丸紅ロジスティクス(東京)と中部陸
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難波静岡市長、就任後初の施政方針演説 「結果出せる市政へ変革」
静岡市の難波喬司市長は21日に開かれた市議会2月定例会本会議で、就任後初の施政方針演説を行った。市の人口統計に関するデータなどを示した上で人口減少問題に強い危機感を示し「政策執行力を高め、結果が出せる市政へ具体的に変革しなければならない」と強調した。 ⇒【施政方針演説 全文】 ⇒【施政方針演説 全文】 難波市長は静岡市が2000年代に入って以降、全国の政令市の中でも人口減少率が高いことに触れ「この期間の市政運営が影響していると言わざるを得ない」と指摘した。「これまでの延長上の市政運営はもう通じない」と述べ、社会全体の力を結集して地域課題の解決を目指すほか、
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【Web限定・全文公開】難波静岡市長が就任後初の施政方針 人口減に強い危機感
静岡市の難波喬司市長は21日の市議会2月定例会で就任後初の施政方針を行った。市の人口減少問題に強い危機感を示した上で、「政策執行力の向上」「社会全体の財産の活用」などを推進し、社会課題の解決に取り組むと強調した。 施政方針全文は以下の通り。 2024年度の当初予算案、ならびにこれに関連する議案の審議をお願いするに当たり、議員各位をはじめ、広く市民の皆さまにご理解をたまわりたく、私の施政方針を申し述べます。24年度予算は、私が市長に就任して初めての当初予算編成、施政方針の表明となることから少々長くなることをお許しください。 【市政運営の方針】 初めに、私の市政運営に関する認識として、市政
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難波静岡市長、これまでの市政を批判「規制かけすぎ、執行力不足」 施政方針演説で
静岡市の難波喬司市長は21日に開かれた市議会2月定例会本会議で、就任後初の施政方針演説を行った。約40分間にわたる演説の中で、これまでの市政運営に対する批判を随所にちりばめた。特に熱がこもったのが「政策執行力」の評価。政策執行を「目標を実現するための継続的な意思決定と、実行に移し結果を出すこと」と定義した上で、前市長までの市政を分析し、持論を展開した。 人口減少の原因の一つとされる市内の住宅地の価格が高いことについて、市の面積が広い割に可住地面積比率が24・3%と小さいことを挙げ「近年の静岡市は農地を守るという考えのもと、土地利用を規制緩和することなく市政運営を続けてきたのではないか」と問
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宇宙や科学に関心深めて カナダの大学院生小谷野さん、地元の静岡市長訪問 子ども啓発「協力したい」
宇宙研究に関するカナダの学生大会に日本人として唯一参加しているカナダ・ブリティッシュコロンビア大大学院電気工学科1年生の小谷野貴光さん(24)=静岡市葵区出身=が19日、静岡市役所静岡庁舎に難波喬司市長を訪ね、同市の子どもたちに宇宙や科学への関心を深めてもらうために啓発行事の開催などで協力したいと申し出た。 小谷野さんは市立城内中卒業後、物理学を本格的に学ぼうとカナダ・ブリティッシュコロンビア州の中学・高校に入学。2018年、国内屈指の名門大学であるブリティッシュコロンビア大に進学した。 カナダ宇宙庁の支援のもと、同国の学生チームが気球を成層圏に飛ばし、通信などの技術開発に取り組む大会に
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静岡市、経済や子育てに重点 一般会計最大3534億円 24年度予算案
静岡市は16日、2024年度当初予算案を発表した。一般会計は23年度当初比0・5%増の3534億円で過去最大を更新した。難波喬司市長が手がけた初の当初予算編成で、市長が施政方針に掲げる「安心感がある温かい社会」の実現に向けて文化力向上、経済活性化、災害対応力強化、子育て支援の4分野に重点配分した。 ※画像タップで拡大してご覧になれます スポーツ・文化施策では、市が1991年から構想を掲げるJR東静岡駅北口でのアリーナ整備に向けて基本計画策定費3千万円を計上した。周辺のまちづくりと一体的に進めるための東静岡地区まちづくり基本構想策定費3千万円も加えた。 今季からプロ野球2軍ウエス
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【記者解説】静岡市24年度予算案 人口減少への対策軸に編成
静岡市の2024年度当初予算案は、全国の政令市の中でも最も厳しい状況にある人口減少問題への対策を軸に編成した。子育て・教育環境の充実や、企業立地用地の創出など地域経済活性化に重点配分し、即効性が期待できる事業と、将来の課題解決に向けてじっくりと育てていく事業をバランスよく予算化した。 ※画像タップで拡大してご覧になれます 子育て・教育関連では子育て世代の要望が多かった屋内の遊び場を市内3カ所に開設するための予算を付けた。経済関連としては市内の地価が高く、企業が進出しにくい現状を改善するため、耕作放棄地など未利用地を有効活用する法人を立ち上げる。 人口対策の視点で捉えると、子
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南アルプスエコパーク登録10年 誘客や保全強化 静岡市24年度予算案
静岡市は2024年6月の南アルプスユネスコエコパーク登録10年に合わせて南アルプスへの誘客や保全の取り組みを強化する。24年度一般会計当初予算案に関連経費5600万円を計上した。 リニア中央新幹線トンネル工事の工事車両用通行ルートとしてJR東海が同市葵区井川地区に建設中の県道トンネルは、26年の開通を予定する。開通後は交通アクセスが向上し、南アルプス登山者の増加が見込まれることから、市は24年度から老朽化した山小屋3カ所の改修に着手し登山者の安全確保を図る。 エコパーク登録10年を記念した行事を24年6月から12月にかけて井川地区や静岡市中心街で開催するほか、南アルプスで企業や小学生親子
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難波静岡市長「変革始まり予算」と命名 2024年度当初予算案 深刻な人口減少へ対策
静岡市の難波喬司市長は2024年度当初予算案を発表した16日の記者会見で、政策形成の考え方を「社会全体の財産を活用する方向に大きく転換した」と述べ、初めて編成した当初予算案を「新時代への適応のための変革の始まり予算」と命名した。 全国の政令市の中でも深刻な人口減少への対策を予算編成の軸足に据えたと説明した。その上で、未利用・低利用地活用法人の設立検討や空き家利活用促進などの新規・拡充事業を例に挙げ、「時代が大きく変化する中、社会課題を解決するために今まで通りのやり方の延長ではなく、新しい対策の導入を徹底した」と強調した。 一方、「(市長就任)最初の予算編成で全部が全部変えられているわけで
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積立金 目標60億円到達へ 静岡市、公共建築物整備基金
静岡市アセットマネジメント推進課の岡村貴晶課長は15日の市議会総務委員会で、2023年度一般会計2月補正予算案に、公共建築物の長寿命化や更新の経費に充てる公共建築物整備基金の積立金として10億円を計上したことで、同基金残高は確保すべき目標としている60億円に達すると説明した。尾崎行雄氏(自民党市議団)への答弁。 市は22年3月、市役所庁舎や学校など公共建築物の大規模改修経費は今後10年間で120億円が不足すると試算した上で、基金を設置し、一般財源から50億円を積み立てた。この際、不足想定額の半額に当たる60億円を早い段階で確保する考えを示していた。 これまでに基金を取り崩していない一方、市有
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上土団地 建て替え計画見直し 静岡市方針 PFI取りやめ
静岡市の斎藤君男建築部長は14日の市議会都市建設委員会で、市営住宅上土団地(葵区東千代田)の建て替えで予定していたPFI(民間資金活用による社会資本整備)方式による設計・施工を取りやめ、既存の9棟(234戸)を再整備するとした基本計画も見直す方針を明らかにした。繁田和三氏(自民党市議団)への答弁。 市住宅政策課によると、全部で18号棟ある上土団地のうち、1~9号棟は建設から50年以上が経過し、市は2022年3月、PFI方式で集会所や約6千平方メートルの広場とともに再整備する基本計画を策定した。総事業費は約62億円で、市の負担額は31億円程度を見込む。 斎藤部長は、難波喬司市長のもとで民間資産
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危機管理総室「局」に格上げ 静岡市 組織改正
静岡市は2024年度の組織機構改正で、部相当の危機管理総室を局相当の危機管理局に格上げし、災害対応体制を強化する。2022年9月の台風15号災害対応の反省を踏まえた措置。8日開会した市議会2月定例会に関係する条例改正案を提出した。 市総務課によると、改正後の危機管理局では、自然災害や感染症への対応について全庁的な調整の役割を担い、局長級ポストの危機管理監が同局長を兼務する。局内は危機管理課の1課編成で、職員を24人から25人に増やす。4係体制は変更しない。局次長級ポストの危機管理総室長は廃止し、他局と同じように局次長を置く。 市は23年8月、難波喬司市長のもとで台風15号の行政対応が遅れた原
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東静岡アリーナ 基本計画策定費計上の方針 静岡市24年度予算案、事業化へ前進
静岡市は5日、JR東静岡駅北口市有地での整備を目指すアリーナについて、2024年度一般会計当初予算案に整備に向けた基本計画策定費約3千万円を盛り込む方針を固めた。アリーナの事業化へ大きく前進する。関係者への取材で分かった。 難波喬司市長はアリーナ整備に関する地元自治会向けの説明会を4日に開いた後、取材に応じ、整備に向けて「一定の理解を得られた」と述べていた。市長は取材の中で、地元が懸念する交通渋滞の解消などを念頭に、東静岡駅周辺のまちづくりについて考える「まちづくり協議会(仮称)」設立に向けた関連経費を24年度当初予算案に盛り込む考えを示していて、当初予算案に計上されるアリーナ整備関連事業
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リニア工事環境評価巡るJRとの議論「課題解消17項目のみ」 静岡県が認識公表、30項目は未了
森貴志副知事は5日、県庁で記者会見し、リニア中央新幹線トンネル工事の環境影響評価についてJR東海との議論の進捗(しんちょく)に関する県の認識を公表した。県が2019年9月に取りまとめた課題47項目のうち、必要な議論が終了したのはトンネル湧水の全量戻しに関する内容など全体の36%に相当する17項目にとどまるとし、水資源に関して残る9項目と、南アルプスの環境保全に関する全17項目、トンネル残土置き場に関する全4項目については今後も議論が必要と指摘した。 国の専門家会議が23年12月に南アルプスの環境保全に関する報告書を取りまとめ、3年8カ月にわたった国の議論に区切りがついたため、県の認識を改
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静岡市導入消防ヘリ、川重製 高山での活動重視
静岡市は新しい消防ヘリとして川崎重工業製の中型双発機「BK117D―3」(D―3)を導入する方針を固めた。1日までの関係者への取材で分かった。8日開会予定の市議会2月定例会に関連議案を提出する。 関係者によると、市消防局が2023年12月、3千メートル級の高山岳帯である南アルプスを管内に持つことを踏まえ、3200メートルの高度でも救助活動を安定して行うことができることなどを条件に一般競争入札を行い、複数の応札の中からD―3を提案した川崎重工業が落札した。 同社のホームページによると、D―3は最大定員12人、航続距離722キロ、航続時間3時間52分。現行の静岡市の消防ヘリ「ベル式412EP
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静岡市 一般会計補正予算案 90億円超追加 学校トイレ洋式化完了前倒し、国の追加経済対策など実施
静岡市は1日、国の総合経済対策の実施など90億3400万円を追加する2023年度一般会計補正予算案を8日開会予定の市議会2月定例会に提出すると発表した。低所得世帯への給付金支給に79億5100万円を計上したほか、市立小中学校のトイレ洋式化を前倒しで進め、31年度の完了を目指す。 物価高騰対策は、国の24年度予算案の閣議決定を受けて、給付金支給対象世帯をこれまでの住民税非課税世帯から、住民税均等割のみの課税世帯などに拡大する。同市の対象は約3万9千世帯と、国の定額減税を十分に受けられない約18万人。 小中学校のトイレを洋式化する「トイレリフレッシュ事業」は7億400万円を追加し計36校分の
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南アルプスの魅力伝える博物館、旧井川小に整備へ 静岡市、エコパーク登録10年記念
静岡市は29日までに、市北部の南アルプスユネスコエコパーク登録10周年記念事業として、2016年に閉校した旧井川小(葵区井川)を活用し、南アルプスの魅力や井川地区の歴史文化を伝える博物館を整備する方針を固めた。事業費4億円を盛り込んだ23年度一般会計2月補正予算案を2月8日開会予定の市議会2月定例会に提出する。関係者への取材で分かった。 静岡市が南アルプスエコパーク・ミュージアム(仮称)としてリニューアルする方針を固めた旧井川小=2022年8月、静岡市葵区井川(市提供) 関係者によると、展示内容は井川地区の住民の暮らしや伝統文化に焦点を当て、焼き畑や在来作物の耕作に使わ
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静岡市、清水庵原球場の照明LED化へ プロ野球ハヤテ本拠地、ナイター仕様に
静岡市は29日までに、同市清水区の野球場ちゅ~るスタジアム清水(清水庵原球場)の夜間照明設備をLED化する方針を固めた。くふうハヤテベンチャーズ静岡が今季から同球場を本拠地にプロ野球2軍ウエスタン・リーグに参入するため、プロ野球公式戦のナイターができるように照度を高める。事業費1億9400万円を計上した2023年度一般会計補正予算案を2月8日開会予定の市議会2月定例会に提出する。関係者への取材で分かった。 関係者によると、夜間照明設備塔6カ所の全180灯を現在のメタルハライドランプからLEDに更新する。照度は750ルクスから2200ルクスに向上し、日本野球機構(NPB)がプロ野球公式戦のナ
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東静岡アリーナ構想 市長が住民に理解求める 経済効果、まちづくり計画を説明
静岡市の難波喬司市長は28日、JR東静岡駅北口市有地での整備を目指すアリーナについて、地元自治会への説明会を葵区長沼の長沼一・二・三丁目公民館で行った。アリーナ整備の経済波及効果は運営30年で5千億円超になるとの試算を明らかにして整備の必要性に理解を求めたほか、東静岡駅周辺のまちづくりと一体的に進めることで、交通渋滞など地元住民の懸念解消に努めると説明した。 説明会は、長沼地区の五つの自治会役員ら約20人が参加して非公開で行った。終了後、難波市長と地元代表の杉山輝雄長沼三区自治会長(76)がそれぞれ取材に応じた。 難波市長は、最大収容1万人のアリーナを総事業費266億円で建設した場合、運
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静岡市の人口減問題 若年女性流出と出生率の低さ顕著 調査中間報告
静岡市は26日、人口減少問題に関する調査の中間報告会を市役所静岡庁舎で開いた。同市で人口減少が進む主な要因として出生数の低さに着目した上で、若年女性人口の流出や、結婚している女性の出生率の低さが全国の政令市の中でも顕著だとし、今後、居住環境や労働環境との関係性を分析するとした。調査に協力している静岡大の上藤一郎教授(統計分析)は「問題を放置すれば、2035年に(政令市の要件である)人口50万人を下回る可能性が極めて高い」と対策の必要性を強調した。 市内の女性人口は2000年以降減少が続き、総人口に占める15~49歳の女性の割合は20年に18・4%で政令市と東京23区の21都市中20位だっ
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静岡市「災害に強い」否定回答59% 22年台風15号対応影響か 市民意識調査
静岡市は22日、2023年度の市民意識調査結果を公表した。市での暮らしぶりやまちの印象を尋ねた満足度調査のうち、「災害に強く、安全・安心に暮らせるまちだと思うか」を聞いた設問では、「あまりそう思わない」「思わない」の否定的な回答の合計が59・5%となり、「そう思う」「ある程度そう思う」の肯定的な回答の合計32・2%を大幅に上回った。担当者は、22年9月の台風15号の災害対応の影響があったと分析している。 否定的な回答の割合は前年度と比べて21・0ポイント増え、この設問を設けた12年度以降で最も高かった。一方、肯定的な回答は前年度比21・0ポイント減で、過去最低だった。 回答者の居住区別
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静岡大河ドラマ館、市民の入館無料に 20日から閉館28日まで
静岡市は19日までに、葵区宮ケ崎町の静岡浅間神社境内に設置され、2023年の大河ドラマ「どうする家康」の世界観を紹介している静岡大河ドラマ館の市民の入館料を20日から閉館する28日まで無料にすると発表した。 窓口で運転免許証など静岡市内在住と分かる書類を示すことで、大人の入館料200円を無料にする。市外の入館者は浜松、岡崎両市の大河ドラマ館か岐阜関ケ原古戦場記念館(岐阜県関ケ原町)の入場券を示した場合に入館料400円を200円に割り引く。小中学・高校生は無料。 徳川家康や今川義元など戦国武将のかぶとをデザインしたはがき大のオリジナルカードを入館者1人につき1枚無料配布している。
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リニア工事「静岡工区以外も進め方検討」 JR東海社長、部分開業は全面否定
JR東海の丹羽俊介社長は18日に名古屋市で開いた定例記者会見で、リニア中央新幹線品川ー名古屋間の開業目標時期を静岡工区のトンネル工事着手にめどが立たないことを理由に「2027年以降」に変更したことに関連し、「改めて品川ー名古屋間の各工区の進捗(しんちょく)を確認しつつ、工事全体の進め方について検討を始めた」と述べ、静岡工区以外の工事完了時期についても、27年以降にずれ込む可能性に初めて言及した。 丹羽社長は「静岡工区のトンネル掘削工事に着手できなければ、開業時期の見通しを立てることができない」との考えを改めて示した上で、「静岡工区以外の一部の工区についても工程が厳しく、タイトになってきてい
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女性へのAED ためらわないで 三角巾 公共施設に配備 上半身隠しプライバシー保護 静岡市
静岡市は傷病者が女性の場合でもためらわずにAED(自動体外式除細動器)を使ってもらおうと、市所管の公共施設に設置されているAED全567台に、対象者の上半身を隠すための三角巾の配備を進めている。AEDパッドは胸と腹あたりの素肌に直接貼り付ける必要があるため、三角巾をかぶせることでプライバシーを保護する狙い。 2019年に他県でスポーツ大会に出場した女性が心肺停止状態になったが、プライバシーの保護を理由にAEDの使用が遅れ、後遺症が出たとの報道があった。 市は服を着た状態でも下着をずらしてパッドを張る方法があることをチラシで紹介しつつ、服の形状や、水中への転落で服がぬれているケースなど状況によ
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リニア期成同盟会で「部分開業」主張へ 川勝知事、事業促進「1回下山し議論を」
川勝平太知事は15日の定例記者会見で、JR東海がリニア中央新幹線工事で静岡工区の着手のめどが立たないことを理由に品川—名古屋間の開業目標時期を2027年から「27年以降」に変更したことについて、「静岡工区を通らない駅間の開通は27年までにできることを(変更内容は)含有している」と述べ、リニアの沿線都府県でつくる建設促進期成同盟会の中で主張する考えを示した。 リニア事業について連続する2駅間の先行開業が持論の川勝知事は「できるところから開業した方がいい」と改めて述べた上で、品川—名古屋間のうち、静岡工区がある甲府—長野・飯田間を除いた品川—甲府
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難波静岡市長、リニア巡る川勝知事発言批判 環境議論「開業時期の問題とは別」
静岡市の難波喬司市長は12日に市役所静岡庁舎で開いた定例記者会見で、川勝平太知事が、リニア中央新幹線工事に伴う南アルプスの環境保全に関する議論は、JR東海がリニア全線開業目標として掲げる2037年までに解決すればいいとの認識を示したことについて「全く理解できない。行政手続きは、開業時期の問題とは別に速やかにやらないといけない」と批判した。 難波市長は「行政として速やかに環境影響評価をやるのは当たり前」との認識を示した上で、「標準処理期間以上に延ばしたら、不作為や意図的にやらないというふうに見られる可能性がある。開業時期と直接関連づけるべきではなく、行政の責任ある姿としてはあり得ない」と指摘
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静岡駅南口広場を2倍拡張 市が検討 ロータリー分離案提示
静岡市は9日、JR静岡駅南口駅前広場再整備基本計画を策定するための検討委員会(委員長・中村英夫日本大教授)第2回会合を市役所静岡庁舎で開いた。事務局を務める市は、広場面積を現在の2倍となる約1万平方メートルに拡張し、ロータリーを公共交通用と一般車用の2カ所に分離するゾーニング案を示した。 現在の広場東側にあるビルとパチンコ店に加え、建物背面にある平面駐車場の一部も拡張範囲とし、広場南側の市道も取り込むとした。ロータリーを路線バスなどの公共交通機関用と一般車乗降用に分け、駅コンコース出入り口前の空間に広場を設ける。 初回の委員の意見や静岡駅南口利用者対象のアンケート結果を踏まえ、再整備の
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静岡市のリバウェル井川スキー場 13日オープンを20日に再延期
静岡市は9日、暖冬の影響で延期していた葵区井川のリバウェル井川スキー場のオープン時期を13日から20日に再延期すると発表した。市中山間地振興課によると、暖冬の影響に加え、年末年始の降雨で一部の雪が解け、滑走可能な積雪量を確保するめどが立たなかった。2023年12月に開始した人工的な降雪作業を継続し、スキー場ゲレンデの形成を図る。
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南アルプス問題 「37年までに解決」 川勝知事 インタビュー【大井川とリニア】
川勝平太知事は9日までにインタビューに応じ、JR東海がリニア中央新幹線品川-名古屋間の開業目標を「2027年以降」としたことで、リニアの開業時期に関する目標は37年の全線開通(品川-大阪間)だけになったとの認識を示した。その上で、県がリニアトンネルの県内工事を認めない理由の一つになっている南アルプスの環境保全に関する議論を念頭に、「南アルプス問題は37年までに解決すればいい」と述べた。 川勝知事は、JRによる23年12月14日の国への工事実施計画変更申請により「27年(の開業目標)が消えた」とし、37年の全線開通までに「できるところからやればいい」と、持論の連続する2駅の部分開業の正当性を
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静岡市長「能登の被災地支援、全力で」 仕事始め式で訓示
静岡市は5日、仕事始め式を市役所静岡庁舎で開いた。難波喬司市長は石川県の能登半島地震について「対応は長期戦になる。全力で被災地支援に当たってほしい」と幹部職員に訓示した。 市は5日までに消防職員131人や消防車両18台、給水車2台を石川県や富山県の被災地に派遣した。支援先に決まった石川県加賀市には一般職員6人を派遣し、今後も同市の要請に基づき、救援物資の供給や職員を派遣する。難波市長は「現地は非常に厳しい状況ということを踏まえて支援に臨んでほしい」と呼びかけた。 加えて難波市長は、目指す地域社会を市民と共につくる「共創」の言葉を紹介し、今年も市政変革を継続するとした。その上で「変革は痛み
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静岡市 難波市長インタビュー 東静岡アリーナ整備にまちづくり合意も必要 インターナショナルスクール誘致に協力
静岡市の難波喬司市長が3日までに市役所静岡庁舎でインタビューに応じ、JR東静岡駅北口市有地での整備を目指しているアリーナの事業化判断には、周辺住民に対してアリーナ建設の是非だけでなく駅周辺のまちづくりの考え方も合わせて提案し、合意を得る必要があるとの認識を示した。 難波市長は、駅前に1万席規模のアリーナを整備することによる交通渋滞や騒音の問題を念頭に、「アリーナだけの話をしていたら地域の理解を得られない」と指摘した。その上で、次世代型都市交通拠点として東静岡駅北口ロータリーの再整備や近くの静岡鉄道長沼駅の利活用、周辺の用途地域変更の検討など「アリーナを核とした面的な開発の方向性を示す必要があ
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リニア開業目標「2037年だけ」 部分開業の正当性主張 川勝知事会見 【大井川とリニア】
川勝平太知事は26日の定例記者会見で、JR東海がリニア中央新幹線の品川-名古屋間開業時期を「2027年以降」に変更すると国に申請したことは、同社が同区間の開業時期に関する目標を取り下げたのと同じとの見方を示した。開業時期に関する目標は「(37年の)全線開通しかない」とし、それまでに神奈川-甲府の連続する2駅間の部分開業を行うことができるとの自らの考えの正当性を主張した。 川勝知事は、大阪府の吉村洋文知事や山梨県の長崎幸太郎知事もJRの申請をきっかけに「できるところからやればいい」と部分開業を主張しているとし、事業主体であるJRを差し置いて考えを示すことに関しても「国が認可した国家的事業。沿
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静岡市清水区のスタジアム構想 遊休地、土地利用条件を整理 汚染土壌対策に盛り土 市長会見
静岡市の難波喬司市長は22日の定例記者会見で、スタジアム建設構想があるJR清水駅東口のENEOS(エネオス)清水油槽所内遊休地(約15ヘクタール)の土地利用に関する調査の中間報告を公表した。想定される土壌汚染の対策として盛り土措置などを示したほか、近くにある液化天然ガス(LNG)貯蔵タンクから半径300メートルの保安距離を確保するため、敷地の一部では集客施設を配置できないなどと説明した。 市は土地活用上の課題や利用条件を整理することで、民間事業者による投資計画を呼び込みしやすくする考え。来年3月までにIAIスタジアム日本平の改修に関する概算費を算出し、エネオス遊休地にスタジアムを誘致する
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田代ダム取水抑制案 JRと東電RP合意 湧水流出対策【大井川とリニア】
JR東海は21日、リニア中央新幹線トンネル工事湧水の県外流出対策「田代ダム取水抑制案」について、ダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東京、東電RP)と実施に関する基本合意書を同日付で締結したと発表した。名古屋市で開いた定例記者会見で明らかにした丹羽俊介社長は「大井川流域で水を利用する人たちの心配の解消に向けて大きな前進」と述べた。 丹羽社長は、県や大井川流域市町に10月に示した取水抑制の方法や、取水抑制に伴う補償の考え方について東電RPと合意したと説明した。合意書の中には、冬場の渇水期に必要な取水抑制量を確保できない場合に、東電RPが大井川からの取水と発電所の運転を一時的に全停止す
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記者コラム「清流」 国会議 役割果たしたか
