南アルプス公園線トンネル工事遅れ 川勝知事、静岡市を批判【大井川とリニア】

 川勝平太知事は9日の定例記者会見で、JR東海がリニア中央新幹線南アルプストンネル工事の車両を通すために静岡市葵区に新設する「県道南アルプス公園線トンネル」を巡り、静岡市がトンネル残土置き場の選定に手間取ったことで本体工事に遅れが生じたと持論を展開し、市の対応を「(JR東海との)約束を履行していない」と批判した。

南アルプス公園線トンネル(全長4.6キロ)
南アルプス公園線トンネル(全長4.6キロ)


 計画するトンネルは南アルプス公園線と県道三ツ峰落合線を結ぶ全長4・6キロ。2018年6月、市とJR東海が基本合意し、JRが建設費用約140億円を全額負担して整備する。
 川勝知事は「残土の用地交渉は市の役割」と指摘した上で、「(基本合意から)3年間くらい何の動きもなかった」と市を批判。「トンネルを掘る場合は通常、残土をどう処理するかあらかじめ決めておくもの。状況を大変心配している」と述べた。
 残土の一部を清水港の埋め立て工事現場に搬入する市の計画についても「大型トラックが何千回も井川の集落や町中を通って港まで運ぶ。無理筋の話だ」と疑問視した。
 川勝知事は8日、リニア工事に関連して大井川上流部を視察した際、同トンネルの工事現場も訪れ、「何も整備されていない。4年間何をしていたのか」と市を批判した。県として近く、地元住民対象の説明会を開く考えを示した。
 (政治部・尾原崇也)

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