記者コラム「清流」 収穫乏しかったトップ会談

 13日に急きょ行われたリニア中央新幹線工事を巡る川勝平太知事と金子慎JR東海社長の会談は収穫に乏しい内容だった。「知事のリニア山梨実験線試乗が決まったことが唯一の成果」。非公開だったが、県関係者の皮肉たっぷりの感想がそれを物語る。
 肝心の大井川水問題は県専門部会で議論の最中。委員がJRに回答を求めている「64の質問」を差し置いて「着工に理解を」と要請されても、知事が「分かりました」と言えるわけがない。会談自体がJRの「パフォーマンス」とみられても仕方ないだろう。
 対する知事はリニア関連の県外視察に熱心だが、一方的な発信は周囲との摩擦を生むだけだ。大井川流域からも戸惑いの声が聞こえる。両者とも足元の課題にひた向きに取り組む姿勢こそ求められている。
 (政治部・尾原崇也)

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