「結論を先延ばしすることが県民、国民にとってよいことではない」。リニア工事の環境保全措置について議論してきた国土交通省専門家会議の中村太士座長が報告書をまとめた後、初めて応じた取材で話した言葉。2022年6月の議論開始以降、協議の中身よりも議事進行を気にするそぶりが目立っていた座長の本音をようやく聞くことができた気がした。 国交省が認可した工事の遅れを少しでも早く取り戻す-。そんな思いが読み取れた。だが、県との意思疎通が乏しいまま、国会議の結論をまとめたことがリニアの早期開通に本当につながるのかは見通せない。 JR東海を具体的に指導し、県との議論を前に進めるのが本来の国会議の目的だったは
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南アルプス環境保全 国の専門家会議「報告書」 貴重な生態系守れるか【大井川とリニア】
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事の環境保全について1年半にわたり議論してきた国土交通省専門家会議が最終的な報告書を取りまとめた。大井川上流部の沢の流量が減少し、生態系に影響が生じる可能性を認めた上で、現象が生じる場合にJR東海は、静岡県や静岡市と具体的な低減措置や代償措置を検討するのが適切な手法と結論づけた。報告書で整理された対策は、ユネスコエコパークにも登録される南アルプスの貴重な自然環境を守り、地元関係者の理解を得ることにつながるのか。成果と課題を読み解く。 (政治部・尾原崇也、東京支社・山下奈津美) リニア中央新幹線計画ルート 生息場管理「最適手法」 工事に伴い流量
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静岡市11月補正、70億円追加 デジタル商品券発行など
静岡市は12日、国補正予算成立に伴い、2023年度一般会計に70億5800万円を追加する11月補正予算案を発表した。物価高騰を受けた国の総合経済対策として、住民税非課税世帯への7万円給付のほか、プレミアム付きデジタル商品券の発行や貨物輸送事業者支援に取り組む。 デジタル商品券は市民か市内在勤、在学者を対象に、市内の小売店や飲食店で使用できる1口6250円分の商品券を5千円で販売する。スマートフォンなどで発行から決済まで完結できるようにし、印刷物の商品券は発行しない。発行数は52万口で、利用は1人4口(2万円)まで。利用期間はシステム整備後の24年5~10月を見込む。 貨物運送事業者支援は
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国会議座長見解に異論 静岡市長「必要な調査すべき」 南アルプス環境調査【大井川とリニア】
静岡市の難波喬司市長は8日の定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事の環境保全に関する国土交通省専門家会議の中村太士座長(北海道大教授)が、静岡県が求める追加の生物調査などに否定的な見解を示したことについて、「必要があれば、時間がかかってもちゃんとした調査をやらないといけない」と異論を唱えた。 中村座長は7日、リニア工事に伴う南アルプスの生態系への影響や対策に関する報告書を斉藤鉄夫国交相に提出した後、取材に応じた。大井川上流部の沢に生息する水生生物への影響予測や保全措置を適切に行うために県が追加調査の必要性を指摘したのに対し、座長は「2、3年かけて調査しても、全てが分かるわけではない。
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リニア工事の国交省会議が報告書提出 静岡県やJR 環境保全策議論へ
リニア中央新幹線トンネル工事が南アルプスの生態系に与える影響を議論してきた国土交通省専門家会議は7日、報告書を取りまとめ、斉藤鉄夫国交相に提出した。JR東海と県、静岡市などが年明け以降、報告書が示す環境保全措置の考え方を踏まえ、具体的な対策の議論を本格化させる。 中村太士座長(北海道大教授)が同省を訪れ、斉藤国交相に手渡した。国交相は「科学的な議論を丁寧に積み重ねてもらった。報告書に沿って、必要な対策をとるようにJR東海に求めたい」と述べた。8日に同社の丹羽俊介社長に面会し、直接要請するとした。 報告書の提出後、中村座長は2022年6月の協議開始以降初めて、報道陣の取材に応じ、「あまり長
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静岡市、経済対策70億円追加 補正予算案提出へ
静岡市は6日までに、国の経済対策の補正予算成立を受け、市民生活と事業者支援を柱にした経済対策として約70億円を追加する2023年度一般会計補正予算案を13日の市議会11月定例会最終本会議に提出する方針を固めた。市民が使うことができるプレミアム商品券を52万口発行するほか、人手不足が深刻化する「2024年問題」に直面する貨物運送事業者対象の助成制度を導入する。関係者への取材で分かった。 プレミアム商品券はスマートフォン決済対応のデジタル版で、1口6250円分を5千円で販売する。市民1人当たり4口(2万円分)まで購入可能とし、24年5~10月に市内の店舗で利用できるようにする。 貨物運送事業
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静岡市長、静岡県の姿勢批判 燕沢残土「災害時責任、JRだけでない」【大井川とリニア】
静岡市の難波喬司市長は5日、リニア中央新幹線トンネル工事の環境影響評価に関する市協議会を前日に開催したことを受け、市の考えを改めて説明する記者会見を市役所静岡庁舎で開いた。JR東海が大井川上流部の燕(つばくろ)沢近くに計画するトンネル残土置き場の災害時の影響に関する静岡県と同社の議論について、「大規模災害発生時の責任をJRにだけ求めるのはおかしい」と県の姿勢を批判した。 市協議会では、燕沢上流部の上千枚沢などで大規模な深層崩壊が発生し、高さ100メートルに及ぶような土砂ダムが形成された場合を想定し、燕沢の盛り土の影響を検討した。 難波市長は会見で、盛り土の存在が災害危険度を高めるケースが
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QRコード納税、個人全税目に拡大 静岡市、4月から
静岡市の国分英夫納税課長は5日の市議会総務委員会で、2024年4月からQRコード納税の対象税目を拡大し、個人住民税など個人対象の市税税目全てを対象にすると明らかにした。納税者の利便性向上や収納率向上を図るとともに、事務経費削減につなげる。尾崎行雄氏(自民)と山梨渉氏(公明)への答弁。 督促状や再発行納付書を含めて個人対象の税額が確定している全ての納付書にQRコードを記載し、決済に対応する。制度上、対応が困難な法人市民税など一部法人関連諸税は除く。 国分課長はこれまで一般的な金融機関での窓口納付について、今後は金融機関から自治体へ手数料の支払い要請が見込まれるとし、将来的な市税の収納コスト
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燕盛り土「危険度高めない」 静岡市長、大規模深層崩壊想定 リニア工事
リニア中央新幹線トンネル工事に関する静岡市の事業影響評価協議会(会長・増沢武弘静岡大客員教授)は4日、第14回会合を市役所静岡庁舎で開き、前回に引き続き、JR東海が大井川上流部の燕(つばくろ)沢近くに計画する残土置き場の環境影響評価について協議した。難波喬司市長は、前回の想定の9倍となる土砂量9千万立方メートルの土砂災害を新たに想定した上で、「燕(沢の)盛り土が災害危険度を高めることになるとは言えない」との認識を改めて示した。 市は前回、JRの災害想定を上回る1千万立方メートルの深層崩壊土砂量を独自に想定した上で、JRの環境保全措置に大きな問題はないとの認識を示していたが、委員から、周辺で
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学校修繕実施 要望の半数 22年度、市立小中学校 静岡市議会定例会
静岡市議会11月定例会は1日、前日に続いて総括質問を行い、8氏が登壇した。青嶋浩義教育局長は2022年度に市立小中学校計120校から施設の修繕要望が1436件寄せられたのに対し、実施したのは約半数の713件で、残りの723件は未実施だったと明らかにした。島直也氏(自民党市議団)への答弁。 22年度の修繕要望件数は、各学校が4月に市教委に提出した老朽化に伴う要望と、台風などによる年度途中の突発的な案件を合わせた数。青嶋教育局長は現地調査を行った上で、危険度や緊急度を考慮して修繕の優先順位を決めているとし、壁の塗装や床の張り替えなど緊急性が低い案件は未実施になっていると説明した。 同教育局
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田代ダム案「条件付き了解」 静岡県、JR東海に送付 リニア湧水流出対策
静岡県は29日、JR東海が示したリニア中央新幹線トンネル工事湧水の県外流出対策「田代ダム取水抑制案」について、県や大井川流域市町、利水団体で構成する大井川利水関係協議会(利水協)として案の実施を了解するとの意見を取りまとめ、同社に送付した。併せて、流出量に対して必要な河川流量を確保できないなど案が実行できない状態が続いた場合の対応などについて、利水協への事前の説明や県有識者会議専門部会での協議を要請し、実質的には「条件付き了解」の内容になった。 川勝平太知事も29日、コメントを発表し、JRが10月に示した田代ダム案の具体的な実施案を「大井川中下流域の河川流量への影響を回避する保全策となり得
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静岡市の公共施設削減、23年度内に新方針 市長「売却を加速」 計画遅れで見直しへ
静岡市議会11月定例会の総括質問が29日始まり、5会派が代表質問を行った。難波喬司市長は、公共施設延べ床面積の20%縮減を目指す計画「アセットマネジメント基本方針」について2014年度に策定した同計画を見直した上で、公共施設の売却など民間活用を加速させる考えを明らかにした。自民党市議団の平井正樹氏への答弁。 同計画では、11年度末時点で総延べ床面積230万平方メートルの市保有施設について、43年度までに20%削減する目標を掲げるが、計画策定から8年後の22年度末時点で2・0%減にとどまり、年割りの目標を下回っている。 難波市長は、民間が提供できるサービスを積極的に導入して公共施設の増新
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川勝知事「生態系保全措置が前提」 静岡県内ボーリングでJR社長にくぎ【大井川とリニア】
川勝平太知事は28日の定例記者会見で、JR東海が示したリニア中央新幹線トンネル工事湧水の静岡県外流出対策「田代ダム取水抑制案」の実施案を県が認めた場合でも、南アルプスの生態系保全に関する協議がまとまらなければ、JRが山梨県から県境を越えて静岡県内で高速長尺先進ボーリングを実施することは認められないとの認識を示した。 JRの丹羽俊介社長が16日の定例記者会見で、田代ダム案について東京電力リニューアブルパワー(東京)との協議が合意に至れば、静岡県内でボーリングを実施する状況が整うとの認識を示したのに反発した。 知事は、JRが山梨県で掘り進めるリニアトンネル工事の先進坑先端から静岡県内に向かっ
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⚾静岡市長、川勝知事「球史に名刻んだ」 プロ球団「ハヤテ223」誕生に喜び
静岡市が拠点の野球球団「ハヤテ223(ふじさん)」の杉原行洋代表は24日、来季からのプロ野球2軍ウエスタン・リーグ参入が正式決定したことを難波喬司市長と川勝平太知事に報告した。両首長とも「日本プロ野球史に名を刻んだ」などと喜び、行政として球団運営を支援していくことを約束した。 市役所静岡庁舎を訪れた杉原代表は、プロ野球球団が新規2球団を加えても全国に14球団しかないことに触れ、「(サッカーJリーグの)清水エスパルスが(リーグ発足時加盟クラブの)『オリジナル10』を成し遂げたのと同じくらいの重みを感じている」と述べた。その上で、「球団の立ち上げは非常に困難を伴う」として支援を要請した。球団社
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田代ダム案了解で最終調整 静岡県と流域市町、実施前説明を付言 リニア・トンネル工事
リニア中央新幹線トンネル工事で生じる湧水の県外流出対策「田代ダム取水抑制案」を巡り、静岡県と大井川流域市町は、JR東海が10月に示した具体的な実施案を了解する方向で最終調整していることが24日までの関係者への取材で分かった。ただ、実施案には県外流出量と同量の取水抑制ができない状態が続いた場合の対応が記されていないため、実施前に説明するよう付言する見通し。 県は、大井川流域の市町や利水団体で構成する大井川利水関係協議会の意見を取りまとめ、来週中にもJRに送付する。県有識者会議の専門部会委員からも意見が寄せられているとし、同部会で引き続き、田代ダム案の実現性に関する協議を続けることも要請する考
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南アルプス環境調査 希少植物移植「難易度高い」 静岡市長 代償措置に慎重【大井川とリニア】
静岡市の難波喬司市長は22日、リニア中央新幹線トンネル工事の影響が懸念される南アルプスの動植物環境調査の結果、調査対象とした希少植物の9割以上で移植の長期的な根付かせが難しいことが確認されたとし、「代償措置として移植・播種(はしゅ)に頼るのは慎重にならざるを得ない」との見解を示した。市役所静岡庁舎で開いた定例記者会見で質問に答えた。 市は2022年度に実施した調査で、JR東海が工事実施前の環境保全措置として、改変想定地域から別の南アルプスユネスコエコパーク区域内に17、18年度に移植・播種した希少種15種の生育状況を調べた。ホソバハナウドやタチキランソウなど5種は個体が確認できず、ミヤマ
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全国初制覇目指す 常葉大橘中女子サッカー部 市役所で抱負
全日本U-15女子サッカー選手権大会に東海地域代表として出場する常葉大付属橘中女子サッカー部がこのほど、静岡市役所静岡庁舎に難波喬司市長を訪ね、意気込みを伝えた。 同部は、多くの強豪クラブチームが参加して4~10月に行われた東海リーグで8チーム中1位の成績を収め、8年連続16回目の全国大会出場を決めた。過去の最高成績はベスト4。 1~3年の部員32人が静岡庁舎を訪れ、代表して主将の3年生望月心愛さんが「たくさんの練習や遠征を経験した成果を最大限発揮し、全国制覇を目指す」と力強く語った。難波市長は「悔いのない試合をしてきてほしい」と激励した。 全国大会は三重県や東京都などで12月9~27日に行
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主演松本さんと「どうする家康」最終回楽しもう! PVとトークショー 12月に静岡市
静岡市は17日、大河ドラマ「どうする家康」の最終回が放送される12月17日の午後5~7時半、主演の松本潤さんを招いたパブリックビューイングとトークショーを同市葵区駿府町の市民文化会館で開くと発表した。今月18日から来場者を受け付ける。定員1800人。入場無料。 午後6~7時に放送される最終回を大スクリーンで視聴し、その前後で松本さんがトークショーを行う。イベントの主催は、ドラマを通じた地域活性化に取り組む「市大河ドラマ『どうする家康』活用推進協議会」(事務局・市)で、詳しい内容が決まり次第、同協議会の公式ホームページで発表する。 申し込みは11月18~26日に同ホームページの申し込みフォ
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リニア、静岡県内先進ボーリング 田代ダム案合意なら実施 JR東海社長会見
JR東海の丹羽俊介社長は16日に名古屋市で開かれた定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事湧水の県外流出対策「田代ダム取水抑制案」を巡り、東京電力リニューアブルパワー(東京)との協議が合意に至れば、県内で高速長尺先進ボーリングを実施する状況が整うとの認識を示した。 JRが山梨県内の先進坑先端部から県内に向かって実施する計画のボーリングについて静岡県は、山梨県側に流出する湧水への対策や生態系の観点からの対策を議論した上で掘り進めるよう求めていた。 丹羽社長は会見で「東京電力リニューアブルパワーと(ダム案で)合意し、流出する湧水と同量を県側に戻すことが実施可能になった場合には、県境を越え
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歩行者優先のまちづくりを 静岡市議会特別委 名大教授が講演
静岡市議会総合交通政策特別委員会は16日、次世代交通システムについて知見を深めるため、名古屋大未来社会創造機構モビリティ社会研究所の森川高行教授を招いた講演会を市役所静岡庁舎で開いた。教授は、将来も地域の公共交通網を維持するために自動運転技術を活用する必要性を強調したほか、地域の魅力を高めるために、歩行者優先のまちづくりに取り組む大切さを指摘した。 森下教授は、国内で人口減少が進展する中、地域間競争が一層激しさを増すとし、「選ばれる地域」になるためには、安価な自動運転タクシー導入などが欠かせなくなると説明した。 利便性の高い公共交通機関が導入されれば、将来的にはマイカー需要が減少し、市街
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全国初出場3位報告 市長訪問「文武両道で頑張る」 静岡医療学園専門学校サッカー部(駿河区)
全国専門学校サッカー選手権大会で3位になった静岡医療学園専門学校(静岡市駿河区)サッカー部の学生らが13日、市役所静岡庁舎を訪れ、難波喬司市長に報告した。 大会は10月1~5日に堺市で行われ、全国各地の予選会を勝ち抜いた16校が参加した。本県代表として初出場した静岡医療学園は準決勝で、優勝したルネス紅葉スポーツ柔整専門学校(滋賀県)に敗れたものの、3位決定戦でシティーフットボールアカデミー(栃木県)をPK戦の末に破った。 主将の3年千葉涼さん(20)は12人の登録選手で計4試合を戦ったことを紹介し、「みな満身創痍(そうい)だったが、チーム一丸となった」と振り返った。次期主将の2年原田康聖
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リニアの生態系影響巡る国会議 終了に川勝知事「非常に残念」 「静岡県の懸念共有」評価も
川勝平太知事は9日の定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う南アルプスの生態系への影響を議論する国土交通省専門家会議が協議を終えたことについて、「議論が必要な課題が残されたまま、報告書を取りまとめようとしていることは非常に残念」と述べた。「国会議で静岡県の懸念が共有された」とも話し、会議に一定の成果があったとの認識も示した。 川勝知事は、国会議が7日に開かれた第14回会合で大筋合意に至った報告書案について、「環境保全の取り組みの進め方で、大枠を示しただけ。当初の目的だったJR東海への具体的な助言、指導まで踏み込んでいない」と批判した。具体的には、沢の流量減少や、トンネル湧水放流の
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PFAS 国指針の26~7倍 静岡市清水区・地下水調査 市は飲用控えるよう呼びかけ
発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFAS)が、静岡市清水区三保の化学工場で2007年に排出をほぼ終えた後も工場周辺の水路などから高濃度で検出された問題で、静岡市は8日、工場周辺の井戸5カ所で採取した地下水の調査結果を公表した。このうち4カ所で国の指針値を26倍~7倍上回るPFASが検出され、市は三保地区の井戸水を飲まないよう注意喚起した。 市は10月17~20日、工場敷地境界から約250メートル以内にある民間井戸の地下水を調べた。同工場から約50メートル東の井戸で1リットル当たり1300ナノグラム(速報値)を検出したほか、ほかの3カ所でも700~350ナノグラム(同)の値が出た。国の指
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リニア国交省会議 年内にも生態系報告書 1年5カ月の協議終了 静岡県の議論継続要求却下
リニア中央新幹線トンネル工事が南アルプスの生態系や自然環境に与える影響を議論する国土交通省の第14回専門家会議が7日、東京都内で開かれ、事務局を務める同省が、9月の前回会議で示した「報告書案」の修正版を提示した。微調整を経て年内にも成案化することで中村太士座長に一任し、2022年6月から1年5カ月間続けた協議が終了した。県は、生態系に与える影響や対策などの検討が不十分として議論の継続を求めたが、受け入れられなかった。 県とJR東海の協議が膠着(こうちゃく)状態に陥ったことから、20年4月に大井川水資源問題を皮切りに始まった国交省専門家会議の議論は一定の区切りを迎えた。 自然環境に関する報
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静岡市民文化会館 ロビー拡張、広場整備断念 静岡市長が方針、「創造的改修」は維持
静岡市の難波喬司市長は6日の定例記者会見で、物価高騰を受けて設計作業の見直しを進めている市民文化会館(葵区)の大規模改修について、これまでポイントに掲げていたロビーの拡張と広場の整備を取りやめる方針を表明した。市長は「既存設備のリニューアルが(改修の)中心となる」と説明。一方、2020年3月に策定した同館の再整備方針や、22年1月の基本構想・基本計画で掲げた多様な利用に対応する「創造的改修」の方針は維持するとした。 市は同館の再整備の基本構想・基本計画発表時に想定工事費を約160億円とし、22年4月の基本設計委託業者の募集時は約140億円に圧縮した。この金額が建築資材費などの高騰で再び16
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新幹線静岡駅停車増予測、難波市長「現実性ある」 リニア開業後、実現に期待
静岡市の難波喬司市長は6日の定例記者会見で、国土交通省によるリニア中央新幹線開業後の静岡県内の東海道新幹線停車本数調査について「現実性があると思っている」と述べ、JR東海が調査結果通りに増便するよう市として静岡駅での乗降客数を増やす努力をする必要があるとの認識を示した。 同省の調査では、品川-大阪間のリニア全線開業後、東海道新幹線の県内6駅に停車する回数が約1・5倍に増え、静岡駅では現在1時間に3本が5本に増える可能性があるとした。 難波市長は、JRの丹羽俊介社長が10月の定例記者会見で同調査結果について「違和感はない。あり得る範囲」と言及したことを踏まえ、実現に期待を示した。その上で、
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静岡市民文化会館 改修費20億円圧縮 PFI取りやめ、市11月補正予算案
静岡市は6日、2023年度一般会計に9億2300万円を追加する11月補正予算案を発表した。建築資材価格の高騰を踏まえて、整備手法をPFI(民間資金活用による社会資本整備)方式から従来の公共事業方式に変更する市民文化会館(葵区)の大規模改修事業については、想定工事費をこれまでの約140億円から約120億円に圧縮するよう基本設計を変更する。補正予算案は20日開会の市議会11月定例会に提出する。 市は6月、物価高で整備費用が増大するとして改修規模の見直しを発表していた。精査の結果、耐震改修や既存設備のリニューアルが主な内容となったため、整備内容に民間事業者の創意工夫を取り入れるPFI方式採用の必
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静岡市合併20周年祝う 演劇、踊りで盛り上げ
静岡市は4日、旧静岡市と旧清水市が合併し、新市が誕生して20年になったのを祝う「市制施行20周年記念式典」を葵区の市民文化会館で開いた。行政の関係者や市民ら約850人が来場し、新市のこれまでの歩みを振り返ったほか、まちの将来像について地元の学生と難波喬司市長が意見交換した。 市内在住の静岡大、県立大、常葉大の学生6人が登壇し、「未来に引き継ぎたい市の魅力」と「30年後の市の未来像」をテーマに意見を発表した。市の魅力については「景観」や「豊かな自然」などが挙がった。まちの将来像に関してはスポーツによる地域振興や国際化の進展を思い描いた。 難波市長は学生の意見に賛同し、「静岡市の一番の魅力は
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リニア国会議の目的とそぐわず 静岡県、報告書案に意見書
静岡県は1日、リニア中央新幹線トンネル工事の自然環境への影響に関する国土交通省専門家会議がまとめた「報告書案」に対する意見書を同省に送付した。県は文書の中で、同会議での議論が不十分なため、このまま案がまとまり、県有識者会議専門部会での協議が再開しても「再度議論する必要が生じる」と懸念を示し、「JR東海に具体的な助言・指導を行うとして立ち上げられた国会議の目的にそぐわない」と強い言葉でけん制した。 県は、今後も国会議で議論が必要な課題として主に6項目を挙げた。ただ、事務局の国交省鉄道局は年内にも報告書を取りまとめる考え。これまで県が同局に提出した意見書5件はいずれも議論に反映されず、今回も
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国の新幹線停車増試算「あり得る範囲」 JR東海社長、知事見解に反論【大井川とリニア】
JR東海の丹羽俊介社長は30日、名古屋市で開いた定例記者会見で、国土交通省によるリニア中央新幹線開業後の県内の東海道新幹線停車本数調査について「違和感はない。あり得る範囲」との認識を示した。同省の調査を巡っては、県内6駅に停車する列車本数を約1・5倍に増やせるとした予測を川勝平太知事が「仮定を言っているだけ。内容がお粗末」などと批判したが、実際にダイヤを決めるJRが調査の実現性に一定の担保をした格好だ。 丹羽社長は「具体的な(東海道新幹線の)ダイヤは将来決める」としつつ、同省が示した県内駅の停車回数の想定を「数字の違和感はない」と述べた。その上で、「静岡県の皆さんにリニアのメリットを実感し
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男子A A.S.A.Iが連覇/女子 アオヤマクV4 テニス・静岡県クラブ対抗トーナメント
第40回県クラブ対抗テニストーナメント(県テニス協会、静岡新聞社・静岡放送主催)が22日、草薙庭球場で行われ、県内の44チームがレベルや年代別の男女5種目でダブルス団体戦のトーナメントを戦った。男子AはA.S.A.I(西部地区代表)が前回大会に続いて優勝し、女子はアオヤマクラブ(西部)が4連覇を達成した。 決勝でA.S.A.IはパルケSC(西部)を3―0で下し、アオヤマクラブはグリーンヒル(中部)に2―1で競り勝った。男子BはTFT(西部)、男子45歳以上はNWTC(西部)、女子45歳以上はマインドサン(西部)がそれぞれ頂点に立った。 ▽男子A決勝 A.S.A.I 3―0 パルケSC
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静岡・大道芸W杯 海外アーティスト4年ぶり招聘 大会概要発表
静岡市で11月2~5日に「大道芸ワールドカップ(W杯)in静岡」を開催する実行委員会は19日、市役所静岡庁舎で記者会見を開き、大会概要を発表した。30回目の記念大会となる今回は、新型コロナウイルス禍前の2019年以来、4年ぶりに海外アーティストを招聘(しょうへい)し、開催4日間で100万人以上の集客を目指すとした。 歴代の大会チャンピオンとして日本を含む7カ国から5組8人を招く。06年チャンピオンのアランシュルツ(チェコ)や07年のニーニョ・コストリニ(アルゼンチン)らが出場を予定する。このほか、市が取り組む国際交流事業の一環で韓国の釜山、全州両市からもアーティスト5組が参加する。 大会
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レッサーパンダの赤ちゃん 10月24日から一般公開 名前も募集 静岡市立日本平動物園
静岡市立日本平動物園(駿河区池田)は7月に生まれたレッサーパンダの赤ちゃんの一般公開を24日から始める。併せて、赤ちゃんの名前を同日から11月26日まで募集する。 雌の赤ちゃんで、7月9日、雄の和(4)と雌のニコ(6)の間に生まれた。ニコの母乳を飲んで順調に育ち、生まれたときに225グラムだった体重は2・3キロに増えた。茶っぽい毛色や尻尾のしましま模様も大人と変わらなくなり、予定より1週間ほど早く公開を決めた。 同園によると、怖がりな性格で、飼育員の動作や、動かした竹を見ては鳴き声を上げて威嚇するという。一方で好奇心旺盛な一面もあり、飼育員に近づき興味深そうに見つめる様子もみられる。
