川勝知事「車両基地 工事に遅れ」 2027年開業「幻想」 相模原のリニア工事現場視察

 川勝平太知事は7日、リニア中央新幹線沿線の相模原市内のリニア工事現場を視察した。同市役所で本村賢太郎市長と懇談した後、取材に応じ、同市に建設予定の関東車両基地(緑区)の整備が遅れているとして、事業者のJR東海と沿線自治体が目標とする2027年の品川-名古屋間のリニア開業は困難との見解を示した。

リニア中央新幹線神奈川県駅の工事現場を視察する川勝平太静岡県知事(右)=7日午後、相模原市緑区
リニア中央新幹線神奈川県駅の工事現場を視察する川勝平太静岡県知事(右)=7日午後、相模原市緑区
リニア中央新幹線の計画ルート(品川-名古屋間)と駅
リニア中央新幹線の計画ルート(品川-名古屋間)と駅
神奈川県のリニアルート(一部)
神奈川県のリニアルート(一部)
リニア中央新幹線神奈川県駅の工事現場を視察する川勝平太静岡県知事(右)=7日午後、相模原市緑区
リニア中央新幹線の計画ルート(品川-名古屋間)と駅
神奈川県のリニアルート(一部)

 静岡県は7月、リニア建設促進期成同盟会に加盟し、品川-名古屋間の27年リニア開業を目指す立場をほかの沿線自治体と共有した。川勝知事は「現場の状況を知らないまま(ほかの知事は)27年に開業できるという幻想を持っている」と持論を展開し、今後、こうした各地の工事状況について同盟会の中で情報共有する意向を示した。
 川勝知事は相模原市緑区に建設される神奈川県駅(仮称)の工事状況や同車両基地の建設予定地を視察した。同車両基地について「人家が残り、用地の取得が進んでいないことを確認した」と述べ、27年開業が困難とする根拠に車両基地の整備が現時点で未着工な点を上げた。神奈川県のリニアの環境影響評価書に同車両基地の土地の造成から整備完了まで11年かかるとの記載があるとし、JR東海の担当者が以前「車両基地が完成しないと開業できない」と話していたと指摘した。
 静岡県では南アルプストンネル工事に伴う大井川水問題を巡り、JR東海との協議が続いている。川勝知事は「静岡県だけが足を引っ張っていると言われてきたが、そうではない」と主張。視察の当初の目的は神奈川県駅―山梨県駅(仮称、甲府市)の先行開業の可能性を探るためだったとしたが、「車両基地ができない限り、部分開業もできない。残念だ」と述べた。

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