燕盛り土「危険度高めない」 静岡市長、大規模深層崩壊想定 リニア工事

 リニア中央新幹線トンネル工事に関する静岡市の事業影響評価協議会(会長・増沢武弘静岡大客員教授)は4日、第14回会合を市役所静岡庁舎で開き、前回に引き続き、JR東海が大井川上流部の燕(つばくろ)沢近くに計画する残土置き場の環境影響評価について協議した。難波喬司市長は、前回の想定の9倍となる土砂量9千万立方メートルの土砂災害を新たに想定した上で、「燕(沢の)盛り土が災害危険度を高めることになるとは言えない」との認識を改めて示した。

JR東海が大井川上流部の燕沢付近に計画するリニアトンネル残土置き場について議論した協議会=4日午後、市役所静岡庁舎
JR東海が大井川上流部の燕沢付近に計画するリニアトンネル残土置き場について議論した協議会=4日午後、市役所静岡庁舎

 市は前回、JRの災害想定を上回る1千万立方メートルの深層崩壊土砂量を独自に想定した上で、JRの環境保全措置に大きな問題はないとの認識を示していたが、委員から、周辺で最大9千万立方メートルの深層崩壊が起きる可能性があるとの指摘があったため、再検証した。
 新たな想定は、燕沢上流に位置する上千枚沢などで大規模な深層崩壊が発生し、高さ100~130メートルの巨大な土砂ダムが形成される状況を検討した。その場合、高さ約65メートル、残土量360万立方メートルの盛り土を飲み込む形で土砂ダムが形成され、盛り土の影響で災害危険度が高まるとは評価できないとした。
 また、燕盛り土とは関係なく、より高さが増し、危険性の高い土砂ダムが形成される可能性があるため、難波市長は「大規模な土砂ダムが発生した際の対策はJRに課させるものではなく、行政機関が主体となって対応すべき」と指摘した。
 一方で難波市長は、盛り土上流部で形成された土砂ダムが崩壊した際の盛り土対岸の浸食や、盛り土対岸の下千枚沢からの土砂流入で土砂ダムが形成された場合の影響については、さらなる検討が必要とした。
 (政治部・尾原崇也)

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