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静岡市葵区諸子沢の大規模地滑り 調査、対策に半年超の見通し
静岡市葵区諸子沢の山間部で8月に発生した大規模な地滑りについて今後の対応策を検討する市の防災対策委員会(会長・今泉文寿静岡大教授)は17日、現地調査と、地元住民を交えた意見交換会を行った。避難生活を送る住民が帰宅のめどを尋ねたのに対し、委員側は、地滑りが再び発生する可能性を否定できず、調査や対策に少なくても半年以上かかるとの見通しを示した。 市によると、推定73万立方メートルの土砂が崩落し、大久保沢や諸子沢を下って市道日向諸子沢線まで約1・5キロ区間にわたり流出した。市は現在も周辺の5世帯12人に避難を呼びかけていて、このうち3世帯が市営安倍口団地に入居するなど1カ月以上の避難生活を余儀な
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通学補助要綱改ざん 静岡市長「非常に深刻」 再発防止策検討へ
静岡市の難波喬司市長は13日の定例記者会見で、小中学生に対する遠距離通学補助金要綱を担当職員が改ざんし、不適切な補助金交付が行われていた問題について「非常に深刻。まさかこういうことが行われるとは、私自身の認識が甘かった」と述べ、おわびした。市教育委員会で起きた事案だが、今後、市長事務部局も含めて再発防止策を講じるとした。 2022年度の市内部統制評価報告書によると、児童生徒支援課の職員は同年度、全額補助できると意図的に変更した要綱を添付した上で、小学生2人に対する補助金交付決定起案文書を作成した。文書は起案通りに決裁され、補助金の一部が保護者に交付された。 難波市長は、上長による決裁の
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静岡市開設予定の災害時情報サイト SNSやAI積極活用 市長方針
静岡市の難波喬司市長は13日の定例記者会見で、2024年度中に開設予定の「災害時総合情報サイト」について、被害に関する情報収集と分析能力を強化するため、SNS上の情報やAI(人工知能)技術を積極的に活用する考えを示した。 市内で大規模な風水害が発生した際、SNSで投稿された浸水被害に関する断片的な情報や、電信柱などに設置した浸水センサーの情報をAIが分析し、被害範囲を推定するシステムを新たに導入する。市の対応方針の迅速な決定に役立てる。ドローンを使った空撮映像や3次元点群データの取得も進め、迅速、正確な状況把握に努めるとした。 これまでは市単独予算によるサイトの作成を想定していたが、国の
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取水抑制「1週間単位」 田代ダム案 JR、東電と協議【大井川とリニア】
リニア中央新幹線トンネル工事湧水の県外流出対策「田代ダム取水抑制案」についてJR東海は、1週間単位で取水抑制することを前提に、田代ダム(静岡市葵区)を管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)と協議していることが12日までに、関係者への取材で分かった。県外流出量に対して取水抑制量が足りない場合の対応も検討していて、翌々週以降に不足分を加味する形で抑制量を増やし、調整を図る案を検討している。 JRは9月下旬から、これらの前提について県や大井川流域市町、利水団体などに説明を始めた。関係者の理解を得た上で、東電RPとさらに具体的な協議を進める考えを示しているという。 関係者によると、JR
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博物館、図書館 社会的役割は 日中韓の取り組み紹介 静岡でシンポ
静岡県立大は8日、日中韓3カ国の博物館、図書館がそれぞれ果たす社会的な役割や取り組みについて学ぶシンポジウム「東アジア地域における博物館・図書館の役割」を静岡市駿河区のグランシップで開いた。中国、韓国両国の担当者が登壇し、地域の取り組みを紹介した。 日中韓の都市が文化交流する「東アジア文化都市」の2023年国内開催都市として県が進める交流事業の一環として企画され、学生ら約100人が聴講した。 韓国からは、全州市図書館政策課長の趙美貞[チョミジョン]さんが本県の関係者とともにパネルディスカッションに参加した。趙さんは、市内外から数万人が訪れるという全州市の図書館の交流イベント「ブックフェス
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静岡駅南口憩いの空間に 市検討委 広場再整備へ初会合
静岡市は6日、JR静岡駅南口駅前広場再整備基本計画を取りまとめるための検討委員会の初会合を市役所静岡庁舎で開いた。ロータリーが混雑し、歩行者の憩いのための空間が少ないなど現状の課題を委員間で共有し、目指す機能や空間づくりについて意見交換した。 事務局を務める市が、同広場利用者の約8割が徒歩との調査結果を示し、新しい広場は歩行者優先の空間整備を行う必要性を指摘した。委員からは歩行者の休憩、飲食スペースを設け、交流を生み出すための空間をつくったり、広場利用者を駅南銀座商店街に誘導したりするアイデアが出た。 路線バス、タクシーの交通事業者の委員はロータリーの面積、機能の拡充のほか、乗車待ちの行列と
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静岡市 通学補助要綱改ざん 22年度報告書「重大な不備」
静岡市は2日の市議会総務委員会で、小中学生に対する遠距離通学補助金制度の要綱を担当職員が改ざんし、不適切な補助金交付が行われていたと明らかにした。「組織として重大な過失があったと言わざるを得ず、市政に対する信用失墜の程度は大きい」とし、市議会に提出した2022年度の「市内部統制評価報告書」で市政事務の「重大な不備」として評価し、記載した。佐藤成子氏(志政会)への答弁。 同報告書によると、22年4月、足久保小が美和中の敷地内に移転したことに伴い、児童2人の通学費が年額3万8千円の補助上限を超えて自己負担が生じることになった。市児童生徒支援課の職員は事前の財政当局への予算要求で、要綱に従い全額補
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静岡市、清水庵原球場改修へ 「ハヤテ」プロ野球2軍参入 受け入れ準備本格化
「ハヤテ223」のプロ野球2軍リーグ参入が29日に内定したことを受け、ハヤテ223と包括連携協定を結ぶ静岡市は、チームが本拠地とする市清水庵原球場(清水区)の改修など、受け入れ準備を本格化させる。 ハヤテ側は球場の設備について内外野のフェンスの強化や、ナイターに支障が生じないよう照明機能の向上などを求めている。市はシーズンが始まる2024年3月までのスケジュールを念頭に、早急に検討する。 駐車場の確保と交通渋滞対策も課題に挙がる。同球場の駐車場は200台分で、第2球場に約400台分の臨時スペースを設けたとしても週末などの試合では不足する可能性が高い。市の担当者は「渋滞対策は基本、興行側の
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4車線化2027年度末完了 静岡駅賤機線 静岡市が目標明示
静岡市は29日の市議会都市建設委員会で、都市計画道路静岡駅賤機線(葵区)の2・7キロ区間を4車線化する街路整備事業について、2027年度末の供用開始を目指して工事を進めるとし、初めて時期を明示した。繁田和三氏(自民党市議団)の質問に答えた。 市葵南道路整備課によると、同事業は1995年度に県が着手し、市が2005年度に政令市に移行したのを機に引き継いだ。三つに分けた工区のうち、南側の「昭府町工区」(1・1キロ)と「松富工区」(0・7キロ)は21年度までにほぼ4車線化が完了し、最後に残った北側の「松富2工区」(0・8キロ)の整備を進めている。 同課の尾焼津健課長は、事業全体の用地取得率が
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委員から「薄暗くて寂しい」 静岡・紺屋町地下街の再整備難航 所有権分散、合意に時間
28日に開かれた静岡市議会都市建設委員会で、葵区紺屋町の地下スペース「紺屋町準地下街」について、委員から「薄暗くて寂しい」と再整備を求める意見が出た。市の高田千央市街地整備課長は、地下店舗が入るビル群が長屋のようにつながった構造の上、店舗ごとに所有権が分かれているため、再整備に向けた合意形成には時間がかかる事情を説明した。 同課によると、地下街は1964~72年、民間ビルの建設に合わせて整備された。80年に地下街(当時静岡駅前ゴールデン街)でガス爆発事故が発生し、大規模改修工事が行われたことをきっかけに地下道部分の管理が市に移転された経緯がある。 高田課長は、長屋形式で建てられたビルは壁
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建設発生土 処理地整備を支援 静岡市新制度 民間業者公募
静岡市は民間による建設発生土処理地整備を支援する制度を立ち上げ、27日から事業者の公募を始めた。市内には建設発生土の最終処理地が少なく、2022年9月の台風15号被災時には災害発生土の置き場の確保に苦慮した経緯がある。27日の定例記者会見で発表した難波喬司市長は、新制度により処理量約500万立方メートル分の最終処理地確保を目指すとした。 制度の申請は、最終処理地では15万立方メートル以上、中間処理地では1万立方メートル以上の処理が可能な土地であることが条件。市は処理地への搬入を円滑化させるために周辺の市道を改良したり、盛り土に対する影響調査を支援したりする。土地の造成は事業者が行う。 市技術
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リニア国交省会議が報告書案提示 「順応的管理」の手法で環境保全 静岡県は不満も
リニア中央新幹線トンネル工事が南アルプスの自然環境に与える影響を議論する国土交通省の第13回専門家会議が26日、東京都内で開かれ、事務局を務める同省がこれまでの議論をまとめた報告書案を提示した。影響が確認された状況ごとに適宜対策を講じる「順応的管理」の手法で環境保全を図るなどの内容。静岡県は自然環境に与える影響を明確にした上で、JR東海に具体的な回避策を指導することを求めていて、報告書案に不満を漏らした。 報告書は大井川中下流域の水資源に与える影響をまとめた「中間報告」(2021年12月公表)に続く、専門家会議としての一定の結論となる。同省はこの日の委員の意見を反映させた上で「早期に(報告
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国交省専門家会議 報告書案 静岡県の要望反映されず 年内にも最終まとめ
リニア中央新幹線トンネル工事に伴う南アルプスの生態系への影響を議論する国土交通省専門家会議は26日、事務局を務める同省がこれまでの議論をまとめた報告書案を提示し、年内にも最終的な報告書がまとまる見通しとなった。ただ、大井川上流部の沢に生息する水生生物への影響に関する議論では、種別の生き物への影響や対策に踏み込まず、静岡県は報告書案の内容に不満を漏らした。このまま報告書がまとまっても、県とJR東海の協議が進展するかは微妙な状況だ。 沢の水生生物の影響については、JRの示したシミュレーションで、上流部の沢35カ所のうち7カ所で流量減少傾向が確認された。報告書案は、重要種の生息状況を踏まえて1
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難波静岡市長 リニア問題で県に異論次々 立場変わり「主張」も?…戸惑いの声 JR協議、打開に期待感も
静岡市の難波喬司市長がリニア中央新幹線トンネル工事を巡る静岡県の対応に異論を唱える場面が増えている。4月に行われた市長選に立候補するため2022年11月に県を退職するまでは、県のリニア問題の責任者としてJR東海に厳しい姿勢で臨んだ難波氏だが、市長就任後はJRの主張に理解を示す発言も目立つ。関係者の間には、こうした変化に戸惑いの声が聞こえる一方、膠着(こうちゃく)状態に陥りがちな県とJRの協議の打開につながるとの期待感も広がる。 「(県は)河川管理者としての責任を放棄している」。6日に開かれた市リニア影響評価協議会で、難波氏が県の幹部に厳しい言葉で詰め寄った。大井川上流部の燕(つばくろ)沢
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清水港「世界のBX拠点に」 難波市長 整備構想に意欲 静岡市議会総括質問
静岡市議会は25日、9月定例会の総括質問を行った。難波喬司市長は海洋分野での産業振興に関連し、清水港に新しい研究開発拠点を整備する構想の実現に意欲を示した。加藤博男氏(公明)の質問に答えた。 難波市長は、海洋産業分野での技術変革を指す「ブルートランスフォーメーション(BX)」という言葉を紹介した上で、水深2500メートルの駿河湾に面し、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の探査船「ちきゅう」が寄港する清水港について「世界のBXの拠点の一つになれる。しなければならない」と強調した。 具体的には県や市内外の大学、JAMSTECと連携し、水中ドローンや、通信技術を活用した「スマート漁業」、藻場な
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巴川治水対策、推進を 難波静岡市長 県予算編成に要望
静岡市の難波喬司市長は20日、静岡県庁に川勝平太知事を訪ね、県の2024年度予算編成に対する要望書を提出した。重要事項として、県が管理する2級河川巴川の流域治水対策の推進と、政令市が対象外になっている市町向けの県単独助成事業の取り扱いの見直しを求めた。市によると、市長が県に対して予算の要望活動を行うのは05年に政令市に移行して以来初めて。 巴川については、22年9月の台風15号に伴う豪雨で、流域で甚大な浸水被害が発生したことを踏まえ、麻機遊水地(静岡市葵区)第2工区や河口水門の早期整備を求めた。巴川の浸水被害を軽減するために県が整備を進めている麻機遊水地は全4工区のうち第1、3、4区の計約
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ベルテックス静岡「B2で旋風起こす」 10月5、6日開幕戦 市長に意気込み
2023―24シーズンからバスケットボール男子Bリーグ2部(B2)を舞台に戦うベルテックス静岡の選手ら3人が11日、静岡市の難波喬司市長を市役所静岡庁舎に訪ね、今季開幕に向けた意気込みを伝えた。 訪れたのは今季から主将を務める加納誠也選手(34)と副主将のケニー・ローソン・ジュニア選手(34)、松永康太社長。加納選手は10日まで沖縄県などで行われたバスケ男子ワールドカップの盛り上がりに触れ、「(静岡)県民の(競技に対する)注目度も高まっている。B2でベルテックス旋風を起こしたい」と語った。 難波市長は昨季、B3から昇格を果たしたチームの躍進をたたえた上で、「静岡市にバスケを楽しむ文化が広
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東静岡アリーナ構想で静岡市 検討委案 こだわらず
静岡市がJR東静岡駅北口市有地に整備を目指しているアリーナ構想を巡り、市の岡村貴晶アセットマネジメント推進課長は13日の市議会まちづくり拠点調査特別委員会で、有識者による「アリーナ誘致検討委員会」で絞り込んだ事業手法にこだわらず、「設計・施工、運営の観点から最もいい手法を選びたい」との考えを示した。 難波喬司市長が8月下旬に沖縄県沖縄市にある沖縄アリーナを視察した際、施設の設計段階から施工者の技術を反映させる「ECI方式」を取り入れた公共事業の利点を地元関係者から聞いた。岡村課長はこの点を踏まえ、アリーナ誘致検討委による議論を経て3月に示された三つの事業手法以外にも、幅広く手法を検討するとし
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諸子沢土砂量73万立方メートル 豪雨で地下水増か 静岡市長説明
難波喬司静岡市長は12日の定例記者会見で、葵区諸子沢の山間部で8月に発生した大規模な地滑りについて、崩落した土砂量は73・6万立方メートルに及ぶとの推定を明らかにした。2021年7月に熱海市伊豆山で発生した土石流量5・6万立方メートルの約13倍に相当する。 静岡県が22年2月に作成したレーザー測量による3次元点群データと、地滑り発生後に作成した同データを比較した。このうち、約61万立方メートルの土砂が崩壊地の下の斜面に堆積し、約12万立方メートルがさらに下って大久保沢や諸子沢川に流出したと推定した。崩壊部分の深さは最大で約50メートルあり、難波市長は「深層崩壊が起きた」との見方を改めて示
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東静岡駅のアリーナ整備構想 30年超検討、実現なるか 静岡市長前向きも課題山積【ニュースを追う】
静岡市がJR東静岡駅北口市有地に整備を目指しているアリーナについて難波喬司市長は8月、2023年度中に事業化を判断する方針を明らかにした。事業手法はこれから検討するとしつつ、整備自体には前向きな考えを示し、30年以上前から検討が続く市のアリーナ構想に決着がつく可能性が高まっている。静岡市のシンボルになり得る施設として高い地域活性化効果を期待されながら、紆余(うよ)曲折をたどってきた同構想。これまでの経緯を振り返るとともに残された課題を探る。 東静岡地区へのアリーナ整備計画の歴史は1991年までさかのぼる。市が県と取り組んだ東静岡駅周辺の総合整備計画の中で、駅北口市有地に多目的アリーナを建
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静岡市訓練 風水害初動対応を確認 台風15号 反省踏まえ 自衛隊派遣を早期要請
静岡市は1日、総合防災訓練を静岡市役所静岡庁舎などで実施した。多くの問題点が指摘された2022年9月の台風15号対応への反省を踏まえ、同様の規模の台風が襲来したことを想定し、風水害への初動対応を確認した。難波喬司市長は、被害の全体像が判明する前に自衛隊への派遣要請を指示するなど当時との対応の違いを印象づけた。 「清水区の山間部で大規模な土砂災害が発生し、10人の安否が不明」「駿河区で大規模停電と竜巻が同時発生」などの想定で、情報収集の手法や対応の意思決定過程を確認した。 幹部職員が参加した災害対策本部運営訓練では、難波市長が予定にない本部会を緊急開催する場面があった。土砂崩れの被害状況が判明
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静岡市、企業立地用地を調査へ 9月補正予算案 41億円追加
静岡市は31日、2023年度一般会計に41億1400万円を追加する9月補正予算案を発表した。企業立地を促進するため、開発の可能性がある土地を抽出するための調査に乗り出す。9月13日開会の市議会9月定例会に補正予算案を提出する。 地域経済活性化事業に1500万円を計上し、24年度に債務負担行為7300万円を設定する。企業立地用地の開発可能性調査では新東名インターチェンジ(IC)、スマートIC周辺などで開発適地の情報を抽出し、リスト化を図る。JR静岡駅北側の中心市街地の魅力向上事業として、都市デザイン指針や基本計画を作成・策定し、統一したコンセプトによるまちづくりを促進する。 6月の台風2号
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東静岡アリーナ整備「迅速さ重要」 市長、年度内に事業化決断
難波喬司静岡市長は31日の定例記者会見で、市がJR東静岡駅北口市有地に整備を目指しているアリーナ構想について、「アリーナは全国的に検討されていて、(整備が)遅れれば静岡市は厳しい状況になる」と述べ、高い経済効果を得るためにスピード感を持って事業化を判断する必要性を強調した。 難波市長は「民間と意見交換し、最終的にどうするのか年度内には決めるくらいでやっていかないといけない」と述べ、2023年度内に事業化を判断する考えを改めて示した。市民文化会館(葵区)の再整備に伴ってアリーナが検討された過去の経緯を挙げて、協議が長期にわたっているとし、「結論を決める時期に来ている。はっきりいうと今までが遅
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家康のまちPR 静岡市、エスパルス戦観客にオリジナルタオル 先着1万人
静岡市は「徳川家康が愛したまち静岡」をアピールするため9月3日、サッカーJリーグ2部(J2)清水エスパルスの試合が行われる清水区のIAIスタジアム日本平でオリジナルタオルを先着1万人に無料配布する。 タオルは縦40センチ、横110センチの大きさ。清水のマスコットキャラクター「パルちゃん」と、バスケットボール男子Bリーグ2部のベルテックス静岡公式マスコット「ベルティ」が家康の甲冑(かっちゅう)などを身に着けた特別デザインをあしらった。 静岡市をホームタウンとする両チームと、大河ドラマを通じた地域活性化を目指す「静岡市大河ドラマ『どうする家康』活用推進協議会」の3者との連携事業の一環。市の担
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東静岡アリーナ事業化、年度内判断 難波市長が方針「高い経済効果必要」
静岡市がJR東静岡駅北口市有地に整備を目指しているアリーナ構想について、難波喬司市長は28日までに、2023年度中に事業化を判断する方針を固めた。アリーナ構想は田辺信宏前市長在任時から施設規模や整備手法を巡って検討が続いていて、4月に就任した難波市長が事業化の期限に言及するのは初めて。難波市長は7~8月に県外のアリーナを相次いで視察し、事業手法や収益化が見込める設備について検討を重ねているとみられる。 難波市長は取材に「アリーナは経済効果が高く、地域にあるべき施設」と整備の必要性を強調し、「年度内には市としての方針を決めないといけない」と答えた。23年度中に民間事業者への聞き取り調査などを
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世界一の「ファント」披露 東京五輪フェンシング団体「金」見延さん 静岡で中高生にアドバイス
東京五輪フェンシング男子エペ団体金メダリスト見延和靖さん(36)のトークショーが27日、静岡市葵区の静岡伊勢丹で開かれた。見延さんは、会場に招かれた東海大静岡翔洋高・同中等部フェンシング部の生徒に、世界を制した「ファント(突き)」のフォームを披露するなどチームが強くなるためのアドバイスを送った。 逆転勝利が続いた東京五輪での戦いぶりを振り返り、「(大会までの)4年間ずっと優勝するイメージを持ち続けた。負ける予感は1ミリもしなかった」と心構えの大切さを説いた。 生徒から寄せられたプレーの悩みに関する質問に丁寧に答えたほか、剣を持ってフォームを示し具体的にアドバイスした。高校から競技を始めた
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AI市長 断捨離課 静岡市の業務効率改善策 若手職員 市長に提案
静岡市は23日、若手、中堅職員が業務効率の改善策などを考えるワークショップの成果発表会を静岡市役所静岡庁舎で開いた。難波喬司市長を前に、対話型人工知能(AI)の機能を用いた「AI市長」の開発や、必要性の低い事業の廃止を促進する「断捨離課」の創設を提案した。難波市長は「ぜひやりましょう」と前向きに応じる場面が目立った。 AI市長は「市長レク」と呼ばれる市長に対する事業内容の説明業務について、過去の市長発言をAIに学習させ、AIに対してレクの予行演習を行うことで本番の市長レクをスムーズに進めようというアイデア。難波市長は「(AIに学習させれば)言うことが一緒になると思う。つくったらいい」と評価し
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レッサーパンダの赤ちゃん誕生 静岡・日本平動物園 11月ごろ公開予定
静岡市立日本平動物園は22日、レッサーパンダの赤ちゃんが2年ぶりに誕生したと発表した。現在生後約40日で、順調に成育すれば11月ごろ一般公開する予定。 雌のニコ(6)と雄の和=かず=(4)の間に7月9日に雌の双子が生まれた。1頭は7月25日に肺炎のため死んだが、もう1頭はニコの授乳で体重が順調に増え、状態が安定してきたことから誕生を公表した。 同園は7月18日に撮影した生後9日時点の写真を公開した。この時は体重225グラム、大きさ(頭から胴体までの長さ)21センチ。白っぽい毛と灰色っぽい毛に覆われ、愛らしい表情で気持ちよさそうに眠っている。同園によると、生後2カ月くらいで徐々に大人と同じ
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水難救助「期待に応える」 静岡市消防局の7隊員 全国大会へ 市長に意気込み
全国の消防隊員が救助技術を競う「第51回全国消防救助技術大会」に出場する静岡市消防局の隊員7人が21日、市役所静岡庁舎で難波喬司市長に意気込みを語った。 水難救助に関する「水上の部」のうち、3人一組で出場する種目「溺者救助」と4人一組の「水中検索救助」の各1チームが、県大会と関東大会を勝ち抜き、札幌市で25日に開かれる全国大会への出場を決めた。 隊員を代表して「溺者救助」チームのリーダー斉藤傑消防士長(36)=日本平消防署=が「市民の期待に応えられるよう訓練成果を発揮する」と抱負を述べた。難波市長は「良い成績を持ち帰ってほしい」と激励した。 「溺者救助」は斉藤消防士長のほか、望月辰哉(34)
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小中学校特別教室にエアコン整備 静岡市方針 26年夏までに
静岡市は18日までに、市立小中学校の理科室や音楽室など特別教室にエアコンを設置する方針を固めた。2024年度から順次工事に着手し、26年夏までにすべての学校で整備する。関係者への取材で分かった。 市は普通教室へのエアコン整備については20年度末までに完了していたが、学校現場からの要望や酷暑が続く状況を踏まえ、特別教室にも整備する方針を決めた。体育館は対象外。 整備対象は小学校72校、中学校41校のうち、すでに整備済みの教室を除く計約850室。23年度から設計事務に着手し、中学校については25年度中、小学校は26年夏までに整備を終える予定。 事業費は約70億円を見込み、国の補助金を活用
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富士山入山料「義務化」賛成86% 「環境配慮型トイレに」最多 静岡新聞・山梨日日新聞合同調査
静岡新聞社は富士山臨時支局の開設(1~3日)に合わせて、山梨日日新聞社と合同で登山者250人を対象にアンケートを行った。静岡、山梨両県が検討している入山料の義務化について86・0%が賛成し、反対意見は、現在実施している入山料(保全協力金)の任意徴収への反対を含めて9・6%にとどまった。 アンケートは静岡県側の富士宮口と須走口、山梨県側の吉田口の各5合目で7月28、29日、8月1日の3日間に行い、両県で125人ずつ回答を得た。 入山料義務化に賛成と答えた人のうち、徴収額はいくらが適切か尋ねたところ、千円が基本とされる現行と「同額」が最多の72・5%だった。「千円以上」が17・6%、「千円未
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静岡市 田辺前市長の責任明確化 台風15号対応検証 改定版公表
静岡市は10日、2022年9月に発生した台風15号に関する行政対応の検証結果の改定版を公表した。災害対策本部の設置が遅れた原因について、「市長は対策本部の速やかな設置について自ら判断すべきであった」と、今年3月に公表した最終報告になかった記述を新たに加え、当時の田辺信宏市長の責任を明確化した。 改定版では、市長に対策本部設置を進言すべきは「危機管理統括監だった」と幹部の役割も明記し、これまでの「危機管理総室の職員が実務に忙殺されたため進言できなかった」と読み取れる文章を改めた。3月の報告書で「コロナ対応に追われ、風水害を対象とした訓練を行わなかったため」とした原因分析の記述は「直接的な原因
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8宿場町巡って「マイスター」に 静岡、藤枝両市「駿州の旅」日本遺産 11日からスタンプ集めて認定証ゲット
静岡、藤枝両市の関係団体でつくる「駿州の旅日本遺産推進協議会」は11日から、日本遺産「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」の構成文化財を巡るスタンプラリー「駿州クエスト」を始める。夏休み中の小中学生に東海道の歴史や役割を楽しく学んでもらおうと初めて企画した。 蒲原宿や丸子宿など同資産の認定エリアである八つの宿場町に、それぞれデザインの異なるスタンプを用意した。8種類すべてを集めた人には、記念カード「駿州の旅 日本遺産マイスター認定証」を贈る。 スタンプの設置場所は丸子宿の丁子屋や岡部宿の大旅籠柏屋などの構成文化財のほか、静岡市歴史博物館や「駿府の工房 匠宿」など各宿
