湧水管理、事前合意を 静岡県境付近のボーリング 県がJRに申し入れ

 静岡県は31日、リニア中央新幹線トンネル工事でJR東海が山梨県から静岡県境に向けて実施する計画の高速長尺先進ボーリングについて、静岡県内の地下水が流出する可能性が低い区間を科学的根拠に基づき示した上で、そこから県境に向けての削孔(さっこう)は県と湧水の管理体制などについて合意するまで行わないよう文書で申し入れた。
 JRは1月25日に県庁で開かれた県有識者会議の専門部会で、静岡県側へ湧水を戻す方法が決まるまで県境を越えてボーリングを行わない方針を示した一方、山梨県内で2月上旬に削孔を始め、県境までは進めるとしていた。
 県は文書で、県境近くで確認されている破砕帯にボーリングが近接するか到達することで静岡県内の地下水が流出することにあらためて懸念を示した。その上で、地下水流出の懸念がある区間を掘削する際は、湧水の管理値を超えた場合の対応や山梨県側へ流出する湧水全量の静岡県側への戻し方などについて県と事前に協議し、合意するよう求めた。
 JRは専門部会で、県境手前100メートルを目安に慎重な削孔を行い、10メートルあたり毎秒50リットルの管理値を設けると説明したが、県は文書で「根拠が示されていない」と反論した。
 県は31日、国土交通省鉄道局に対しても、JRが申し入れ内容に対応するよう指導を要請する文書を送った。

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