リニア完工、静岡工区以外も2027年以降 JR東海初めて認める 山梨県駅完成は31年

 JR東海は4日、静岡市葵区の静岡支社で開いた記者会見で、リニア中央新幹線品川ー名古屋間の建設工事について、山梨県駅(仮称、甲府市)など2カ所の工事で2031年の完了を見込み、当初開業を予定していた27年を超える工期を初めて設定したと明らかにした。同社は3月、静岡工区のトンネル工事で着手の見込みが立たないことを理由に27年の開業断念を表明したが、「開業の遅れに直結するのは静岡工区のみ」との考えについては維持した。リニア工事で静岡工区以外にも2027年以降に完了がずれ込む工事があると説明するJR東海の担当者=4日午後、静岡市葵区
 リニア工事の今後の主な発注見通し3件を公表し、このうち山梨県駅新設で約6年8カ月、長野県飯田市の座光寺高架橋新設で約5年10カ月の工期をそれぞれ設定した。24年度に工事契約を結び、25年中に着手する通常の工事計画で、完了はともに31年中を見込むとした。
 山梨県駅は軟弱地盤で基礎部分の設計に時間がかかった上、周辺道路整備の地元協議に時間を要したため、予定より着工時期が遅れ、工期も長くなったとした。
 JRは23年12月に静岡工区工事の遅れを理由にリニアの開業時期を27年から「27年以降」に変更した。今年3月29日の国モニタリング会議で、未着手の静岡工区の工期を約10年と見込んだ上で、27年の開業断念を表明していた。丹羽俊介社長は1月の定例記者会見で「静岡工区以外の一部の工区についても工程がタイトになってきている」と述べ、工事全体の進め方を再検討する考えを示していた。
 中央新幹線推進本部副本部長の沢田尚夫常務は4日の会見で「静岡工区の状況を踏まえると、工期短縮のために多くの資金と人手を投入できないと判断した」と、27年を超える工期を設定した理由を説明した。ほかにも27年に間に合わない工区があるものの、31年までには完了する見込みとし「いずれも静岡工区の影響の範囲で、開業時期に影響を与えるものではない」と強調した。
 (政治部・尾原崇也)

JR「静岡工区の知事発言は誤解」 「13年かかる」巡り指摘
 JR東海の沢田尚夫常務は4日、川勝平太知事が辞職理由を説明する中で、リニア静岡工区工事の期間を「13年かかる」と発言したことについて、「基本10年という話をしている。誤解している」と述べ、静岡県に指摘したと明らかにした。
 知事は3日の臨時記者会見で、JRが静岡工区の工期についてトンネル掘削やレール部分に当たるガイドウェイの設置で13年かかると正式に公表したとの認識を示した上で、「リニア問題は大きな区切りを迎え、辞表を出せる」などと話していた。沢田常務は「重複して行う工程があるので誤解している」とした。
 知事が任期途中の辞意を表明したことについては沢田常務は「非常に驚いた」としつつ、「(県などと)双方向のコミュニケーションを大事にする姿勢に変わりはない」と述べた。
 

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