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山梨県ボーリング 新たな削孔なし JR、7月31日~8月5日
JR東海は8日、リニア中央新幹線トンネル工事のうち山梨県内で静岡県境に向かって実施している高速長尺先進ボーリングの進捗(しんちょく)状況を1週間分更新し、ホームページ上で公表した。7月31日~8月5日は、すでに削孔(さっこう)した区間を掘り直す作業などに従事し、新たな削孔はなかった。県境までの距離は459メートルのまま。日別の最大孔口湧水量は3日の毎分44・0リットル。
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「生態系への影響で判断を」 燕沢への残土置き場計画 川勝知事会見
川勝平太知事は8日の定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事で発生するほとんどの残土を大井川上流部の燕(つばくろ)沢近くに盛り土するJR東海の計画について「生態系への影響を(適地かどうかの判断基準として)考えるべき」と述べた。人の営みへの影響を基準に適地かを判断するとしたJRの考え方について「部分的なことに矮小(わいしょう)化してはだめだ」と否定的な見方を示した。 知事は、燕沢周辺は山体の深層崩壊による土砂崩れが起きやすい地形だと指摘した。谷地形の河原に大規模な盛り土があることで土砂ダムができやすくなり、ダム決壊時に「水質にも生態系にも甚大な影響が出る」と懸念を示した。 燕沢から最も
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優良工事の技術者と業者 表彰 静岡市発注
静岡市はこのほど、優れた成績で建設工事を完成させた技術者と施工業者の表彰式を同市葵区で開いた。 2022年度に完成した市発注の工事613件のうち、完成検査の評定が上位になった22件の関係者をたたえたほか、技術者育成に精力的に取り組んだ業者も表彰した。難波喬司市長が受賞者に表彰状を手渡した。 受賞者は次の通り。 【優良建設工事技術者・施工業者】巻本卓(安田組)濁沼俊郎(山武設備)石上賀久、永野智樹、望月重伸(石福建設)大高祥吾(静鉄建設)水谷友泰(青柳建設)鈴木昇(北一建設工業)青木道典、白井朝道、有賀康一郎(木内・静鉄・市川特定建設工事共同企業体)松永年史(鎌田配管工事店)青嶋勇樹(近
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静岡市長に見どころPR SBS杯国際ユースサッカー 17日開幕
17日に開幕するSBSカップ国際ユースサッカー(日本サッカー協会、県サッカー協会、静岡新聞社・静岡放送主催)を前に、県サッカー協会の大石剛会長ら関係者が3日、静岡市役所静岡庁舎を訪れ、難波喬司市長に大会の見どころを紹介した。 大会は日本、韓国、パラグアイの各Uー18代表と県内選抜の静岡ユースが出場し、総当たりで優勝を争う。大石会長は「海外の選手と戦う貴重な機会。日本代表も静岡ユースもモチベーションが高い」と説明した。難波市長は「歴史があり価値のある大会。継続して開催してもらい、ありがたい」と述べた。 同市では大会初日の17日に草薙総合運動場陸上競技場で「静岡|パラグアイ」(午後2時55分
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リニア「田代ダム案」浮かぶ課題 JR東海、トンネル湧水全量戻しの“切り札”
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事湧水の県外流出対策として、JR東海が静岡県有識者会議の専門部会で示した「田代ダム取水抑制案」。JRは6月下旬、ダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)と具体的な協議を開始したと発表した。同案は、リニア問題で最大の懸案となっている「トンネル湧水の全量戻し」を実現するためにJRが2022年4月に示した「切り札」。案の実現に関係者の期待は高まるが、東電RPがどこまで応じるのかは現時点で見通せない。県専門部会などの議論を通じてこれまでに明らかになった課題を整理する。 冬場の施設維持にも取水 必要水量確保できるのか JRが、田代ダム案を実施するの
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生態系影響で代償措置 JRが対応表提示 リニア国交省会議
リニア中央新幹線トンネル工事が南アルプスの自然環境に与える影響について議論する国土交通省の第11回専門家会議が26日、東京都内で開かれ、JR東海は、大井川上流部の沢の生態系に影響が生じた場合の対応表を示した。トンネル掘削段階で対策を講じても減水を止められない場合は、代償措置として「トンネル湧水を活用した生態系の創出」「沢の環境改善」「生物の移植・播種(はしゅ)」などを検討すると説明した。 JRは大井川上流部の沢35カ所のうち、希少種が生息したり、流量減少が予測されたりする11カ所を重点的なモニタリングを実施する沢として選定した。工事実施段階で、トンネル湧水を低減する工法「薬液注入」などを追
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東海道新幹線のチャイム TOKIOからUAに 21日から 20年ぶり変更【動画あり】
JR東海は、東海道新幹線の車内チャイムの楽曲「AMBITIOUS JAPAN!(アンビシャス ジャパン)」を21日の始発から、歌手UA(ウーア)さんが歌う「会いにいこう」に切り替わった。同社によると、同新幹線の車内チャイム変更は20年ぶり。 人気グループTOKIOの「アンビシャス ジャパン」は03年、品川駅開業のキャンペーンソングになり、駅の発着を伝える車内チャイムにも採用された。JRが6月にチャイム変更を発表すると、SNSなどで惜しむ声が多く上がった。丹羽俊介社長は20日に名古屋市で開いた定例記者会見で「旅の始まりに(乗客に)元気を与えてくれた。当初の役割を果たしてくれた」と曲の功績をた
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富士山学習 小学生にもっと リーフレット活用推進 官民組織
富士山の環境保全に取り組む官民組織「ふじさんネットワーク」(事務局・県)が、2010年度に作成した小学生向けの富士山学習リーフレット「富士山からの挑戦状」の活用に力を入れている。22年度から23年度にかけて、授業の中で効果的に利用してもらおうと教員向けの勉強会を開いたり、モデル授業を企画したりしている。 富士山の火山としての成り立ちや自然環境、富士登山の心得などをクイズ形式で学ぶ。随時内容を更新していて、富士山が13年6月に世界遺産に登録されたことなどを加筆した。最新版は32ページ。毎年度発行し、小学校や図書館に送付していたが、小学校でのタブレット端末の導入状況を踏まえ、20年度から電子書
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木造住宅耐震化の静岡県後継事業 現行基準未満も助成検討
静岡県は6日の県議会危機管理くらし環境委員会で、2025年度末で終了予定の住宅・建築物の耐震化プロジェクト「TOUKAI(東海・倒壊)―0」の後継事業に関して、建築基準法の現行耐震基準(2000年基準)を満たさない木造住宅の耐震助成を「減災効果が認められれば、前向きに取り組む必要がある課題」(鈴木貴博建築安全推進課長)であるとの認識を示し、今後、具体的に検討する考えを明らかにした。 耐震基準は1981年5月以前の旧基準と、それ以降の新基準に大別されるが、95年の阪神大震災を受け、2000年6月に耐力壁の配置など具体的な規定が強化された。 TOUKAI―0は1981年以前の旧耐震基準で建
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富士山 山梨側で山開き 県「混雑予想カレンダー活用を」
富士山は1日、山梨県側の吉田ルートが山頂まで全面開通する。静岡県側の富士宮、須走、御殿場の3ルートの開通は10日。富士山世界遺産登録10年の今年の夏山シーズンは新型コロナウイルス下の行動制限がなくなり、昨年と比べて登山者の大幅な増加が予想される。山小屋によっては感染対策を継続する。 県は山頂付近での混雑をできるだけ避けるために「混雑予想カレンダー」を参考に登山計画を立てるよう呼びかけている。静岡、山梨両県などで構成する富士山世界文化遺産協議会が2017年夏から、週末や祝日に集中しがちな登山者を平日に誘導する平準化対策として運用を始めた。 今夏は金、土、日曜のほか、お盆期間を含む8月第2、
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リニア解決へ 川勝知事、JR社長に会談要望「2人だけで」 静岡県議会答弁
静岡県議会6月定例会は29日、公明党県議団の蓮池章平氏(沼津市)が代表質問を、山本隆久氏(無所属、浜松市南区)、大石健司氏(自民改革会議、牧之原市・吉田町)、木内満氏(同、富士宮市)が一般質問を行った。川勝平太知事はリニア中央新幹線トンネル工事を巡る問題の解決に向け、JR東海の丹羽俊介社長とのトップ会談が「難局打開、信頼醸成のために重要」との認識を示し、「2人だけでぜひ会いたい」と社長に“ラブコール”を送った。蓮池氏への答弁。 川勝知事はリニア問題の早期解決には「まずは県専門部会で科学的、工学的議論を進めてもらうことが重要」とした上で、トップ会談について「重要な局
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参加しやすい防災訓練とは 静岡・駿河区で意見交換
女性の防災参画をテーマにした学習講座「自主防災組織で活躍する未来の女性像とは」(NPO法人あざれあ交流会議主催)が24日、静岡市駿河区の県男女共同参画センターあざれあで開かれた。防災に関心のある女性を中心に県内各地から約30人が受講し、誰もが参加しやすい防災訓練の内容について意見を交わした。 受講者は、訓練を運営する地域の自主防災会長になりきり、中高生や高齢者、ペット同伴など訓練参加者の特徴別に、どのような活動に取り組んでもらうか考えた。グループ別に、「授乳中の母親に授乳用の仮設テントを体験してもらう」「活動が難しい高齢者や障害者用に見学スペースを設ける」などのアイデアを発表した。 NP
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川勝知事「誠に結構なこと」 田代ダム案巡りJR東海と東電、協議開始受け認識
川勝平太知事は23日、静岡県庁で取材に応じ、JR東海がリニア中央新幹線トンネル工事に伴う湧水の県外流出対策「田代ダム取水抑制案」を巡り、ダム管理者と具体的な協議を開始したと22日に発表したことについて「誠に結構なこと。(議論の)中身がどうなるのか、関心を持って見守っていきたい」と述べた。 JRは2022年4月、大井川上流部にある田代ダムの取水をトンネル湧水の県外流出量と同量抑制することで大井川表流水の影響を防ぐ方策を提示。ダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)と実現に向けた協議に入るため、県などと前提条件に関する議論を続けていた。 川勝知事は23日の取材に「東電(RP)は
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価値継承へ決意新たに 富士山世界遺産登録10年 静岡、山梨両県が式典
静岡、山梨両県などは22日、富士山の世界遺産登録10年を記念する式典を東京都内で開いた。静岡の川勝平太、山梨の長崎幸太郎両知事が「富士山の普遍的価値を守り伝えながら、世界に冠たる地域への発展を目指す」との共同宣言を発表し、関係者約350人と共に環境保全や価値継承への決意を新たにした。 川勝知事は2013年6月の登録決定の瞬間を「感動的だった」と振り返り、今後に向けて「日本の自然と文化の顔として恥ずかしくないよう具体的課題を地道に解決する」と述べた。長崎知事は7月1日からの富士山夏山シーズンで多くの登山者の来訪が見込まれることを念頭に「(過剰な数の観光客が訪れる)オーバーツーリズムを解消し、
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田代ダム案、東電と協議入り JR東海 当事者間議論動き出す
JR東海は22日、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う湧水の県外流出対策として静岡県などに提示した「田代ダム取水抑制案」について、ダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)と具体的な協議を開始したと発表した。JRが2022年4月、県有識者会議の専門部会にダム案を提示してから1年2カ月。実現に向けて当事者による議論がようやく動き出すことになった。 JRが東電RPとの協議開始にあたり大井川流域市町などに了解を求めた前提条件について県が14日、市町の意見を取りまとめた上で同社に修正案を提示していた。JR側の前提条件に歩み寄る形に修正していて、丹羽俊介社長も15日の記者会見で協議入りに前
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富士山構成資産 景観の美さらに 三保松原は消波ブロック一部撤去 白糸ノ滝、売店移転や橋架け替え
富士山が持つ「信仰の対象」と「芸術の源泉」としての価値を証明する25カ所の構成資産。県内の構成資産を代表する「三保松原」(静岡市清水区)と「白糸ノ滝」(富士宮市)は世界遺産登録の際、高い価値が認められた一方、登録過程で人工物による景観上の懸念も指摘された。 三保松原は「富士山、松林、砂浜、海」という日本の風景美の象徴としての価値が高く評価され、富士山頂から45キロ離れた場所にある逆境を覆して登録された。一方で国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)から、砂浜保全に必要な4カ所の消波ブロック群が景観上望ましくないと指摘を受け、県は登録後すぐに技術会議を開
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富士山世界遺産10年記念 切手セット限定販売 静岡県内郵便局
日本郵便東海支社は富士山の世界遺産登録10年を記念した切手セットを22日から、静岡県内の郵便局で限定販売する。根岸一行支社長ら関係者が21日、県庁に川勝平太知事を訪ね、報告するとともに切手セット1部を贈呈した。 84円のフレーム切手10枚組で、A4判の台紙付き。山麓の県内市町から写真の提供を受け、裾野市のコスモス畑や富士市大淵笹場に広がる茶園越しの富士山、同市の富士川水管橋と逆さ富士など、四季折々の富士山の景観をデザインした。 根岸支社長は「海外の人へのお土産に最適。多くの人が富士山に来てもらうきっかけになれば」と話し、川勝知事に切手セットを手渡した。知事は「世界遺産登録10周年にふさわ
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リニア「破砕帯まで進めるべき」 難波静岡市長、先進ボーリングで見解 トンネル湧水をダイコンで解説
静岡市の難波喬司市長は6日、市役所静岡庁舎で記者会見を開き、リニア中央新幹線トンネル工事でJR東海が山梨県側から静岡県境に向けて実施している高速長尺先進ボーリングについて、静岡県側の県境付近に確認されている大規模な断層破砕帯に到達するまでは進めるべきとの考えを示した。山梨県側の県境付近の削孔(さっこう)でも県内の水資源に影響を与える可能性があるとの県の主張については「正当性がない」と、改めて否定的な見解を示した。 難波市長は、ボーリングが前方の地下水をどの程度引き込むかを検討するには、穴先端部の湧水量の評価が重要と指摘。JRの資料に基づき試算したところ、ボーリング先端部からの湧水量は先進坑
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静岡の地下水流出 「量は推定できる」 山梨県内ボーリング
リニア中央新幹線トンネル工事の大井川減水問題を協議する静岡県有識者会議地質構造・水資源専門部会の丸井敦尚委員(65)=地下水学、産業技術総合研究所招聘(しょうへい)研究員=が2日までに茨城県つくば市の同研究所で取材に応じた。同工事のうち、山梨県内の高速長尺先進ボーリングで静岡県の地下水が山梨県側に流出するかを巡って静岡県とJR東海の見解が分かれている問題で、丸井委員は「県境まで掘れば、湧水に静岡県の水が絶対に紛れ込んでいる」との認識を示した上で、静岡県の地下水流出量を計測する方法はあると説明した。 静岡県有識者会議・丸井委員 計測案を提示 丸井委員は4月に開催した専門部会で考えの一端を示
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静岡工区に指摘・要望 沿線知事から相次ぐ リニア期成同盟会総会
リニア中央新幹線の沿線都府県でつくる建設促進期成同盟会総会と、自民党「超電導リニア鉄道特別委員会」の会合が31日、東京都内で開かれた。トンネル工事に伴う自然環境や水資源への影響についてJR東海との議論が続き、着手が遅れている静岡県内の工事に関し、沿線のほかの知事らから指摘や要望が相次いだ。山梨県の長崎幸太郎知事は、静岡県が抱える問題や懸念を沿線の自治体全体で共有することを提案。川勝平太知事は「多くの知恵が出され、問題の早期解決に資する」と歓迎する意向を示した。 期成同盟会の会長を務める大村秀章愛知県知事は静岡県内工区の早期着手に向けて「国土交通省がしっかりと調整してほしい」と要望した。阿
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静岡空港新駅構想を発表 山梨県の長崎知事 高速交通研究会
山梨県の長崎知事は31日の期成同盟会の総会で、同盟会内に設置した高速交通の将来像に関する研究会の案として、静岡空港に東海道新幹線の新駅を整備する構想を発表した。「国際空港と高速鉄道が結節する駅は例がなく、画期的だ。広域にメリットが波及する」と意義を強調した。 研究会はリニア開業後の沿線地域の将来像を発信し、早期建設の機運を高める目的で1月に発足。今回の案では、新幹線と空港が結び付く効果として、ビジネスや観光分野での交流拡大を挙げた。利便性向上を目的に、東海道新幹線の新横浜―小田原駅間への新駅設置も提示した。 山梨県は研究会の事務局を務めている。静岡空港新駅は、静岡県が以前からJR東海に整
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Vチューバー 葵わさび&木乃華サクヤ ファンと交流 静岡市
ITソフト開発ユピテルプラス(静岡市葵区)の「バーチャル広報社員」でバーチャルユーチューバー(Vチューバー)の「葵わさび」と静岡新聞社・静岡放送公認Vチューバー「木乃華(このはな)サクヤ」のファン交流イベント「アザリー」が28日、同区のユピテル静岡研究所で開かれた。ファンら約60人が集まり、生配信ならではのやりとりや限定ライブを楽しんだ。 動画投稿サイト「ユーチューブ」のお互いのチャンネルでこれまで20回以上「コラボ動画」を配信し、共通のファンも多いことから初めて共同イベントを企画した。 来場者は会場の大画面に映し出された2人とじゃんけんしたり、クイズに答えたりして交流した。2人が出演す
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盛り土規制法施行 24年度末までに区域指定 静岡、浜松市と県
熱海市伊豆山で2021年7月に発生した土石流災害をきっかけに制定された盛り土規制法が26日に施行されたのを受け、県と静岡、浜松両政令市は6月にも、同法に基づき規制区域を指定するための基礎調査に着手する。市町や建設業者などへの周知を経て、24年度末までの法規制開始を目指す。 県は25日に県庁で開いた盛り土対策会議の中で法規制開始までの行程を説明した。委託業者を選定した上で土地の地形や災害履歴を調べる基礎調査を実施し、規制区域案を作成する。同案について関係市町や建設業協会などの関係団体から意見を聴き、パブリックコメントを実施した上で規制区域を公示。周知期間を経て規制を開始する。 県盛土対策課
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TOUKAI-0 木造住宅耐震補強助成利用 5年ぶり増 CM効果、駆け込みか
静岡県は、住宅・建築物の耐震化プロジェクト「TOUKAI(東海・倒壊)―0」の2022年度実績を発表した。木造住宅耐震補強工事助成事業の活用は前年度比11・5%増の640戸で、5年ぶりに前年度実績を上回った。県は、タレント間寛平さんを起用したテレビCMなどの効果のほか、25年度末での助成事業終了を発表したことで駆け込み需要が発生したとみている。 木造住宅の耐震診断助成事業の利用件数も前年度比46・3%増の2497戸と大幅に増加した。県は23年度も耐震補強工事、耐震診断の両助成事業利用件数の増加を見込む。 同プロジェクトによる無料の耐震診断は24年度末で、耐震補強工事費の助成は25年度末で
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リニア工事 ボーリング「水の戻し方」合意まで「待った」 静岡県、JRに要請
静岡県は11日、リニア中央新幹線トンネル工事でJR東海が山梨県側から静岡県境に向けて実施している高速長尺先進ボーリングについて、湧水として流出する懸念がある静岡県内の地下水の戻し方を県と合意するまでは、県境まで約300メートルの区間を削孔(さっこう)しないよう要請する文書を同社に送付した。 県は文書の中で、4月26日に開かれた県有識者会議の専門部会で委員から、ボーリング湧水が静岡県内の地下水である根拠を科学的に示す方法や、静岡県内の水の戻し方が決まらないままボーリングが進んでいくことに対する懸念が示されたことを指摘した。その上で、JRの発表によるとボーリングが5月2日時点で県境まで583メ
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静岡県庁に中韓選定都市訪問団 サッカー人材交流提案 知事「大賛成」
日中韓3カ国の選定都市が文化交流する「東アジア文化都市」事業で来日中の中国広東省梅州市と韓国全州市の行政団が1日、県庁に川勝平太知事をそれぞれ訪ね、2023年の国内開催都市である本県とスポーツや観光面の交流を活発化させることを確認した。梅州市の訪問団が「静岡県の経験豊富なサッカーコーチに地元の青年を指導してもらいたい」と提案し、川勝知事が「大賛成」と応じる場面もあった。 梅州市は、訪問団代表の趙東副市長が芸術、スポーツ、観光の3分野での交流を要望した。同市では特にサッカーが盛んだとし、具体的な人材交流事業を提案した。川勝知事は賛同し、「(静岡空港から)チャーター便でも飛ばしてスポーツ交流が
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10市町長の要望書に見解 「基本姿勢は一緒」知事会見【大井川とリニア】
川勝平太知事は27日の定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題を巡る流域10市町との関係性について「基本的なスタンスは一緒だと認識している」と述べた。10市町の首長が20日、県とJR東海の協議は膠着(こうちゃく)状態が続いているとして国土交通省に指導力を発揮するよう求める要望書を提出したことの受け止めとして答えた。 川勝知事は、水問題について同省が専門家会議を設置した際に「国交省はJRに、データに基づいた適切で分かりやすい説明を促し指導をする」との条件で県と合意したことに触れ、流域市町の行動は「この流れに沿った要請」との認識を示した。 要望書提出後の取材に首長の1人
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山梨県ボーリング 地下水流出リスクで譲歩 静岡県有識者会議でJR
リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題について協議する県有識者会議の地質構造・水資源専門部会が26日、県庁で開かれた。JR東海は、山梨県内で静岡県境に向けて実施している高速長尺先進ボーリングを巡り、静岡県内の地下水が流出する可能性について譲歩し、水の戻し方や戻す時期を県と議論する考えを示した。 具体的には、県境から山梨県側に約250メートルの区間に想定される断層帯を削孔(さっこう)した際に大量湧水が発生し、県境付近の静岡県側にある大規模な断層帯から山梨県側に地下水が移動。これに伴い、同断層帯に関連する沢の流量が減少する事態などを想定した。 湧水の成分分析や沢のモニタリングを通じ、
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透水係数小さくし再計算 国交省会議、JR提案了承 静岡県委員は変更疑問視【大井川とリニア】
リニア中央新幹線トンネル工事に伴う南アルプスの環境への影響を議論する国土交通省専門家会議で、JR東海は大井川上流部の沢への影響を分析する際、これまでの中下流域の流量に関する議論で使用していた水収支解析(流量予測)モデルのうち主要断層部の透水係数を小さくして計算し直すことを提案し、了承された。影響が大きい沢で毎秒60リットル減少すると予測していた流量減も、軽減されることが予想される。ただ、解析結果に不確実性があることはJR自身も認めていて、県の専門部会委員からは数値を変更する必要性を疑問視する声が上がる。 ※画像タップで拡大してご覧になれます 11日に都内で開かれた第8回国交
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盛り土対策兼務職員が研修 静岡県「部局横断で対応を」
静岡県は17日、熱海市伊豆山で発生した大規模土石流を受け、盛り土造成の規制・監視体制を強化するために県内各地の出先機関に配置した盛土対策課兼務職員対象の研修会を県庁で開いた。約130人が参加し、盛り土行政に必要な心構えや知識の習得に努めた。 訓示した森貴志副知事は、熱海土石流の県の検証委員会が「県と市の対応は失敗」と総括したことを踏まえ、「部局を超える(対応が必要な)ものであっても(自分で)最終的な解決を考えるというくせをつけてほしい」と業務に臨む姿勢を説いた。盛り土規制条例に基づく関係箇所への立入検査証を参加者全員に交付した。 盛土対策課のほか、砂防課や廃棄物リサイクル課、県警生活安全
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「水利権」条件を修正 ダム案協議 リニア巡り静岡県、JRに通知
静岡県は14日、リニア中央新幹線トンネル工事湧水の県外流出対策としてJR東海が示した田代ダム取水抑制案を巡り、JRがダム管理者との協議開始にあたって大井川流域市町などに了解を求めた前提条件に関して、流域市町などの意見を取りまとめた修正案をJRに通知した。JRが求めた三つの条件に基本的に合意しつつ、水利権に関わる議論については、湧水の県外流出量がJRの想定を上回るなどの事態が発生した場合は大井川利水関係協議会で協議すると付け加えた。 JRと、ダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)が修正した条件に応じるかが今後の焦点になる。 主に修正を求めたのは「ダム案は永続的に行うものでは
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田代ダム案 市町と県協議「意見集約に時間」 知事会見【大井川とリニア】
川勝平太知事の13日の定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う湧水の県外流出対策としてJR東海が示した田代ダム取水抑制案を巡る大井川流域市町と県の協議の進捗(しんちょく)状況を、県の担当者が説明した。ダムの管理者とJRが具体的な協議に入るにあたっての条件について「(流域市町と県の)意見集約に時間を要している」と述べた。 県庁で3月27日に開かれた大井川利水関係協議会で、JRはダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)との協議開始の前提として、ダム案は「東電RPの水利権には影響を与えない」など三つの条件を了解するよう流域市町の首長らに求めた。協議自体に異論を唱える出席者
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記者コラム「清流」 逆戻り?のリニア議論
「時間が2年くらい戻った感じがする」。リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川減水問題を議論する県の専門部会で、JR東海の担当者が委員の質問を受けて発した一言。「同じ質問を繰り返し受けている」との意味を込めた皮肉だったと推察するが、最近の県とJRの議論は別の意味で「時間が戻った」と感じている。 県が高速長尺先進ボーリングによる湧水の県外流出を懸念し対策を求めているのに対し、JRからは「大井川中下流域の水利用に影響はない」との意見表明が目立ち、認識の違いが鮮明になってきた。 トンネル掘削時の湧水の県外流出を巡る議論が行き詰まり、国の判断を仰ぐ事態となった3年前と状況が似ている。関係者は同じ
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国民・玉木代表「地方議員倍増へ」 静岡で街頭演説
国民民主党の玉木雄一郎代表は31日、静岡県議選静岡市清水区選挙区の党公認候補の応援のため同区で街頭演説した。統一地方選の党の目標として「党公認や党に近い立場の議員の数を倍増させる」と報道陣の取材に答えた。 今回改選期を迎える地方議員が全国に約150人いるとして、約300人の当選を目指すとした。清水区の候補者については「新しい政治をつくることを目標にする党の象徴」と話し、告示日の出陣式に応援に駆け付けた狙いを説明した。 当選した場合の川勝平太知事との向き合い方については「党県連とよく話し合って決める。今は当選に全力を傾ける」と述べるにとどめた。
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富士市有林に植樹 市、県と静岡ガス 「未来の森」で協定
静岡ガスと富士市、県は29日、官民が連携して森づくり活動に取り組む「しずおか未来の森サポーター協定」を締結した。富士市の市有林約10ヘクタールに同社員がヒノキ約1万5千本を植樹し、脱炭素の地域社会実現に貢献する。 県庁で開かれた協定締結式で、岸田裕之社長、小長井義正市長、県の高畑英治くらし・環境部長が協定書に署名した。岸田社長は「地域内のカーボンオフセットの取り組みに貢献したい」と話した。 育てたヒノキを建築用木材として地元で利用するなど長期的な活動を想定している。県によると、2006年度に始めた未来の森サポーター制度の協定締結は59例目。今回のような長期的な視点で森づくりに取り組む活動
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田代ダム案 流域「了解」と認識 知事会見「水利権」など条件は修正必要【大井川とリニア】
川勝平太知事は28日の定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事湧水の静岡県外流出対策としてJR東海が示した田代ダム取水抑制案を巡り、同社がダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)と協議を開始することについて大井川流域の市町と利水団体から「了解を得た」との認識を示した。JR東海が協議開始の前提として示した3条件は「修正する必要がある」と述べ、県としての態度表明は保留した。 JRが示した条件のうち「水利権に影響を与えない」との表現については「軽々に水利権に関係ないというには、少し詰めないといけないことがある」と述べ、文言の修正の必要があるとの認識を示した。田代ダムの水利権更新
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リニア田代ダム案 結論持ち越し 流域市町「水利権」巡り賛否割れる
大井川利水関係協議会が27日、県庁で開かれ、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う湧水の県外流出対策としてJR東海が示した田代ダム取水抑制案について、大井川流域市町や利水団体が説明を受けた。JRは、ダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)との間で具体的な協議に入るための前提条件を示し、了解を求めたが、市町や利水団体間で賛成意見と慎重な議論を求める意見とで分かれ、結論は持ち越された。 協議会の事務局を務める県は「ダム案が『水利権に影響を与えない』という表現は慎重に調整しないといけない」(森貴志副知事)と文言修正が必要との認識を示した。意見を速やかに取りまとめ、JRの回答を受けて判断
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JR、田代ダム案説明へ 流域の意見集約不透明 27日に利水関係協議会【大井川とリニア】
リニア中央新幹線トンネル工事に伴う湧水の県外流出対策としてJR東海が示した田代ダム取水抑制案について、大井川流域の市町や利水団体が説明を受ける大井川利水関係協議会(事務局・県)の会合が27日、県庁で開かれる。JRはダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)と具体的な協議を開始するにあたり、流域の関係者から事前了解を得たいとしているが、県は「JRが提示した協議の前提条件には意味が不明瞭な部分が多い」として、会合で意見がまとまるかは見通せないとしている。 JRは東電RPとの協議開始の前提として、ダム案は①永続的に行うものではなく、東電RPの水利権には影響を与えない②工事の一定期間(
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庭の変なネジバナ…実は新種! 静岡・地球環境史ミュージアム 早川准教授らグループが特定
ふじのくに地球環境史ミュージアム(静岡市駿河区)の早川宗志准教授らの研究グループは17日、国内で2種類しか確認されていないラン科の多年草ネジバナの新種を発見し、「ハチジョウネジバナ」と命名したと発表した。同日、植物科学の国際誌「ジャーナルオブプラントリサーチ」オンライン版に研究成果を掲載した。 国内ではこれまで、九州以北に広く分布して6月以降に咲くネジバナと、琉球列島に分布して3月ごろ開花する「ナンゴクネジバナ」の2種類が確認されていた。研究グループは、九州以北のネジバナに通常より1カ月以上早く開花し、子房や花茎に毛のない個体があることに気付いた。形態やDNAを詳しく分析し、新種と特定した
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県境ボーリングに「ジレンマ」 田代ダム案実現遠のく? 静岡県側「今行う必要ない」
リニア中央新幹線トンネル工事の影響を検討する県有識者会議は、急きょ20日に専門部会を開き、JR東海が2月下旬に踏み切った山梨県から静岡県境に向けての高速長尺先進ボーリングの削孔(さっこう)への対応を協議する。大井川の水資源の保全を巡っては、源流部にある田代ダム(静岡市葵区)の取水抑制案が有効な方策として浮上しているさなか。専門部会長の森下祐一静岡大客員教授は「JRは自らダム案実現のハードルを上げている」と、ダム案の後退を招きかねない同社のボーリング計画に疑問符を付ける。 JRが提示した田代ダムの活用案は先進坑掘削時のトンネル湧水県外流出対策が本来の目的だが、JRはボーリングが県内に入ってか
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利水関係協議会、3月開催で調整 川勝知事「一度に説明を」【大井川とリニア】
川勝平太知事は14日の定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事を巡りJR東海が県に提案している湧水の県外流出対策を大井川流域市町の首長らに説明する場として、大井川利水関係協議会会合の今月中の開催に向けて関係者と調整していると明らかにした。 JRは田代ダム取水抑制案について、ダムを管理する東京電力側との協議開始にあたり、流域市町などに個別に了解を得る考えを示しているが、知事は「一度に説明できる場を設けた方が効率的」と説明した。 前回の定例会見では、同案を流域市町に説明する場として、田代ダムの水利権について協議する大井川水利流量調整協議会の開催を提案していたが、「関係協議会(のほう)が(
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リニア・田代ダム案 静岡県「早急に協議会開催」 JRに説明要請
静岡県は9日、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う湧水の県外流出対策を巡り、田代ダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)との協議開始の了解を県に求めたJR東海に対し、所見を示した文書を送付した。大井川流域の市町や利水団体に対してJRが個別に確認していく方針に反発し、市町などが一堂に会して同社の説明を聞く場を設けるとした。 県は、県と流域10市町、利水11団体が2018年に設立した大井川利水関係協議会の規約に「JR東海との連絡、調整および交渉は県を通じて行う」との規定があることに触れ、個別の接触は控えるよう求めた。その上で、説明の場として早急に同協議会を開催すると説明した。 川
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「田代ダム案 工事中限定」 文書送付 JR、静岡県に前提条件確認
JR東海は8日、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う湧水の県外流出対策として県に提案している田代ダム取水抑制案について、ダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)と具体的な協議を開始するにあたり、前提条件を確認する文書を県に送付した。取水抑制の実施期間を工事中に限定し、「東電RPの水利権に影響を与えない」とすることなどを求めた。 2022年12月の県有識者会議の専門部会で委員から「(ダム活用案を)工事後も将来にわたり実施することが必要」との意見が出ていたため、25年末の水利権更新を控える東電RPが協議の席に着きやすくなるよう改めて確認した。 JRはこのほか、山梨県から静岡県境を
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静岡県内の若手医師増狙う 駿河区で合同説明会 26病院がブースでPR
静岡県と県病院協会は5日、静岡県内の病院で研修を行う若手医師の増加に向け、各病院による合同説明会を静岡市駿河区のグランシップで開いた。26病院がブースを構え、医学生らに研修プログラムの特色をアピールした。 これから病院での臨床研修に臨む医学生と専門研修に臨む臨床研修医約130人が県内外から参加した。 県立総合病院のブースは、専門医の人数が充実していることに加え、他病院と連携することで自由度の高いカリキュラムを用意していると説明。医学生らが熱心に聞き入った。 県の医学修学研修資金を利用している医学生と、本県の地域医療の魅力を発信する「ふじのくに次世代医師リクルーター」の意見交換会も行った
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選挙、児童に疑似体験を 若者層の関心向上へ提言 静岡市「啓発サポーター」高校、大学生9人
若年層の投票率向上を図るため静岡市選挙管理委員会が委嘱した「選挙啓発サポーター」の初代メンバーが5日、最後の会合に市役所で臨んだ。1年間の活動を振り返り、若者の政治や選挙への関心を高めるための取り組みを提言した。 2022年4月に創設された制度で、市内在住または在学の高校生と大学生計9人が啓発用の冊子やDVDを作成した。 最終会合では1人ずつ活動の感想を述べた。静岡英和女学院高3年生の河村紗英さん(18)は「選挙に参加することがどれだけ大切かを学ぶことができた」と報告。常葉大法学部3年生の堀池麻莉さん(20)は有効な啓発活動として、小学生に選挙を疑似体験してもらう取り組みを提案した。
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ボーリング湧水「説明が不正確」 静岡県、JRに意見書【大井川とリニア】
静岡県は3日、リニア中央新幹線トンネル工事でJR東海の高速長尺先進ボーリングの湧水量に関する説明は不正確な表現があるとして、適切な説明を求める意見書を同社に提出した。JRが過去に示した計算式に当てはめると、同ボーリングの湧水量はトンネル先進坑の湧水量の約63%に上るという。 JRは、山梨県から静岡県境に向けて実施する同ボーリングの削孔(さっこう)断面積は約0・01~0・1平方メートルで、先進坑の約35平方メートルに比べて0・03~0・3%と小さいため、「中下流域(の河川流量)に与える影響は小さい」(金子慎社長)と説明していた。 ただ、JRが2019年3月の県専門部会で、県内で実施する同ボ
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ボーリング中断、川勝知事が要請 中旬にも専門部会開催【大井川とリニア】
川勝平太知事は28日の定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事を巡りJR東海が山梨県内から静岡県境に向けた高速長尺先進ボーリングの削孔(さっこう)を開始したことについて、県内の水資源流出の懸念を改めて示し、「こちらが納得するまで着手すべきではない。即やめるべきだ」と中断を求めた。3月中旬にも県有識者会議の専門部会を開催し、JRと協議する考えを示した。 県は、県境から山梨側へ約250メートルの区間にある破砕帯が静岡側の県境近くに確認されている大規模な破砕帯とつながっていると読み取れる資料が過去にJRから提出されていることから、250メートル区間の削孔に伴う県内の地下水流出に懸念を示してい
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予算案反対方針、連携「勢いづく」 立憲民主・泉代表 静岡で演説
立憲民主党の泉健太代表は25日、静岡市駿河区で街頭演説した。報道陣の取材に応じ、国民民主党が政府の2023年度当初予算案への反対方針を決めたことについて「(両党の)支持層、支持者にとって足並みがそろったというのは(連携が)勢いづく一つの要因になる」と述べ、春の統一地方選などへの効果を期待した。 泉代表は23年度予算案について「防衛費だけが突出して伸び、反対するのが当然」との認識を示しつつ、国民民主党の姿勢を評価し、「静岡でも(両党の)支持者が一致協力する意識が高まっていると感じる」と述べた。 静岡市長選(3月26日告示、4月9日投開票)への立候補を表明し立民が推薦する元副知事難波喬司氏(
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富士山富士宮口5合目新施設 2029年以降に供用開始か
静岡県が富士山富士宮口5合目に整備する来訪者施設の供用開始時期が、当初予定していた2028年から29年以降にずれ込む可能性が高いことが22日までに分かった。標高2400メートルと高地での作業であることに加え、噴石から登山者らの身を守るシェルター機能を施設に備えるのに「想像以上に高い施工技術が求められる」(県建築工事課)ためだという。県は設計段階から施工者の意見を取り入れる「ECI方式」の導入を念頭に、国内でも有数の技術力を持つ複数の施工業者から意見聴取を始めた。 県は造成工事を23年度から始める予定だったが、基本・実施設計の策定が24年度にずれ込む可能性が高まり、着工も1、2年遅れる見通し
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県境に向けたボーリング開始 静岡県、JRに計画再考要請【大井川とリニア】
静岡県は22日、リニア中央新幹線トンネル工事を巡りJR東海が山梨県で静岡県境に向けた高速長尺先進ボーリングの削孔(さっこう)を開始したことについて、自主的な中断を含めて現行計画の再考を求める要請書を送付した。 県はボーリングの削孔を始める前に、県内の地下水が流出する恐れが低いと考えられる区間を科学的根拠に基づき示すようJRに求めていた。 要請書は、JRが20日付文書で示した回答は「懸念や要請に対する回答として十分とは到底言えない」と指摘した上で、地下水流出の懸念解消に向けた対話を速やかに行うよう求めた。 具体的には、地下水流出の恐れが低い区間の提示のほか、ボーリングや山梨県内のトンネル
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「葵の御紋」掲げて運航 駿河湾フェリー 家康ゆかりの海道PR
清水―土肥港間を結ぶ駿河湾フェリーは大河ドラマ「どうする家康」の放送に合わせ、江戸幕府将軍徳川家の家紋「葵の御紋」の旗を掲げて運航している。土肥金山(伊豆市)で採掘された金塊を駿府(静岡市)で暮らす徳川家康に届けるために、江戸時代に駿河湾で運航された荷船「千石船」をイメージした。 旗は縦1・2メートル、横1・8メートルの大きさで、色違いの2種類を作成した。運航する一般社団法人ふじさん駿河湾フェリーの担当者は「家康ゆかりの海道を広く知ってほしい」と話した。旗の掲揚は当面続けるという。 フェリーではこのほか、葵の御紋を印刷した御船印を25日から船内で販売する。2種類あり、1枚300円。
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リニア県境ボーリング21日開始 JR東海が伝達、静岡県「極めて遺憾」
リニア中央新幹線トンネル工事を巡りJR東海は20日、山梨県から静岡県境に向けた高速長尺先進ボーリングの削孔(さっこう)を21日に開始すると県に伝えた。県は削孔前に、県内の地下水が流出する恐れが低い区間を科学的根拠に基づいて示すよう求めていたが、JRは新たな資料は示さなかった。川勝平太知事は20日、「本県の要請に対する調整が整わないまま開始することは極めて遺憾」とのコメントを発表した。 県は、JRがこれまでに示した地質調査資料に基づき、県境から山梨側250メートル付近に断層と地質のもろい区間があり、県境付近の静岡側に確認されている破砕帯とつながっているように読み取れるとして、同区間を削孔する
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リニア工事の影響 評価対象に「生息場」追加 国交省専門家会議
リニア中央新幹線トンネル工事の自然環境への影響について議論する国土交通省の第7回専門家会議が14日、東京都内で開かれた。国交省は前回までの議論を踏まえ、評価する対象を沢の水生生物だけでなく、周辺の水辺林など「生息場」も対象に加えると修正した「論点案」を示した。 論点案は今後議論する内容を整理するために前回の会議で事務局の国交省鉄道局が提示した。このほかの修正点として、複数の沢を個別に調べるのではなく、環境別に類型化して影響を分析するとした。トンネル湧水を大井川水系に戻す際の排水口の形状や、トンネル工事の付帯工事による環境への影響も検討項目に追加した。 会議では、JR東海が論点案で示された
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東電「関係者理解、まだ」 田代ダム案 現時点で協議環境整わず【大井川とリニア】
リニア中央新幹線トンネル工事で発生する湧水の県外流出対策としてJR東海が示した田代ダム取水抑制案を巡り、ダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP、東京)が8日までに静岡新聞社の取材に応じた。JRと同案の実現に向けた具体的な協議に応じるかについて「(JRが)これから流域の関係者や河川管理者の理解を得ていく段階」と述べ、協議を始める環境は現時点で整っていないとの認識を示した。 JRは1月25日に県庁で開かれた県有識者会議の地質構造・水資源専門部会で委員から案の実現可能性について一定の理解を得たとして東電RPと協議を始める考えを示していた。一方、東電RPは取材に対し、JRと具体的な協
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リニア同盟会の研究会正式発足 「静岡空港新駅議論」の山梨県知事が事務局長
リニア中央新幹線沿線自治体でつくる建設促進期成同盟会(会長・大村秀章愛知県知事)はリニア開業後の鉄道、道路、空港など高速交通ネットワークに関する研究会を正式に発足させ6日、設置要綱をホームページ上で公表した。事務局長は同研究会の提案者で、静岡空港に東海道新幹線新駅を整備する静岡県の構想を研究テーマにすると表明している長崎幸太郎山梨県知事が就いた。 設置要綱で、研究会長は期成同盟会長の愛知県知事が務め、研究会に関する業務を統括するとした。研究会内に同盟会幹事で構成するワーキンググループを置き、高速交通ネットワークに関する具体的な検討を行うと定めた。同盟会幹事は各都府県のリニア担当課長が務めて
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静岡県内の新幹線停車 リニア部分開業でも増える? 品川―名古屋間の場合、国が調査へ
リニア中央新幹線開業の経済効果を巡り岸田文雄首相が、静岡県内の東海道新幹線の停車頻度増加に関する調査を今夏をめどにまとめる方針を示したことに関し、リニアの全線開業時に加えて品川―名古屋間の部分開業段階でも停車増の調査結果を示すのか県内関係者が注目している。事業者のJR東海は2010年の国の会議で、名古屋開業段階の東海道新幹線「ひかり」、「こだま」の停車増に言及したが、その後の新型コロナウイルス下で乗客は減少した。リモート会議などが定着する中、新幹線需要への影響が指摘されている。 「(リニアの)名古屋開業の時点で(東海道新幹線の)名古屋までの中間駅ではひかり・こだまが増えるので便利になる」。
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湧水管理、事前合意を 静岡県境付近のボーリング 県がJRに申し入れ
静岡県は31日、リニア中央新幹線トンネル工事でJR東海が山梨県から静岡県境に向けて実施する計画の高速長尺先進ボーリングについて、静岡県内の地下水が流出する可能性が低い区間を科学的根拠に基づき示した上で、そこから県境に向けての削孔(さっこう)は県と湧水の管理体制などについて合意するまで行わないよう文書で申し入れた。 JRは1月25日に県庁で開かれた県有識者会議の専門部会で、静岡県側へ湧水を戻す方法が決まるまで県境を越えてボーリングを行わない方針を示した一方、山梨県内で2月上旬に削孔を始め、県境までは進めるとしていた。 県は文書で、県境近くで確認されている破砕帯にボーリングが近接するか到達す
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リニア工事 湧水影響調査、JR指導を 静岡県が国交省に文書送付
静岡県は30日、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う自然環境への影響について、12日に県庁で開催した県有識者会議の生物多様性専門部会で出た意見を文書にまとめ、国土交通省に送付した。トンネル湧水の水質・水温の変化が生態系に及ぼす影響についてJR東海に調査や対応策を指導するよう要望した。 2022年12月に開かれた同省の第6回専門家会議で、何を議論すべきかを整理した論点案が示されたことを受け、今後の議論に反映してもらおうと県専門部会委員の意見を聞いた。 文書では、導水路トンネルなどを通じて大井川に戻すとしているトンネル湧水の水質・水温について、法令で定められた基準ではなく、生態系に影響が生じな
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JR「政府見解」文書を公開 田代ダム案など巡り静岡県質問に回答 県「法的懸念は解消」 リニア大井川水問題
リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題についてJR東海と国土交通省は27日までに、静岡県が東京電力田代ダム取水抑制案などに関して問い合わせていた質問に回答した。JRは、同案は水利権の譲渡に当たらず河川法上問題ないとする「政府見解」が記された文書を公開した。 政府見解が記された文書は、1月25日開催の県有識者会議の専門部会で提示された。国交省鉄道局施設課長名で「政府部内で整理した結果」として2022年12月1日付でJR東海に回答していた。 県が「田代ダム案が水利権の譲渡に当たらないのであれば、(抑制したことに対してJRが東電に何らかの)『補償』をしても河川法上禁止されるものではない
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田代ダム案、東電と協議へ JR東海 県専門部会で表明 協力得られるか焦点【大井川とリニア】
静岡県庁で25日開かれたリニア中央新幹線トンネル工事の大井川水問題を協議する県有識者会議の専門部会で、JR東海はトンネル湧水の県外流出対策として提示していた田代ダム取水抑制案について、ダムを管理する東京電力との協議を開始すると表明した。同案の実現可否を巡る議論の焦点は、JRが東電の協力を取り付けられるかに移ることになる。 JRは、東電から提供を受けた過去10年間の日ごとの河川流量実測値を示し、渇水期も含め「全ての日で還元(必要な取水抑制量の確保)が可能」と案の実現に自信を示した。同資料の提出を求めていた森下祐一部会長(静岡大客員教授)は一部のデータが示されていないことに懸念を示したものの、
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リニア「メリット説明を」 川勝静岡県知事、岸田首相に文書
川勝知事は24日の定例記者会見で、リニア中央新幹線開業後の県内の東海道新幹線駅停車本数増に向けた国の調査に関し、2027年開通を目標とする品川―名古屋間のリニア部分開業時の調査などを求める文書を岸田文雄首相宛てに送ったと発表した。「(最短で37年の)全線開通までの14年間に、どうなっているかを今生活している人は知りたい」と述べた。 県東京事務所の担当者が24日、衆議院議員会館にある岸田首相の議員事務室に直接届けたという。 川勝知事は文書で、JR東海が部分開業により経営体力を回復させて大阪までの全線開通を目指す「2段階方式」を採用していることにも触れ、部分開業段階のリニアの需要調査を行う意
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リニア大井川水問題 JRの十分な説明なく 田代ダム案、議論加速を【解説・主張しずおか】
リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川減水対策として、JR東海が2022年4月に提案した田代ダム取水抑制案は議論が進展しないまま越年した。静岡県有識者会議の専門部会のこれまでの議論で、冬場の渇水期にも実行可能な案であるのかなどJR東海から十分な説明はなかった。リニア工事と水資源保護が両立できるのかを左右する核心のテーマであり、関係者は成案を得るための議論を加速させるべきだ。 JR東海は昨年12月の専門部会で、県外流出量が最も多い予測(毎秒0・68トン)でも、冬の渇水期に流出量と同量の取水を抑制でき、案は成立すると説明した。しかし、JRの試算は、ダムを管理する東京電力側が発電施設維持のため
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リニア・県境越えボーリング JR東海社長「慎重に検討」 実施見合わせを示唆
JR東海の金子慎社長は18日に名古屋市で開いた定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事で山梨県から静岡県境を越えて実施する方針を示している高速長尺先進ボーリングについて「(水資源に対する)心配の声もいただいているので慎重に検討している」と述べ、懸念が解消するまでは実施を見合わせる考えを示唆した。 金子社長は昨年12月の会見で、ボーリングは早ければ4月ごろ県境付近に到達するとの見込みを示していた。今回の会見では、1月末ごろから掘削を開始する工程を示した一方、県境への到達時期は言及せず「そのまま静岡県に進めることについては、いろいろ懸念があるということなのでそれを受け止める」と述べた。その
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2022年版静岡県環境白書を発行 SDGs関連など詳報
静岡県はこのほど、県の環境施策をまとめた2022年版環境白書を発行した。南アルプス学会の設立や「県SDGsビジネスアワード」の開催など21年度の取り組みを中心に紹介している。 概要版でA4判26ページ。国連が掲げる持続可能な開発目標(SGDs)に関連付けて18事業を詳報した。南アルプス学会は22年2月に設立した。同地域の自然環境を保全するために研究活動の活性化を図る。SGDsビジネスアワードは、環境課題解決に貢献する事業アイデアを表彰するとともに事業化を支援する取り組みで、21年度に初開催した。 白書では、「脱炭素社会の構築」や「循環型社会の構築」など五つの項目別に施策の実施状況を紹介し
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全量戻し「実質破綻」 JR東海の先進ボーリング実施方針 川勝知事インタビュー【大井川とリニア】
川勝平太知事は10日までに静岡新聞社のインタビューに応じ、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事でJR東海が山梨県から静岡県に向けて実施する方針を示している高速長尺先進ボーリングについて「調査の名を借りた水抜き工事だ」との認識を改めて示した上で、同社が敢行した場合、県や利水者と約束した「トンネル湧水の全量戻し」は実質破綻するとの考えを明らかにした。 川勝知事は同ボーリングと全量戻しの関係性について「普通に考えればそう(破綻することに)なる」と述べ、「強引にするのはおかしい。JR東海の(世間に対する)信頼が厳しくなる」と、計画の見直しを求めた。 JR東海の同ボーリングを巡るこれまでの対応は
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24社が事業や選考説明 静岡で新卒のかんづめセミナー
2024年春就職予定の大学生らを対象にした就活イベント「新卒のかんづめ2024 新春プレミアム就活準備セミナー」(静岡新聞社主催)が7日、静岡市駿河区のグランシップで開かれた。県内での就職を検討する学生約100人が参加し、各企業の事業内容や選考に関する説明に耳を傾けた。 建設、製造、金融など県内の24企業・団体がブースを構えた。人事担当者が事業概要のほか、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みや男性社員の育児休暇取得率、インターンシップの予定などを紹介した。学生らは「持っていると有利な資格はあるか」「社員の男女比率は」などと熱心に質問していた。 マスコミの仕事に興味があるという静岡大人
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JR東海、湧水対策の動画公開 県外流出触れず 静岡県「誤解与える内容」【大井川とリニア】
JR東海は23日までに、リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水問題を巡り、トンネル湧水を大井川に戻す方策を紹介するアニメーション動画を同社ホームページで公開した。ただ、静岡県有識者会議の専門部会で議論が続いている湧水の県外流出については一切触れていないため、県は「誤解を与える内容だ」と懸念を示している。 動画の題名は「南アルプストンネルの概要(静岡県内)やトンネル内に湧き出る水を大井川に戻す方法」で、約3分間の内容。静岡工区の先進坑・本坑などに湧き出る湧水を、導水路トンネルを通じて大井川に戻す方策を立体的な映像で紹介し「工事中も工事後もトンネル内に湧き出る水を大井川上流に戻し、中下流域を流れ
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代償措置に静岡県反発 リニア国交省会議 「保全あり方」資料了承
都内で20日に開かれたリニア中央新幹線トンネル工事に伴う南アルプスの環境への影響を議論する国土交通省の第6回専門家会議では、JR東海が今後示す環境保全のあり方として植物の移植などの代償措置を含むとした資料が了承されたことに県が反発した。県は残土置き場のあり方についても、県有識者会議の専門部会で議論が続いているにもかかわらず、同日の専門家会議ではJR東海が示した計画を基に環境への影響を議論すると決まったことに不満をにじませた。 事務局の同省鉄道局が示した論点案は、保全措置のあり方としてまずは影響の回避・低減策を検討し、対応しきれない場合は代償措置を検討するとした。森貴志副知事は「安易に代償措
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事務局「論点案」3項目を提示 リニア国交省専門家会議 環境保全、代償措置検討も
リニア中央新幹線トンネル工事に伴う南アルプスの環境への影響について議論する国土交通省の第6回専門家会議が20日、東京都内で開かれ、事務局の同省鉄道局が今後議論する対象を絞り込んだ「論点案」を示した。地下水位の低下に伴う沢の水生生物への影響など3テーマを出し、保全のあり方として移植などの代償措置も検討するとした。 論点案では地下水の低下に伴う高標高部の植生への影響や、残土置き場の設置など地上部分の改変が与える環境の影響も提示した。 沢については、影響が懸念される沢ごとに分析する「沢カルテ」を作成する。高標高部の植生については、水分の供給経路を調査して植物の生育場ごとに評価する。地上部分の改
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記者コラム「清流」 知事との議論は公開で
「発言の一部を取り上げるというのは、全体の文脈からして不正確だと思う」。JR東海の金子慎社長が定例記者会見で、川勝平太知事とリニア実験線に試乗したことに関する報道に苦言を呈した。本紙11月3日付朝刊に掲載された記事「知事 閑蔵線整備提案 JR社長『可能性はある』」を指していると思われる。 実験線の試乗の様子は非公開で、2人の間でどのようなやりとりがあったのか分からない。その後、川勝知事だけが報道陣の取材に対応したため、その内容を報じた。 社長はこれを「発言の切り取り」と捉えたわけだが、ならば、発言内容を明らかにするか、せめて知事と同じように取材に応じてほしかった。「万機公論」が口癖の川勝
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リニア工事・田代ダム取水抑制案 知事「全量戻し当たらず」 流域首長と認識に違い
川勝平太知事は16日の定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事に伴いトンネル湧水が県外に流出する対策としてJR東海が示した田代ダム取水抑制案について、県が求める「トンネル湧水の全量戻し」の代替案にはならないとの考えを改めて示した。大井川流域市町の大半の首長は田代ダム案について全量戻しの代替案になり得ると実現に期待を示していて、認識の違いが浮き彫りになった。 川勝知事は取水抑制について「ダムの水利権を持っていないJR東海はそもそも部外者」と述べ、同社による水資源の返還には当たらないとした。一方で「大井川に水が戻ることは(関係者)全員が歓迎している」と議論自体は否定せず、議論の場も「JR東
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高病原性鳥インフル 範囲拡大し監視継続 野鳥死骸、触らず連絡を
静岡県は14日、浜松市東区で7日に回収された野鳥の死骸から高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認されたと発表した。県内で同ウイルスに感染した野鳥が確認されるのは、県に記録が残る2004年以降で初めて。養鶏場などへの感染拡大を警戒し、関係者が監視活動を続けている。 高病原性鳥インフルエンザの疑い事例として環境省が9日に回収地点の半径10キロを野鳥監視重点区域に指定したため、県は10日から同区域での監視を行っている。同ウイルスの陽性確定を受け、監視範囲を周辺に広げた。異常がなければ2023年1月5日に解除する。 県自然保護課の中山淳也課長は「ほかにも感染した野鳥がいると想定し、調査、監視の意
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リニア工事 県境越えボーリングに厳しい声 「まず田代ダム案議論を」 流域10市町首長の意見交換会
静岡県庁で11日に開かれたリニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題を協議する県有識者会議の地質構造・水資源専門部会の委員と大井川流域10市町首長の意見交換会では、JR東海が山梨県から静岡との県境を越えて実施する方針を示している高速長尺先進ボーリングについて厳しい意見が相次いだ。多くの首長は湧水の流出対策として田代ダム取水抑制案とセットでの協議を求め、前提として同案の実現性を高める議論を進めるべきだとの考えを示した。 委員側は首長の質問に答える形で、同ボーリングにより県境付近の破砕帯から大量湧水が発生する懸念などを伝えた。 北村正平藤枝市長は「水を戻す方法とセットでないと流域は安心で
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リニア工事・先進ボーリング 静岡県有識者会議と大井川流域首長が意見交換 委員側、地下水流出の懸念説明
リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題について協議する静岡県有識者会議の地質構造・水資源専門部会委員と大井川流域10市町の首長の意見交換会が11日、県庁で開かれた。JR東海が山梨県から静岡県との県境を越えて高速長尺先進ボーリングを実施する方針を示していることについて委員側が県内の地下水流出の懸念を説明。多くの首長が会議後の取材で、同ボーリングの実施可否は田代ダム取水抑制案を活用した地下水流出対策とセットで議論すべきとの考えを表明した。 これまでは、JR東海が「調査」と主張する同ボーリングの実施に理解を示す首長が多かったが、委員の説明を聞き慎重な意見に転じた格好だ。専門部会の森下祐一
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流域首長と意見交換へ リニア大井川水問題、県の専門部会委員
静岡県は7日、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題を協議している県有識者会議の地質構造・水資源専門部会委員と大井川流域10市町の首長の意見交換会を11日に県庁で開くと発表した。 JR東海が実施方針を示している山梨県から静岡県境を越えての高速長尺先進ボーリングや、トンネル湧水の県外流出対策として示した田代ダム取水抑制案について議論の過程や委員側の意見を伝え、首長の質問に答える。 会議は午前9時から11時まで。全面公開し、県のホームページでも生配信する。 流域市町の首長は、8月に川勝平太知事とリニア問題に関して意見交換した際、専門部会委員とも意見交換の場を設けるよう要望していた。
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土砂利活用促進、ストックヤード整備へ 静岡県内各地 静岡県議会代表質問、副知事答弁
静岡県議会12月定例会は6日、自民改革会議の伊丹雅治氏(三島市)とふじのくに県民クラブの大石哲司氏(浜松市東区)が代表質問を行った。森貴志副知事は公共工事などで発生する土砂の利活用を促進するために、土砂を仮置きする「ストックヤード」の整備を静岡県内各地で検討する考えを明らかにした。大石氏への答弁。 県技術調査課によると、7月に盛り土規制条例が施行され土砂受入時の規制が強化されたことに伴い、民間の残土処分業者が減少した。9月の台風15号に伴う豪雨災害では、大量に発生した災害土砂を処理しきれず、県内に処分場が不足している現状が顕在化した。 森副知事は各地域の実情に応じたストックヤードの整備を
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リニア工事 県境越えボーリング 専門家説明、流域10首長側「おおむね納得」
リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川中下流域の水問題を議論した国土交通省専門家会議の委員と流域10市町の首長の意見交換会が3日、島田市で開かれた。JR東海が山梨県から静岡県境を越えて実施方針の高速長尺先進ボーリングの是非について首長側が質問し、委員側は「有効な調査」などと説明。首長側はおおむね納得したという。 意見交換会は非公開で行われ、終了後に出席者が取材に応じた。ボーリングを巡っては県が県内の地下水流出につながると懸念を示しているが、同会議の福岡捷二座長は委員側の意見として「工事ではなく調査であり、調査自体に問題はない」との考えを伝えた。 染谷絹代島田市長は「説明を受け、(首長は
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リニア工事 県境越えの先進ボーリング 大井川流域市町、賛否分かれる 県とは認識の違いも
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事を巡り、JR東海が山梨県側から静岡県との県境を越えて高速長尺先進ボーリングを実施する考えを示したことについて、大井川流域市町の首長の賛否が分かれている。県は、県内の地下水が流出する懸念があり、県有識者会議の専門部会で対策をまとめるまでは認められないとの立場で、認識の違いが浮き彫りになっている。 「リスク回避のためにも実施してほしい」。島田市の染谷絹代市長は11月1日の定例記者会見で県境越えの先進ボーリングに賛成の立場を表明した。「科学的、工学的な調査をやって初めて議論の土台ができる」とし、地下水流出の懸念は「流出があれば(そのときに)対応するべき」との
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流域市町の意見まとめ、JR東海に送付 静岡県 リニア大井川水問題巡る問答冊子に対し
静岡県は1日までに、JR東海がリニア中央新幹線工事に伴う大井川水問題を巡り住民から寄せられた質問と回答を記した冊子について、大井川流域市町や利水者の意見をまとめ、同社に送付した。県に意見を寄せた14の市町・団体のうち、内容の修正を求めるなど否定的な意見は8件、肯定的な意見は3件だった。 否定的な意見では「調整前の情報が一方的に発信され、地域住民の誤解を招く懸念がある」などとJR東海の回答の表現を問題視する内容が多かった。肯定的な意見としては「地域の意見を広く受け止めるための取り組みとして評価する」などの声が寄せられた。 県は「(水資源への影響を予測する)水収支解析が示す数値は不確実なのに
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田代ダム 冬場の発電施設維持流量、今後は求めず 東京電力が検証結果報告 リニア大井川水問題
東京電力グループ田代川第2発電所の田代ダム(静岡市葵区)の水利権や河川維持流量について、大井川流域の市町や電力事業者が協議する大井川水利流量調整協議会の会合が30日、島田市で開かれた。前回の会合から焦点となっていた冬場の発電施設維持流量(毎秒1・62トン)について、東電側が今後は不要とする検証結果を報告し、12月6日から同流量を撤廃した取水の運用を行うことで合意した。 田代ダムを巡っては、JR東海がリニア中央新幹線トンネル工事で県外に流出するトンネル湧水と同じ水量をダムの取水を抑制することで相殺する案を県有識者会議の専門部会で提案している。専門部会の委員からは冬場の発電施設維持流量との兼ね
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観光スタンプラリー 静岡県、DX化で実証実験 AIが最適ルート案内
静岡県は12月1日から2023年1月31日まで、県の公式観光アプリ「TIPS(ティップス)」を活用した実証実験「しず旅スタンプラリー」を行う。発着地点から1日の来訪スポット数が最大になるルートを人工知能(AI)が案内するサービスを初めて導入する。 県内の観光施設など100カ所にスタンプラリースポットを用意した。6カ所訪問で千ポイント、10カ所で2千ポイントを贈呈する。ポイントはそのまま円に換算でき、約80カ所ある加盟店で使用できる。 AIが作成したJR清水駅発着のルート例では午前9時から午後6時までの間に、焼津さかなセンター(焼津市)や富士山静岡空港(牧之原市)などそれぞれの施設を楽しむ
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地域政党立ち上げ 静岡県議会ふじ会派議員「新政しずおか」
静岡県議会第2会派ふじのくに県民クラブの所属議員が25日、地域政党「新政しずおか」を立ち上げ、県選挙管理委員会に同名の政治団体を届け出たと発表した。代表に就いた田内浩之氏(湖西市)は県庁で記者会見し、「国政政党に左右されない自律した地域を目指し、真の地方創生を実現する」と活動理念を述べた。 政治団体の届け出は10月27日付。同会派の議員17人の大半が参加する意向という。綱領に「開かれた地方政治」や「持続可能な地域経営」を掲げ、市町の議員にも党派を超えて参画を呼びかける。 活動の第1弾として2023年春の県議選で候補者を公募する。同会派の現職が立候補を予定していないか、複数の擁立を目指す三
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静岡県指定文化財に徳川慶喜の油絵2点 富士・伝法の古墳群で出土の遺物も 保護審議会が答申
静岡県文化財保護審議会は18日、久能山東照宮(静岡市駿河区)が所有する江戸幕府15代将軍徳川慶喜が描いた油絵2点を含む計3点を県指定文化財に指定するよう川勝平太知事に答申した。今月中に登録される予定。県文化財課によると、慶喜の制作した絵画が県指定文化財に登録されるのは初めて。 答申されたのは「日本風景<徳川慶喜筆/油絵 絹>」と「西洋風景<徳川慶喜筆/油絵 麻布>」。「日本風景」は江戸幕府が滅び、慶喜が静岡で生活を始めた直後の1870年頃の制作とみられる。縦40センチ、横60センチで、題材の場所は特定できないとした。「西洋風景」は縦51・5センチ、横36センチ。慶喜が静岡で暮らした後半の1
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JR社長「リニア協力なら検討も」 静岡市道閑蔵線のトンネル整備
JR東海の金子慎社長は17日に名古屋市で開いた定例記者会見で、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に関連し、川勝平太知事から静岡市道閑蔵線のトンネル整備を要請されたことに対し、「県として(リニアの)静岡工区の工事に協力するなら(整備を)検討する可能性が出てくる」と返答したと明らかにした。 金子社長は、静岡工区のリニア工事について「県として協力するという話が全くいただけていない」と述べ、「その中で閑蔵線整備の要請をいただくのはバランスがとれない話だ」と、川勝知事の姿勢を批判した。県から工事に協力するという姿勢が得られれば、「いろいろな事柄が前向きに進む」とした。 「協力」の具体的な内容に
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花畑への影響調査、JR東海が9月着手 リニア専門家会議
東京都内で16日に開かれたリニア中央新幹線トンネル工事に伴う南アルプスの環境への影響を議論する国土交通省の第5回専門家会議で、JR東海はトンネル工事により懸念される地下水の低下について、高山帯の花畑への影響を確認する調査を9月から始めたと明らかにした。 調査地点は南アルプス国立公園区域内にある荒川岳を中心に、東岳山頂付近や中岳山頂付近、西カール付近など計9カ所。 電気探査やボーリングを行い、植物が根を下ろしている表層部の土壌水分や付近の湧水、池の水がトンネル掘削箇所付近の深さの地下水と関係性があるか確認する。表層部の土壌水分は雨水との関係性も調べるとした。 京都大准教授の竹門康弘委員(
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水資源対策、事前の協議を リニア山梨工区、静岡県がJRに要請文書
静岡県は9日、リニア中央新幹線南アルプストンネル山梨工区工事でJR東海が山梨・静岡県境を越えて高速長尺先進ボーリングを行う考えを示したことを受け、同社に県内の地下水流出対策を事前に示すよう文書で要請した。 県は、同社が過去に国土交通省専門家会議に示した資料で、先進ボーリングを「工事実施段階の取り組み」と説明したことを踏まえ、県境越えの先進ボーリングは「県内工事の一環」との認識を示した。その上で、ボーリングで穴を開けると、水圧差の関係から本県内の地下水が穴に引っ張られ、山梨県側に流出するとの懸念を改めて示した。 地質調査は、先進ボーリング実施前に地表からのコアボーリングを行うべきだとの考え
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川勝知事「閑蔵線」整備提案 リニア早期開業へ「住民への大きな貢献」 JR社長「可能性はある」
川勝平太知事によると、2日にリニア中央新幹線の試験車両に乗車した際、JR東海の金子慎社長と懇談し、静岡市葵区井川地区と川根本町を結ぶ市道閑蔵線トンネル整備を提案したという。試乗後、藤枝市で報道陣の取材に答えた。 川勝知事はリニアの早期開業には「住民の理解を得なければならない」と指摘し、閑蔵線の整備は「住民(の安全性や利便性確保)への大きな貢献になる」と改めて主張した。提案に対し、金子社長は「可能性としてはある」と応じたという。 川勝知事は同日に藤枝市で開かれ、田辺信宏静岡市長ら県中部の首長らが参加した地域サミットでも閑蔵線トンネルに言及した。 リニア工事に伴う道路整備を巡っては、JR東
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田代ダム案「法抵触しない」 JR東海、政府見解を説明【大井川とリニア】
JR東海は31日、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題の対策を協議する静岡県有識者会議の地質構造・水資源専門部会で、トンネル湧水の県外流出対策として提案した田代ダム取水抑制案は、河川法に抵触しないとする政府見解を国土交通省から得たと明らかにした。 同案は、トンネル掘削時に本県から山梨県に流出する湧出量と同じ水量だけ、東京電力田代ダムの取水を抑えて大井川の減水を防ぐ方策。 JR東海の担当者は政府見解として、取水抑制した水量はそのまま大井川に流れ、東電が水利権として排他的、独占的に使用できる状況ではないため「(東電が)発電以外の目的で使用したことにはならない」と説明した。抑制した水
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リニア工事残土処理 盛り土は「有効利用」か JR東海「該当」との認識、静岡県や専門家は疑問視
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事で発生する残土の処理を巡り、JR東海が、静岡工区で発生する残土の大半を静岡市葵区の大井川上流部に盛り土として存置する計画を「建設発生土の有効利用」と捉え、国や静岡県が掲げる有効利用率の目標値を達成するとの報告書を県に提出していたことが、29日までの同社への取材で分かった。県や建設残土に詳しい専門家は「主に工事での利用などを指す『有効利用』の定義から外れている」と同社の認識を疑問視している。 JR東海は、静岡工区で発生するトンネル残土を370万立方メートルと見込み、大半を大井川上流部の燕(つばくろ)沢近くに存置する計画を環境影響評価書で示している。一方、
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リニア水問題 10月31日に静岡県専門部会 工事進捗を確認
静岡県は27日、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川水問題について協議する県有識者会議の地質構造・水資源専門部会を31日に県庁で開催すると発表した。JR東海が工事の山梨、長野両工区の進捗(しんちょく)状況について説明する。 県は、両工区の工事が静岡県境に近づくと県内の地下水がトンネル湧水として流出する懸念があるとして、JR東海に対し、工事の停止位置を協議するよう求めていた。県の担当者は「静岡県が他県の工事に口を出しているという誤解もある。まずは協議の必要性に関する認識を関係者間で共有したい」としている。 11月初旬にも県を退職することを表明している難波喬司県理事にとっては最
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憧れの狩猟生活を実現 川根本町移住の22歳「生きていると実感」
山間部での狩猟生活に魅了される若者が静岡県内で少しずつ増えている。その1人、牧之原市の海の近くから南アルプス南部山麓の川根本町に移住した渡辺実優さん(22)は昨年、大学在学中にわな猟免許を取得。これまでにニホンジカ3頭、ニホンザル2頭を捕獲し、ジビエ料理も楽しむ。「自然と向き合い、一つ一つ生活を丁寧に送る。自分が生きていると実感する」。野生鳥獣に悩まされる山間地の現実や狩猟で生計を立てる難しさを実感する一方、間もなく1年となる狩猟生活を満喫する。 「木が削れ、土が踏みならされている」。10月中旬、渡辺さんは猟仲間の松浦あづみさん(24)と入った川根本町の里山で、シカが通ったとみられるけもの
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リニアでぎくしゃく 静岡、山梨、神奈川の3知事 融和ムード演出
静岡市清水区で26日に開かれた関東地方知事会議は、川勝平太知事のリニア中央新幹線工事を巡る発言に苦言を呈している山梨、神奈川両県知事も参加し、川勝知事とどのようなやりとりが行われるか注目が集まった。山梨県の長崎幸太郎知事は川勝知事と休憩時間に会話し、「すれ違いは解消した」と融和を強調した。神奈川県の黒岩祐治知事は「(もともと)何のわだかまりもない」と淡々と語った。 長崎知事は、静岡県がリニア南アルプストンネル山梨県内工事の停止に関する協議をJR東海に求めていることについて「一言も連絡がない」と地元山梨での記者会見で不快感を示していた。この日、川勝知事が会議開始直前に控室に来たとし、「静岡県
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水問題など質問196件 JR東海、主な問答をホームページで公開
JR東海は26日、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川水問題に関して、7月から募集していた意見・質問が計196件あったと発表した。水問題に関する主な質問と同社の回答を取りまとめ同日、ホームページで公開した。 10月13日までの3カ月間で84人から寄せられたという。内容別の内訳は、水問題に関することが92件、リニア計画全般が62件、生態系への影響が10件、その他32件だった。 水問題についての主な意見・質問として「農業用水がなくならないのか心配」や「田代ダムの取水を抑制し、大井川に還元する方策は実現可能か」など22問があったとした。同社は田代ダム活用案の実現性について、県側と
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知事「山梨知事の理解得ている」 リニア工事停止協議、JR東海の伝達に不快感
川勝知事は定例記者会見で、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事を巡り、JR東海に求めている山梨工区の工事停止に関する協議について、同社が「山梨県知事の理解が確認できるまでは応じられない」と伝えてきたと説明した。知事は「山梨県知事の理解はすでに得られている」とし、JRに対し「途方もない見解。誠に失礼な話だ」と不快感をあらわにした。 静岡県は山梨工区の工事が県境に近づくと、県内の地下水がトンネル湧水として流出し、大井川の水資源にも影響する懸念があると主張。13日にJR東海に対し、どの地点で工事を停止するかについて、県有識者会議の専門部会で協議するよう求めていた。 一方、山梨県の長崎幸太郎知
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野外公演 グランドスケープ浜名湖 出演者、静岡県庁でアピール
浜松市西区の舘山寺温泉で29日~11月3日に行われる浜名湖湖上の野外公演「グランドスケープ浜名湖@舘山寺」(ハマナコ・ディスティネーションなど主催、静岡新聞社・静岡放送共催)の関係者が18日、静岡県庁を訪れ、川勝平太知事に概要を報告した。 公演は昨年に続き2回目。夜、建設資材などを運搬する台船上に舞台を設け、地元の神事や伝統芸能をテーマにした演劇を繰り広げる。 昨年に続き出演するダンスインストラクター鈴木舞雪[まゆ]さん(20)=浜松市=は「華やかな演出を楽しんでもらえるように精いっぱいパフォーマンスする」と意気込みを語った。 川勝知事は「浜名湖の風物詩にしてほしい。成功させ、ぜひ来年
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家康の経済、近世へ導く 徳川みらい学会 歴史学者ら討論
徳川時代の歴史的意義を研究、発信する「徳川みらい学会」は15日、本年度の第4回講演会「10thシンポジウム」(静岡商工会議所共催)を静岡市葵区の市民文化会館で開いた。歴史学者らによるパネル討論を行い、「泰平の世に導いた徳川家康」をテーマに意見を交わした。 ともに静岡大名誉教授の小和田哲男さんと本多隆成さん、静岡文化芸術大前学長の熊倉功夫さんの3人が登壇した。 本多さんは家康の多岐にわたる経済政策の中で、1589~90年に本県などで行った検地「領国総検地」に注目した。「太閤(たいこう)検地と遜色ない内容。近世的な(領地支配)態勢へと大きく転換するきっかけになった」と強調した。 小和田さん
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リニア山梨工区 工事停止地点、協議を 静岡県、JRに文書提出
静岡県は13日、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事を巡り、山梨・静岡県境に迫る山梨工区の工事をどの地点で止めるかについて、協議を求める文書をJR東海に提出した。文書では「工事がこのまま進むと、静岡県内の水を(トンネル内に)引っ張る量が増え、大井川の水資源への影響が生じる」と懸念を示した。 JR東海の金子慎社長は9月の定例記者会見で、山梨工区のトンネル掘削は先進坑の先端が静岡県境まで約1キロの地点まで進んでいると説明していた。 県は「トンネル掘削により発生する湧水は距離的に離れた場所の高圧の地下水を引っ張る」と指摘し、先進坑掘削に先立って行う高速長尺先進ボーリング調査やコアボーリング調
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リニア工事「順調の根拠示せ」 川勝静岡知事、神奈川知事に要望
川勝知事は11日の定例記者会見で、神奈川県の黒岩祐治知事がリニア中央新幹線の同県での用地取得や工事は順調に進んでいるとの認識を示したことに関連し、「2027年のリニア開業に間に合うという数字の根拠を今月中にでも公表してもらいたい」と述べた。 川勝知事が「リニアの27年開業が困難になっているのは神奈川県のリニア関東車両基地用地取得事業の遅れに責任がある」と指摘したことを受け、黒岩知事は1日、「住宅が建っている場所では8割の方から(用地取得の)了承を得ている」と述べ、反論していた。 川勝知事は会見で、神奈川県内の工事は「遅れていない」との認識を示したJR東海の金子慎社長に対しても「JRは(車
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静岡空港新駅協議、川勝知事「歓迎」 リニア同盟会、山梨知事意向受け
川勝平太知事は11日の定例記者会見で、山梨県の長崎幸太郎知事が静岡空港(牧之原市)に新幹線新駅を整備する本県の構想について、リニア中央新幹線建設促進期成同盟会で実現性を議論する意向を示したことについて「ありがたい。強く賛意を表したい」と述べ、歓迎する考えを明らかにした。 川勝知事は、リニアの同盟会で静岡空港新駅の実現性を議論することは、同会が活動規約に掲げる「(リニア)建設促進に関する調査研究」に当たると述べた。リニア南アルプストンネル工事を巡りJR東海と大井川水問題を協議している本県の立場を踏まえ、「今は水問題の解決が最優先」と説明する一方で、水問題と並行して、本県が加盟する同盟会の中で
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新幹線の静岡空港新駅 リニア建設促進期成同盟会で議論を 山梨県知事意向「沿線全体の利益になる」
山梨県の長崎幸太郎知事は7日までに静岡新聞社のインタビューに山梨県庁で応じ、静岡空港(牧之原市)に東海道新幹線新駅を整備する静岡県の構想について、リニア中央新幹線の沿線自治体でつくる建設促進期成同盟会の中で実現に向け議論する考えを明らかにした。意見がまとまれば、国土交通省やJR東海に同盟会の総意として設置を要望する。長崎知事は静岡空港新駅について「リニアと東海道新幹線の沿線地域全体の利益になる」と強調した。 長崎知事は8月、静岡県のリニア期成同盟会加盟を受けて開かれた臨時総会で鉄道、道路、空港など高速交通体系の研究会設立を提案し、了承された。今後、研究会の議題に静岡空港新駅を取り上げ、ほか
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静岡県「聞いていない」 担当参事「事実なら追い風」歓迎 山梨県知事「静岡空港新駅」議論意向
山梨県の長崎幸太郎知事が東海道新幹線の静岡空港新駅設置の議論をリニア中央新幹線建設促進期成同盟会の中で進める考えを静岡新聞社のインタビューで示したことについて、静岡県の羽田充明新幹線新駅担当参事は7日、「聞いていない」としつつ、「事実なら(新駅の実現に向けて)追い風になる」と歓迎する意向を示した。 静岡県は2014年度から6年連続で計上した調査費で、静岡空港の地下を走る東海道新幹線のトンネル西側出口付近に半地下の新駅を造り、空港ターミナルビルと直結させることが技術的に可能だと確認した。羽田参事は静岡空港と東海道新幹線が接続すれば、「観光客の増加などリニアを含む沿線地域全体への経済波及効果が
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「危険性高い」 静岡県、応急工事費を補正予算計上 函南の不適切盛り土
静岡県は函南町丹那で確認された盛り土4カ所のうち、同一業者が施工したとみられる3カ所について、早急に安全確保が必要として安定性の調査と応急対策工事の費用を県議会9月定例会提出の補正予算案に計上した。6日から県議会で委員会審査が始まる。 県は2021年7月に熱海市伊豆山の大規模土石流が発生した後、県内の盛り土総点検を行い、不適切とみられる盛り土196カ所を確認した。函南町の盛り土は町からの情報提供で把握し、現地で調べた結果、危険性が最も高いグループに分類した。 特にソーラーパネルのすぐ南側に施工された盛り土は急斜面に造成されている上、排水設備もなく「大型台風などが直撃すれば、流出する可能性
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渡辺周代表を再任 立民静岡県連が定期大会
立憲民主党県連は1日、定期大会を静岡市内で開き、渡辺周衆院議員(比例東海)の代表再任を決めた。渡辺氏は来春の統一地方選について「党再生に向けて極めて重要な選挙。積極的な候補者発掘に努める」と意気込みを語った。 渡辺氏は衆院選についても「(衆院小選挙区定数)10増10減が今国会で可決されれば、いつでも解散総選挙ができる状況になる」と指摘し、現在空席となっている静岡1、2、5、7区などの総支部長を党本部と協議して早急に決定する考えを示した。 渡辺氏は昨年10月の衆院選の結果を受けて代表の辞意を示し、今年7月の参院選後にも再び辞意を示したが、今後の野党共闘などを踏まえ、「実績のある渡辺代表の続
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国民・玉木氏 大規模断水の清水区視察「行政対応検証が必要」
国民民主党の玉木雄一郎代表は29日、台風15号による記録的豪雨の影響で大規模断水が発生した静岡市清水区を視察した。市の災害対策本部発足が断水発生から2日後の26日だったことなどを挙げた上で「行政の対応が遅い」と非難し、今後、検証する必要があるとの認識を示した。同市葵区で報道陣の取材に答えた。 玉木代表は、市の災害ごみの回収が遅れ、被災住宅の外に積まれたままになっていることや、自衛隊の派遣要請が26日になったことも取り上げ、「市と県のコミュニケーションはどうなっているのか。住民のフラストレーションがたまっている」と指摘した。 県と市が求める早期の激甚災害指定については「国に働きかけたい」と
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記者コラム「清流」 収穫乏しかったトップ会談
13日に急きょ行われたリニア中央新幹線工事を巡る川勝平太知事と金子慎JR東海社長の会談は収穫に乏しい内容だった。「知事のリニア山梨実験線試乗が決まったことが唯一の成果」。非公開だったが、県関係者の皮肉たっぷりの感想がそれを物語る。 肝心の大井川水問題は県専門部会で議論の最中。委員がJRに回答を求めている「64の質問」を差し置いて「着工に理解を」と要請されても、知事が「分かりました」と言えるわけがない。会談自体がJRの「パフォーマンス」とみられても仕方ないだろう。 対する知事はリニア関連の県外視察に熱心だが、一方的な発信は周囲との摩擦を生むだけだ。大井川流域からも戸惑いの声が聞こえる。両者
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知事、早期着工要請応じず 「水問題解決が先」 JR東海社長と会談【大井川とリニア】
リニア中央新幹線工事を巡る川勝平太知事と金子慎JR東海社長の会談が13日、県庁で行われた。金子社長は静岡工区の工事の遅れにより、2027年の品川―名古屋間だけでなく37年を目指す品川―大阪間の全線開業も「めどが立たない」として静岡工区の早期着工に協力を要請したが、川勝知事は大井川水問題や南アルプスの生態系への影響に関する問題が未解決として応じなかった。 一方、川勝知事が主張する相模原―甲府の部分開業や、相模原市の関東車両基地の整備の遅れについて金子社長はいずれも知事の見解を否定し、議論は平行線をたどった。 2人の会談は静岡工区のヤード工事について意見を交わした20年6月以来2回目。JR側
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リニア全体進捗、確認を 静岡県知事、期成同盟会に文書
川勝平太知事は9日、相模原市のリニア中央新幹線工事現場の視察について報告文書を取りまとめ、リニア建設促進期成同盟会の加盟都府県に送付した。視察で重大な工事の遅れが確認されたとし、同盟会の会長である大村秀章愛知県知事に各都府県の工事の進捗(しんちょく)状況を再確認するよう求めた。 川勝知事はリニア関東車両基地(同市緑区)の整備予定地について「数多くの人家があり、明らかに用地買収は滞っている」と指摘し、品川―名古屋間の2027年リニア開業のスケジュールに影響を及ぼすとの認識を示した。その上で、リニアの整備促進には「各地の工事の実態に即したタイムスケジュールを共有することが重要」と強調した。
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要対策土扱い「県に確認する」 リニア残土置き場巡りJR社長
JR東海の金子慎社長は8日、定例記者会見を名古屋市で開き、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事で発生する残土のうち、有害物質を含む「要対策土」を大井川上流部の藤島沢(静岡市葵区)に積み上げる計画について「扱いについて県によく確認したい」と述べ、ただちに撤回する考えはないとした。同計画を巡っては難波喬司県理事が8月31日の報道陣の取材で、県盛り土規制条例を理由に認められないと明言していた。 金子社長は「当社だけ特別に厳しい扱いというわけではないと思う」と述べ、県内の他の土木工事における要対策土の取り扱いなどを参考に、条例の具体的な運用について確認したいとした。 川勝平太知事が9月7日に相
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川勝知事「車両基地 工事に遅れ」 2027年開業「幻想」 相模原のリニア工事現場視察
川勝平太知事は7日、リニア中央新幹線沿線の相模原市内のリニア工事現場を視察した。同市役所で本村賢太郎市長と懇談した後、取材に応じ、同市に建設予定の関東車両基地(緑区)の整備が遅れているとして、事業者のJR東海と沿線自治体が目標とする2027年の品川-名古屋間のリニア開業は困難との見解を示した。 静岡県は7月、リニア建設促進期成同盟会に加盟し、品川-名古屋間の27年リニア開業を目指す立場をほかの沿線自治体と共有した。川勝知事は「現場の状況を知らないまま(ほかの知事は)27年に開業できるという幻想を持っている」と持論を展開し、今後、こうした各地の工事状況について同盟会の中で情報共有する意向を示
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知事指摘、リニア工事遅れ 相模原市長「JRに確認する」
相模原市の本村賢太郎市長は7日、川勝平太静岡県知事と懇談した後、取材に応じ、川勝知事が指摘したリニア関東車両基地の整備の遅れについて「JR東海に確認したい」と述べた。 同市によると、車両基地整備予定地の用地取得は神奈川県が担当しているという。本村市長は「神奈川県と連携しながら(JR東海に)情報公開をお願いしていく」とした。 川勝知事が主張した相模原―甲府間の先行開業については「品川―名古屋間の27年開業を目指す考えに変わりはないが、研究は必要だと思う」と話した。
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静岡県「要対策土」盛り土認めず JR東海存置計画、変更不可避 リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事
静岡県の難波喬司県理事は31日、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事で発生する残土のうち、有害物質を含む「要対策土」を大井川上流部の藤島沢(静岡市葵区)に積み上げるJR東海の処理計画について、7月に施行した県盛り土規制条例を理由に「認められない」と明言した。JR東海は同工事で発生する要対策土の全量を藤島沢に盛り土して永久存置する計画を示し、条例施行後も維持しているが、大幅な変更を求められる。 同条例は要対策土の盛り土を原則禁止する一方、適切な措置が講じられていると知事が認めれば例外的に認める「適用除外」の規定を設け、要綱の中で盛り土ができる場所を「事業区域内」と定めている。 難波理事は
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湧水県外流出対策「田代ダム活用」 東電「国、県、流域の事前了解必要」【大井川とリニア】
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴うトンネル湧水の県外流出対策として、JR東海が大井川上流部にある田代ダム活用案を静岡県側に提案したことについて、ダムを管理する東京電力グループの東電リニューアブルパワー(東電RP、東京)が29日までに静岡新聞社の取材に文書で回答した。田代ダム案の実現性についてJRと具体的に協議するには、JRが河川管理者の国と県、流域市町の理解を事前に得ることが必要との認識を示した。 東電RPは田代ダム案について、JR東海から「正式に協力要請を受諾したとの位置付けにない」とした上で、JRが事前了解を得るべき相手として国、県のほか、大井川水利流量調整協議会の構成員を挙
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作品「命の水」寄贈 書家平形さん、静岡県に
静岡大名誉教授で書家の平形精逸(本名・精一)さん(76)=静岡市駿河区=がこのほど、県庁に川勝平太知事を訪ね、「命の水」と書いた作品を寄贈した。 作品は縦70センチ、横35センチ。豊かな水流、水量をイメージして流れるような書体の行書体で揮毫(きごう)した。平形さんは、リニア中央新幹線トンネル工事の大井川水問題を念頭に「水資源確保のために日々奮闘する川勝知事の姿に感動し、気持ちを筆に託した」と話した。 川勝知事は「素晴らしい」と感嘆の声を漏らし、「多くの来庁者が目にする場所に飾りたい」と感謝した。 平形さんはこれまでもお茶に関する作品を県に寄贈している。8月に日展審査員に就任したことも合
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記者コラム「清流」 最初から出して
最初から出せばいいのに…。会場にいた人の多くがそう思ったのではないか。リニア中央新幹線トンネル工事の大井川水資源への影響を協議する県側とJR東海の会議。JRはトンネル湧水の県外流出対策として田代ダム活用案を示したが、実現性を検証するための資料が乏しく、県側の専門家委員から酷評された。 「まずは自分たちの持っているデータで示した」。JRの担当者は詳しい資料の提出はダムを管理する東京電力の許可が必要と弁明したが、協議にスピード感を求めるなら事前に許可を取っておくべきだった。 水問題解決への光明になるか、ダム案への期待が大きいだけに「期待外れ」のときの幻滅もまた大きい。同社には誠
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JRに文書回答要請 県専門部会 意見や質問64項目【大井川とリニア】
静岡県は25日、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川水問題への対策を議論する県有識者会議の地質構造・水資源専門部会で、これまでに出た委員らの意見・質問を整理し、JR東海に提出した。文書での回答を要請している。 4、7月に開催した直近2回の会議の中で出た意見・質問のうち、JRが回答できなかったり、回答内容が不十分とみなしたりした64項目を「トンネル湧水の県外流出対策」「残土置き場」などテーマ別にまとめた。 JRがトンネル湧水の県外流出対策として提案した東京電力田代ダム取水抑制案について、森下祐一部会長(静岡大客員教授)は実現性を検証するための資料や東電の見解を提示するよう要望
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相模原―甲府、先行開業を 知事「合理的な促進」【大井川とリニア】
川勝平太知事は23日の定例記者会見で、JR東海のリニア中央新幹線について、神奈川県駅(仮称、相模原市)―山梨県駅(同、甲府市)間の先行開業を目指すべきだと主張した。リニアの南アルプストンネル工事に伴う大井川水問題を巡り県とJRとの協議が続く中「どの程度可能性があるか確認したい」と述べ、9月上旬に神奈川県駅の工事現場を訪れる予定で関係者と調整していると明らかにした。 静岡県は東京・品川―名古屋間の2027年開業を目指す立場を表明した上で、7月にリニアの沿線自治体でつくる建設促進期成同盟会に加盟した。川勝知事はこの立場を維持するとしつつ「できるところからやる以外に建設促進する方法はない。部分開
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田代ダム案に期待と懸念 知事に流域首長表明【大井川とリニア】
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題を巡り、川勝平太知事と大井川流域10市町の首長らが10日に県庁で行った意見交換で、JR東海が「トンネル湧水の全量戻し」の代替案として提示した東京電力田代ダムの取水抑制案について、多くの首長が実現への期待感を示したものの、「水利権の売買を認めていない河川法に抵触するのではないか」などと懸念を表明した。 代替案はトンネル工事中に県外に流出するトンネル湧水と同じ量のダム取水を抑制し、大井川表流水の減水を防ぐ。染谷絹代島田市長は「大井川に水が返ってくるならありがたいが、法律に反しないのか県有識者会議での議論を見守りたい」と述べた。
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川勝知事、流域10市町の首長と意見交換 取水抑制案など議論【大井川とリニア】
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川流量減少問題や南アルプス環境保全問題を巡り、川勝平太知事と大井川流域10市町の首長らは10日、意見交換会を県庁で開いた。JR東海がトンネル湧水の県外流出対策として提示した東京電力田代ダム取水抑制案や、静岡県がリニアの建設促進期成同盟会に加盟した狙いなどをテーマに意見を交わした。 会議は2020年6月以来3回目。市町側がリニア工事を巡る最近の課題について県の考えや今後の方針を聞きたいと開催を要望した。焼津、藤枝、袋井、御前崎、菊川、吉田、川根本町、島田の8市町は首長が、掛川と牧之原の2市は副市長が参加し、冒頭のあいさつを除いて非公開で行われた
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南アルプス公園線トンネル工事遅れ 川勝知事、静岡市を批判【大井川とリニア】
川勝平太知事は9日の定例記者会見で、JR東海がリニア中央新幹線南アルプストンネル工事の車両を通すために静岡市葵区に新設する「県道南アルプス公園線トンネル」を巡り、静岡市がトンネル残土置き場の選定に手間取ったことで本体工事に遅れが生じたと持論を展開し、市の対応を「(JR東海との)約束を履行していない」と批判した。 計画するトンネルは南アルプス公園線と県道三ツ峰落合線を結ぶ全長4・6キロ。2018年6月、市とJR東海が基本合意し、JRが建設費用約140億円を全額負担して整備する。 川勝知事は「残土の用地交渉は市の役割」と指摘した上で、「(基本合意から)3年間くらい何の動きもなかった」と市を
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川勝知事「リニア27年開業を共有」 期成同盟会臨時総会に初参加
リニア中央新幹線の沿線都府県でつくる建設促進期成同盟会は9日、臨時総会を開き、川勝平太知事が初めて参加した。川勝知事は「(リニアの)品川―名古屋間の2027年度開業を目指す立場を共有し、現行ルートでの整備を前提にスピード感を持って県内の課題解決に取り組む」とあらためて表明した。 静岡県が10都府県目の構成員として7月に加盟したことを受け、オンラインで開催した。県庁から参加した川勝知事は、リニア工事を巡る本県の状況について「水資源、生物多様性、残土処理などへの影響回避という深刻な課題が未解決」と説明した上で、「他の都府県とも課題を共有し、JR東海との対話を国と協力して推進する」と理解を求めた
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田代ダム案「尽力を」 川勝知事、JRに実現要望
リニアトンネル工事に伴う湧水の県外流出対策としてJR東海が活用を提案した東京電力田代ダム(静岡市葵区)について、川勝平太知事は8日の大井川上流域視察の一環として現地を訪れた。 知事は「水が戻ってくれればありがたい。JR東海は言い出した以上、責任を持って(実現に)尽力してほしい」と述べた一方で、県が求めている「トンネル湧水の全量戻し」に田代ダム案は当たらないとの認識をあらためて示した。 視察には田代ダムの発電施設がある山梨県早川町の辻一幸町長が同行した。辻町長は「大井川の水が減ったら静岡県民にとってゆゆしきこと」と述べて、JR東海や東京電力に同案を提案したと明かした。発電量が減ることで同町
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静岡市の燕沢盛り土「不適」 川勝知事がリニア工事残土置き場予定地視察
川勝平太知事は8日、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に関連して大井川上流域の東京電力田代ダムや残土置き場予定地を視察した。最も規模が大きい残土置き場が計画されている静岡市葵区の燕(つばくろ)沢について、川勝知事は「(地盤の)深層崩壊の可能性がある場所で不適だ」との考えを示した。 川勝知事は燕沢でJR東海の担当者から、残土を約65メートル積み上げる盛り土構造について説明を受けた後、「過去に何度も土砂崩れを起こした地質学的知見があり、盛り土する場所としてふさわしくない」と述べ、計画の変更を求めた。JR東海は静岡工区のトンネル工事で約370万立方メートルの残土発生を見込み、このうち360万
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リニア工事残土どう処理 静岡県条例で「要対策土」原則盛り土禁止に JR東海「適用除外」念頭
熱海市の土石流災害を受けて県盛り土規制条例が7月に施行されたことで、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事で発生する残土の処理方法に注目が集まっている。自然由来のヒ素などの重金属を含み、汚染対策が必要とされる「要対策土」の盛り土が原則禁止されたためだ。JR東海は、適切な措置が講じられていると知事が認めれば例外的に盛り土を可能とする「適用除外」を受けることを念頭に現地での存置計画を維持したい考えだが、県は「具体的に協議しているわけではなく(適用除外と)判断できない」と慎重な姿勢を崩していない。 「これまでのJRの説明では処理できなくなる」。県の難波喬司理事は2日、都内で開かれた国土交通省専門
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片桐君、石川さん知事賞 水の週間作文 入賞の小中生表彰
静岡県は3日、水の大切さをテーマに県内小中学生から作文を募った「水の週間記念作文コンクール」の表彰式を県庁で開いた。最優秀賞に当たる知事賞には浜松市立光明小2年の片桐悠佑君と不二聖心女子学院中2年の石川怜奈さんの2作品を選んだ。 8月第1週の「水の週間」にちなんで企画し、今年で45回目。13校262人が寄せた作品の中から、知事賞をはじめ入賞作10点を決めた。 片桐君は、魚の気持ちに思いを巡らせながら、川の水を守るために自分ができることを考えた。石川さんは地元で進む都市開発を取り上げ、身近な自然を守るにはどうするべきか、さまざまな視点から考察した。 高畑英治くらし・環境部長が「これからも
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沢の水、詳細調査を 生態系への影響軽減【大井川とリニア】
リニア中央新幹線工事に伴う南アルプスの生態系への影響を協議する国土交通省専門家会議は2日、第2回会合を都内で開き、大井川上流域の沢への影響について議論した。京都大防災研究所水資源環境研究センター准教授の竹門康弘委員(生態系管理学)は一般論として、沢全体として水枯れが発生する時期でも「水が流れるところもある」と指摘し、生態系への影響の回避・低減策を図る上でこうした「ホットスポット」(同委員)の特定が重要だと説明した。 JR東海は、トンネル工事の影響が生じる恐れがある五つの沢に関し、県有識者会議生物多様性専門部会で減水予測を示したものの、生物や植物の細かい分布状況は提示していない。竹門委員は「
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生態系影響 JR予測不十分で「評価できず」 難波静岡県理事説明
リニア中央新幹線工事に伴う南アルプスへの生態系への影響について協議する国土交通省専門家会議は2日、第2回会合を都内で開き、これまでの静岡県有識者会議生物多様性専門部会での県側とJR東海の議論について、県の難波喬司理事から聞き取りを行った。難波理事は工事の影響で大井川上流域の地下水位が低下し、同域の生態系全体に影響する恐れがあるにもかかわらず、JR東海が示す影響の想定が不十分で「正しく評価できない」などと説明した。 難波理事はJR東海の影響予測が不十分な事例として、同社が沢ごとの減水予測を示した際、基礎データとして月平均の河川流量データを用いたことを取り上げた。難波理事は「日単位で流量がない
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川勝知事 JR配布冊子批判「勇み足だ」 リニア大井川水問題
川勝平太知事は26日の定例記者会見で、JR東海がリニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題について県民などから意見を募るために作成した冊子を巡り、県有識者会議で議論中の流量減少対策案が「実現できるかのように読み取れる内容になっている」と指摘し、「勇み足だ」と批判した。 冊子については20日に開かれた県有識者会議の地質構造・水資源専門部会でも、複数の委員が「内容に違和感を持った」などと懸念を示していた。 川勝知事はトンネル湧水の県外流出対策としてJR東海が示している東京電力田代ダム取水抑制案について、冊子で「県外流出量と同量を大井川に戻す方策」として紹介されていることを取り上げ、「本来
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川勝知事 8月8日に田代ダム視察へ リニア大井川水問題
川勝知事はリニア中央新幹線トンネル工事に関連し、大井川上流部にある東京電力田代ダムや燕(つばくろ)沢を8月8日に視察すると発表した。当初6月に予定していたが、悪天候のため延期していた。 JR東海がトンネル湧水の県外流出対策として田代ダムの取水抑制案を提示したことを受け、ダムの概要を確認する。約360万立方メートルのトンネル残土を燕沢に置く計画や、工事拠点となるヤード(作業基地)に行く際に使われる林道東俣線改良工事の進ちょくについて、同社の宇野護副社長から説明を受ける。 川勝知事は田代ダム案について「本当に実現できるのか注目している。現場をしっかりと確認してきたい」と話した。
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統一地方選へ結束 立民、維新の基盤拡大警戒 国民、対自民へ候補者発掘
立憲民主、国民民主の両党県連は25日、それぞれ静岡市内で幹事会を開き、10日投開票の参院選を総括するとともに、来年春の統一地方選への対応を協議した。国民が推薦、立民県連が「自主支援」とした無所属山崎真之輔氏(40)が静岡選挙区(改選数2)で落選した結果を受け、国民県連は「野党が結束しなければ(当選は)難しい」(岡本護幹事長)との認識を確認。立民県連は来春の県議選に向けて、国民との間で候補者の選挙区調整を進める考えを幹部が明らかにした。 立民県連の渡辺周代表は参院選の比例票で野党トップの座を日本維新の会に明け渡したことについて「政策への期待がわれわれ以上に(維新に)あった」と反省した。維新が
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田代ダム案「東電と相談する」 JR東海社長、批判続出で見解
JR東海の金子慎社長は21日に名古屋市で開いた定例記者会見で、リニア中央新幹線工事に伴うトンネル湧水県外流出対策として提示した東京電力田代ダム取水抑制案を巡り、県有識者会議の委員から検討が不十分だと批判が相次いだことについて「(委員の)リクエストに応えられるよう東電と相談したい」と述べ、東電から資料の提供を受けた上で、案の有効性を再検討する考えを示した。 県庁で20日に開かれた県有識者会議の地質構造・水資源専門部会でJR東海は、東電が冬場に必要とする発電施設維持流量を考慮せずに渇水時にも対応可能だとする試算を提示。委員から「本当に対応可能か判断できない」などと指摘されていた。 金子社長は
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田代ダム案、批判続出「再検討を」 JR東海、冬の施設維持取水量考慮せず試算
静岡県庁で20日に開かれたリニア中央新幹線工事に伴う大井川水問題対策を議論する県有識者会議の地質構造・水資源専門部会で、JR東海がトンネル湧水の県外流出対策として示した東京電力田代ダムの取水抑制案に対して、委員から批判が相次いだ。東電が発電施設維持のために必要とする取水量を考慮せずに渇水時にも対応可能だとする試算結果を提示したことについて「これでは(本当に対応可能なのか)検討できない」と再検討を求める声が上がった。 JR東海は、田代ダム上流地点で月1回計測している河川流量を基に、河川流量が最も少ない計測日でも県外流出量と同じ還元量を確保できると説明した。 ただ、東電は県、流域自治体との取
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田代ダム取水案、JR「渇水時も対応」 県有識者会議の専門部会
リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水問題の対策を議論する県有識者会議の地質構造・水資源専門部会が20日、県庁で開かれ、JR東海は4月の同部会でトンネル湧水の県外流出対策として示した東京電力田代ダムの取水抑制案の詳細を説明した。渇水時でも、県外流出したのと同じ水量を大井川に還元できるとする試算を公表した一方、県外流出量などが想定を上回り、必要な水量を確保できなくなる可能性にも言及した。 ただ、試算では東電がダムの配管の凍結を防ぐために冬場に最低限必要とする取水量を考慮していない。森下祐一部会長(静岡大客員教授)は「東電と協議し、より精度の高いデータを示すべきだ」と指摘し、試算のやり直しを求め
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水源保全地域、年度内指定へ 静岡県「水循環」本部、初会合で承認
静岡県は19日、水源に当たる森林地域の開発行為や土地取引に関する情報を一元的に管理する庁内組織「水循環保全本部」(本部長・川勝平太知事)の初会合を県庁で開いた。熱海市の大規模土石流災害を契機に浮上した縦割り行政の弊害を改善し、土地利用の適正化に向けて開発前の段階から対応する。 6月に発足させた盛土等対策会議(座長・出野勉副知事)と連携し、県内の開発行為や開発行為につながる土地取引を漏れなくチェックする体制を整える。川勝知事は「全庁横断的な対応を早期に図ってほしい」と訓示した。不適切な開発が懸念される情報は、両会議や関係行政機関で共有し、既存法令を活用した規制を検討する。 水循環保全本部は
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静岡県、リニア期成同盟会に加盟 川勝知事「誤解解消したい」
リニア中央新幹線建設促進期成同盟会の会長を務める大村秀章愛知県知事は14日の記者会見で、静岡県が正式に同盟会構成員になったと発表した。同日付で、規約改正などの手続きが全会一致で承認された。 本県の川勝平太知事はコメントを発表するとともに静岡市内で取材に応じ、「水資源・自然環境への影響の回避・低減とリニアの早期実現を両立する観点からJR東海との対話を進めている」と本県の現状を説明した上で、「何となく静岡県が足を引っ張るかのごとく誤解されているところを早く解消していきたい。沿線都府県が苦労していることについても情報を共有したい」と述べた。 同盟会に加盟する自治体は1990年の神奈川県以来、1
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「野党の発展必要」 連合・芳野会長訴え 静岡で応援演説
連合の芳野友子会長は5日、参院選静岡選挙区に出馬した推薦候補の応援のため、静岡市清水区と葵区の計2カ所で街頭演説した。「健全な民主主義のもと、野党がしっかりと発展していくことで国の平和が保たれる」と訴えた。 ロシアのウクライナ侵攻などに伴う物価高の影響で労働者の生活は日に日に苦しくなっているとし、「労働組合(の活動)では限界がある。国が国民の生活、命を守っていかないといけない」と強調した。その上で、「国会で女性や若い人などさまざまな立場の人が多様性を持って議論することが求められている」と述べ、推薦候補の支持を呼び掛けた。
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川勝知事「ルート変更、今後は主張せず」表明【大井川とリニア】
川勝平太知事は29日の定例記者会見で、リニア中央新幹線建設促進期成同盟会に「現行ルートでの整備を前提に取り組みを進める」と県の姿勢を示したことを踏まえ、自身がたびたび言及してきたルート変更の可能性について今後は主張しない考えを明らかにした。 川勝知事はこれまで「大井川流域住民の理解が得られない」として南アルプストンネル工事の中止とルート変更の可能性にたびたび言及してきたが、今後は「(ルート変更議論を)先導することはない」と述べた。 同盟会は3日に都内で開催した総会で、静岡工区での工事について「水資源、自然環境への回避・軽減とリニアの早期実現を両立」「地元自治体の理解を得ながら早期着工を図
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8カ所で新たに水質調査 静岡県などにJR送付【大井川とリニア】
JR東海は27日、リニア中央新幹線建設に関する環境影響評価書に基づき、2021年度に実施した環境調査の結果をまとめ、静岡県と静岡市に送付した。国土交通省専門家会議での議論を踏まえ、トンネル工事によって出る水の放流箇所3カ所と発生土置き場からの排水放流箇所5カ所の計8カ所の水質について新たに調査を開始した。 工事前の水質の把握が狙い。トンネル工事に伴う水の放流に関し調査する箇所は、西俣、千石、椹島(さわらじま)の各ヤード下流地点。西俣、千石の両ヤードは非常用トンネル(斜坑)出入り口付近、椹島ヤードは導水路トンネル出口付近に位置し、いずれもトンネル湧水を西俣川、大井川に戻す場所。 この3カ所
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地域公共交通計画策定へ 7月、協議会立ち上げ【静岡県議会】
静岡県議会6月定例会は21日、自民改革会議の相坂摂治氏(静岡市駿河区)と中谷多加二氏(浜松市天竜区)、ふじのくに県民クラブの阿部卓也氏(浜松市浜北区)が一般質問を行った。太田博文交通基盤部長は持続可能な旅客運送サービスの在り方を定める「地域公共交通計画」の策定に向け、7月中に学識経験者や交通事業者による協議会を発足させると明らかにした。阿部氏への答弁。 同計画は、2020年11月に改正された地域公共交通活性化再生法で、自治体に23年度末までに策定する努力義務が課せられた。 太田部長は協議会で従来の運行サービスの維持や利便性向上に関する議論に加え、複数の交通機関の予約や料金支払いをスマート
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川勝知事、国交省の運営批判 生態系会議、論点整理で【大井川とリニア】
川勝平太知事は15日の定例記者会見で、リニア中央新幹線工事に伴う南アルプスの生態系への影響を議論するために8日に初会合が開かれた国土交通省専門家会議を巡り、事務局を務める同省が論点整理を委員に委ねたことについて「リーダーシップが欠如している」と批判した。=関連記事29面へ 川勝知事は、国交省が「自然環境がダメージを受けないためにはどうするべきか」という議論の前提を最初に提示すべきとの認識を示した。その上で「(各委員は)専門性がだいぶ違う。(国交省に)会議の目的を決めてくださいと言われ、あぜんとしたと思う」と述べた。 国交省は県推薦の委員を選定し、議事内容をウェブ上で全面公開するなど県の
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コロナ病床400台に削減 川勝知事が表明 静岡県議会6月定例会
川勝平太知事は14日に開会した県議会6月定例会の所信表明で、県内の新型コロナウイルス新規感染者数が減少している状況を踏まえ、コロナ用確保病床数を現在の600床台から400床台に減らす方針を示した。一方で、基礎疾患のある高齢患者に向けては、受け入れる医療機関のさらなる確保に取り組むとした。 病床縮減の方針は、5月24日に開かれた県新型コロナウイルス対策専門家会議で考えが示されていた。感染者に経口治療薬を投与できる入所施設について川勝知事は「全体計画の約7割まで体制が整った」と報告した。 熱海市伊豆山の大規模土石流への対応は、技術面から発生原因を調べる検証委員会の最終報告書を29日に公表する
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盛り土情報 静岡県、一元管理へシステム構築
静岡県は熱海市伊豆山の大規模土石流災害で崩落した盛り土の造成を巡り、関係部局の情報共有が不十分だった問題を改善するため、部局横断で情報をオンラインで共有する「盛り土管理システム」を新たに構築する。7日に発表した県の2022年度一般会計6月補正予算案に事業費450万円を計上した。22年度中の運用開始を目指す。 システムには、県民から通報を受けた不審な盛り土に関する情報を入力する。情報を基に、県盛土対策課のパトロール班「盛土監視機動班」が現地確認し、ドローンなどで撮影した写真や動画を登録する。盛り土の違法性の有無などを関係部局間で確認するとともに、その後の定期的な監視情報もシステム上で一元的に
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田代ダムに「戻す水」あるか JR案課題多く【大井川とリニア】
リニア中央新幹線工事期間中にトンネル湧水が静岡県外に流出する問題で、JR東海は東京電力田代ダムの大井川からの取水を抑制することで流出量と「相殺」させる対策案を県有識者会議に提示した。ただ、トンネル工事の影響で大井川の流量減少が見込まれる中、渇水時に戻すだけの水量がそもそもあるのか関係者は懐疑的だ。田代ダムの取水量を巡っては、流域自治体の粘り強い交渉の末、一部を取り戻した経緯があり、関係者とどう合意形成を図るのかなど、クリアすべき課題は多い。 東電は田代ダム地点での大井川河川流量を公表していないが、水利権更新時に協議する「大井川水利流量調整協議会」で東電が関係者に提示した資料によると、199
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「会議の中立性確保を」 静岡県、国交省に要望【大井川とリニア】
静岡県は31日、リニア中央新幹線工事に伴う南アルプスの生態系への影響と環境保全対策を協議する国土交通省の専門家会議について、会議の中立性や透明性を確保するよう同省に文書で申し入れた。6月上旬に初会合を予定していて、県は提案が受け入れられれば開催を容認するとした。 県が求めた条件は主に4点。大井川の水資源への影響を議論した同省専門家会議(2020年4月~21年12月)の開催時に求めた内容と同じ5事項(会議の透明性の確保、議題は県が整理した47項目すべてなど)に加えて「会議の長は中立で生態系全般に知見を有する識者を選定すること」や「自然環境に及ぼす影響を明確にし、回避策をJR東海に指導すること
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静岡人インタビュー「この人」 関根仁さん(藤枝市)焼津でツナのおいしさを追求する
焼津市に2020年4月、ツナ製造兼販売所「TUNALABO(ツナラボ)」をオープンした。素材を厳選し、高価格帯にブランディングした商品「おつな」が贈答用などで人気を集める。都内の小料理屋元店主。かつお節を使っただし専門店の構想など、漁業のまちの特色を生かした地域振興策を思い描く。福島県玉川村出身。45歳。 ―「おつな」の特徴は。 「県内で水揚げされたビンチョウマグロのうち身質が良いものを使用している。駿河湾の海洋深層水のスープで煮ることで全体的に優しい味付けにしている。味の種類は『ポルチーニ』『えごまみそ』『島とうがらし』など13種。香料や化学調味料を使わず、素材の味を引き出すことを心掛
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田代ダム案 川勝知事「JRの地域貢献」【大井川とリニア】
川勝平太知事は25日の定例記者会見で、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川水問題を巡り、JR東海が県外に流出するトンネル湧水対策として県有識者会議で提示した東京電力田代ダム取水抑制案は「JRの地域貢献の一環」との認識を示した。その上で、県が求める「湧水の全量戻し」の代替案にはならないと従来の主張を繰り返した。 川勝知事は全国新幹線鉄道整備法に、新幹線整備の目的は「地域の振興に資すること」との条文があることを引き合いに出し、「(同案の)中身は明らかに地域貢献。実現すれば、県に対する贈り物。大変ありがたい」と持論を述べた。 田代ダムの取水量や河川維持流量を巡っては、県や流域市町
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JR社長 田代ダム案「理解いただきたい」【大井川とリニア】
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川水問題を巡り、JR東海の金子慎社長は16日、名古屋市内で開いた定例記者会見で、同社がトンネル湧水の県外流出対策として示した東京電力田代ダム取水抑制案について「(県側が)議論は否定していないようなので、具体的に答える中で理解をいただきたい」と述べ、県有識者会議で引き続き説明する考えを示した。 同社の案について、川勝平太知事は「湧水全量戻しの方策として破綻している」との考えを示している。 金子社長は同案公表後、「(水問題)解決に期待する声が各方面から届いている」と述べた。具体的な内容についての意見や質問が流域の関係者から寄せられているとし、県
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ルート選定経緯に静岡県苦言 JR「高圧湧水は避けられず」【大井川とリニア】
リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の水問題は、JR東海がルートを選定した際に水資源への影響をどの程度考慮したのかが焦点の一つになっている。JRは「(南アルプスの)どこを通ろうとも高圧湧水は避けられない」としてルート選択の余地がなかったとするが、山梨県内でルートを迂回(うかい)させる理由にもなった高圧湧水は短期間で止めるのが難しい。静岡県側は「ルートの検討が不十分だった」と懸念を強めている。 「今になってつけが回ってきている」。難波喬司副知事は1年2カ月ぶりに開かれた4月26日の県有識者会議の地質構造・水資源専門部会で、ルート選定の経緯を説明したJRに苦言を呈した。「いまさら
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川勝知事 田代ダム案「検討に値する」【大井川とリニア】
リニア中央新幹線工事に伴う大井川水問題を巡り、JR東海がトンネル湧水の県外流出量を大井川に戻す方策として県有識者会議で示した東京電力田代ダムの取水抑制案について、川勝平太知事は12日の定例記者会見で、県が求める「湧水の全量戻し」の方策として「破綻している」とこれまでの主張を繰り返す一方、「非常に強い関心があり、検討に値する」とも述べ、現実性などを有識者会議で引き続き議論すべきだとの認識を示した。 田代ダムの取水量を巡っては県や流域市町、東電などが2005年、「大井川水利流量調整協議会」での議論を通じて合意した経緯がある。川勝知事は「東電は『一滴も譲れない』と言っていたが、戻すことができる流
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県外流出戻し案、JR社長会見「地元不安解消できる」【大井川とリニア】
リニア中央新幹線工事に伴う大井川水問題を巡り、JR東海の金子慎社長は26日、名古屋市内で開いた定例記者会見で、トンネル工事により県外流出する湧水を大井川に戻す方策案を県有識者会議に示したことについて「県外流出の影響に対する地元の不安や心配を解消できるのでは」との認識を示した。 山梨県側と静岡県側のトンネル先進坑貫通後に県外流出量と同量をポンプアップして戻す方法と、東京電力田代ダムの取水を抑制する方法の2案を示した意図について「(先進坑貫通後のポンプアップは)時期を調整して戻せる。地元では『戻すなら渇水期に』との意見もあると聞く。一方で田代ダムの取水抑制は、工事と同時期に解消する案。どの方法
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静岡県専門部会、一定の評価 JRの「湧水全量戻し」2案【大井川とリニア】
静岡県庁で26日に開かれたリニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川水問題を議論する県有識者会議の地質構造・水資源専門部会で、JR東海は、県や利水者が求める「トンネル湧水の全量戻し」に対応する二つの方策案を示した。委員と県は、具体案が出てきたことに一定の評価をしつつ、JRの想定には不確実性を伴うとして引き続き検討することになった。 トンネル県内区間は県境付近を山梨と長野側からそれぞれ掘削する計画。山梨側の県境は静岡側から掘り進めるトンネル工事と貫通するまでの期間、トンネル湧水が県外流出する。 JRが示したのは東京電力田代ダムを取水抑制する案と、山梨側と静岡側の先進坑がつながった後
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盛り土規制で各地に部会 県、市町、警察の連携組織設置 現場情報を共有
熱海市伊豆山の大規模土石流を受け、静岡県は12日までに、市町や警察との連携を強化するために部局横断的な「土地利用対策会議」を設置するとともに、下部組織として同会議の地域部会を県内各地に配置すると発表した。熱海市の土石流を巡る県の行政対応検証委員会の中間報告では、県市連携の不足を指摘されていて、地域部会を通じて現場レベルの情報共有を図る。 地域部会は、県内に8カ所ある土木事務所単位の設置を想定している。違法性が疑われる盛り土事案をケースごとに管理し、初期段階から関係機関で情報共有することで迅速、的確な対応につなげる。 中間報告で指摘された職員の意識改革についても、地域部会を通じて職員の法令
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盛土対策課が始動 静岡県、規制・監視体制強化
静岡県は1日、熱海市伊豆山で昨年発生した大規模土石流を受け、盛り土造成の規制・監視体制を強化するために、くらし・環境部に「盛土対策課」を新設した。13人体制で、これまで他部署に分散したり、市町が担っていたりした業務を一元的に担う。 県庁で発足式を行い、望月満課長は「不適切な盛り土にはちゅうちょなく指導、行政処分を行う。熱海のような災害を二度と起こさせない」と決意を述べた。 盛り土規制に関する県の新条例が3月に成立し、7月1日に施行される。一定規模以上で盛り土造成を行う場合、許可制とし、違反者には最長2年の懲役刑を科す。同条例の運用を所管する同課では、既存の盛り土と許可を受けた盛り土を定期
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趣向凝らした手持ち花火 コロナ禍で人気に 井上玩具煙火(島田市)【記者さんぽ|個店めぐり】
夏の風物詩として親しまれ、コロナ禍でも家族で楽しめると人気の手持ち花火。国内の主な生産地としては、江戸時代に徳川幕府の火薬製造所があったことをルーツに持つ愛知県岡崎市などが有名ですが、国内トップシェアを持つ企業は、実は静岡県島田市にあることをご存じですか? 「井上玩具煙火」はコロナ禍の2020年と21年、ブランド花火シリーズ「義助(よしすけ)」と「結華(ゆっか)」を相次いで販売し、その高い趣向性が注目を集めています。優雅な時間と空間を演出する高級手持ち花火の魅力について、開発した同社企画開発室長の井上慶彦さん(30)に話を聞きました。 (※文末と関連リンクで動画をご覧になれます) コンセプ
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学生の胃袋満たした定食店「曙」おしゃれなフレンチに 親から子へ 受け継がれる地域との絆【記者さんぽ|個店めぐり】
静岡市清水区の住宅街の一角。この地で長く営業し、平成の終わりとともにのれんを下ろした人気定食店「曙」の跡地がいま、おしゃれで清潔感の漂うカジュアルフレンチレストランに様変わりし、注目を集めています。お店の名前は「AKEBONO.La Table(アケボノ・ラ・ターブル)」。定食店を営んでいた夫婦の長男で、フランス料理シェフの海野宏幸さん(49)が「あけぼの」の名前を継ぎました。首都圏の店で料理長として勤めていましたが、両親と同じ場所で、両親と同じように地域に溶け込みながら料理をふるまう道を選択しました。 地産地消にこだわり 静岡鉄道御門台駅から徒歩約10分。白色を基調にした外観が目を引き
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特捜隊ノート 長寿のポニー天国に【NEXT特捜隊】
「異例の長寿馬」として昨年、NEXT特捜隊で取り上げた御前崎市の乗馬クラブ「パロミノ・ポニークラブ」のポニー「ダブルトラブル(通称・トラさん)」が1月、天国に旅立ちました。41歳の大往生でした。 33年間トラさんを世話し、最期をみとった飼育員佐藤久美さんに「佐藤さんにとって、トラさんはどんな存在でしたか」と伺いました。「家族でも相棒でも自分の分身でもないが…」と言葉を選ぶ佐藤さん。裏を返せば、そのどれにも近い存在だったのかもしれません。 「共に仕事した仲間であり、先生。ありがとうという思いしかない」。紙面ではこの言葉を紹介しました。 人に愛され、天寿を全うしたトラさん。同
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オタク文化と地酒の融合 情熱店主「萌酒」で発信 鈴木酒店(静岡市駿河区)【記者さんぽ|個店めぐり】
美少女キャラクターが描かれた日本酒に、店内に所狭しと並ぶフィギュアやアニメ画。静岡市駿河区の鈴木酒店は、全国的にも珍しいオタク文化と地酒の融合を目指した酒屋です。アニメやゲームのオタク歴40年以上という店主の鈴木誠さん(47)が取り組みに込めた熱い思いを語ってくれました。 ■ラベルに美少女キャラ描いた「萌酒」 JR静岡駅から東へ約1・5キロの閑静な住宅街の中にある鈴木酒店。店に入り、まず目に入るのが、「萌酒(もえしゅ)」と呼ばれている店オリジナルラベルの地酒です。鈴木酒店が創業した昭和元年(1926年)当時に建てられたという古風な建物と2次元キャラたちのコントラストが際立ちます。
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動画でおでかけ気分〈静岡・日本平ロープウェイ〉SNS人気「蛇口みかん」
ミカンがぎっしりと敷き詰められたデザインが目を引く「蛇口みかんジュース」。SNS映えするとして若者らの人気を集める。 昨年3月にリニューアルした静岡市清水区の日本平ロープウェイ日本平駅は、多世代が楽しめる観光施設に生まれ変わった。蛇口みかんジュースは1回200円で蛇口をひねると、県内産ミカンを搾ったフレッシュジュースが味わえる。 ロープウエーは日本平と、同市駿河区の久能山東照宮をつなぐ。運営する静岡鉄道が、開業当初から半世紀運営した日本平パークセンターを建て替えた。 新施設は木目調のモダンなデザイン。久能山東照宮や徳川家康にちなんだ土産物が充実し、フードコートも近く開設する予定。駿河湾
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盗撮の実態、知っていますか? 10年で倍増/常習化しやすく 被害に遭わないためには…【NEXT特捜隊】
「ショッピングセンターで盗撮を目撃しました。女性が被害に遭わないためにどんなことを心掛けたらいいですか」 静岡新聞社NEXT特捜隊(N特)にこんな疑問が届いた。警察庁の統計によると、盗撮による摘発件数は3953件(2019年)で10年前に比べ倍増している。盗撮と並んで「二大性犯罪」とされる痴漢が減少傾向にあるのと対照的だ。そもそも、どんな人がどのように盗撮をしているのだろうか。盗撮を巡っては常習者が多いとされている。なぜ、性犯罪に手を染め、抜け出せなくなるのか。近年の倍増の要因は。気になる背景をじっくりと掘り下げた。 カメラがついた傘がスカートの中に... N特に連絡をくれたの
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1歳、2歳の子どもが魚をさばく? 藤枝「食農体験型保育」の現場に潜入【NEXT特捜隊】
1歳や2歳の子どもが包丁で魚をさばいたり、鶏を絞めたりする保育園が藤枝市にあるとの情報が、静岡新聞社の「NEXT特捜隊」に寄せられた。園のブログをのぞくと、掲げているのは「食農体験型保育」の実践。5月に子どもが生まれたばかりの記者が園を訪ねた。 子ども用に低くつくられた調理台で、引地寛大郎君(2)が包丁を構えた。まな板の上にあるのは、引地君の身長ぐらいの大きさのタチウオ。保育士に手伝ってもらいながら身を切り分け、はらわたを取り出す。2歳児らしいあどけない顔立ちだが、魚に向き合うまなざしには真剣さがみなぎった。 引地君ら園児が手分けしてさばいたタチウオは、保育士が調理し、この日の昼食に。小
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御前崎の長生きポニー「トラさん」 馬の40歳、どのくらい「長寿」と言えるの?【NEXT特捜隊】
「ことしで40歳になる長生きのポニーがいます。どれくらい『長寿』と言えるのか、調べてもらうことはできますか?」 御前崎市の乗馬クラブ「パロミノ・ポニークラブ(パロミノ)」の飼育員佐藤久美さん(51)から、静岡新聞社「NEXT特捜隊」に依頼が寄せられた。早速、調査を開始した。 そもそも馬はどれくらい生きるのか。馬種にもよるが、馬の寿命は通常25~30年。諸説あるが、人間の年齢に置き換えるには3~4を掛けるという。40歳のポニーは、少なくとも120歳になる。 6月、その馬「ダブルトラブル(通称トラさん)」に会った。黒鹿毛(くろかげ)の馬体に白髪が目立つものの、しっかりとした歩調。食欲旺盛で
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特捜隊ノート「N特通信員の多彩な質問に驚き」【NEXT特捜隊】
現職が強さを見せつけた20日投開票の静岡県知事選。NEXT特捜隊(N特)では告示前、LINEでつながるN特通信員に、候補者にぶつけたい質問を募集しました。短い募集期間にも関わらず、約30問が寄せられました。 県民の生活に根ざした質問には迫力がありました。浜松市の女性(29)は、毎月のことになる生理用品の費用負担は切実だとし、男性である候補者2人に考えをただしました。 清水町の学生(24)から選択的夫婦別姓に関する質問も届きました。法改正に絡む話は国政に問うという固定観念があったため、記者には質問する発想もありませんでしたが、両候補者の回答は明確に異なり、人物の思想、考えを浮き彫りにする点
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立候補者に聞きたい! LINEで募集した質問を川勝氏、岩井氏にぶつけました【NEXT特捜隊×知事選】
読者の疑問に応える静岡新聞社「NEXT特捜隊(N特)」は、静岡県知事選(20日投開票)を前に、立候補者に聞きたい質問を、LINEでつながるN特通信員から募集した。生活に根ざした切実な訴えや当事者ならではの問題意識を反映した質問が集まり、「夫婦別姓」や「静岡市清水区のサッカースタジアム構想」など6問を候補者にぶつけた。2候補からは11日までに回答が寄せられ、それぞれの考えや信条を知ることができた。 子どもの学力向上にどう取り組むのかを尋ねたのは、元小学校教員の女性(61)=沼津市=。2013年度、全国学力テストで静岡県の小学国語Aの成績が全国最下位だったことを受け、当時の知事で現職の川勝平太