リニア・田代ダム案 静岡県「早急に協議会開催」 JRに説明要請

 静岡県は9日、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う湧水の県外流出対策を巡り、田代ダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)との協議開始の了解を県に求めたJR東海に対し、所見を示した文書を送付した。大井川流域の市町や利水団体に対してJRが個別に確認していく方針に反発し、市町などが一堂に会して同社の説明を聞く場を設けるとした。
 県は、県と流域10市町、利水11団体が2018年に設立した大井川利水関係協議会の規約に「JR東海との連絡、調整および交渉は県を通じて行う」との規定があることに触れ、個別の接触は控えるよう求めた。その上で、説明の場として早急に同協議会を開催すると説明した。
 川勝平太知事も9日、コメントを発表した。JRが東電RPとの協議開始の前提条件として「東電RPの水利権に影響を与えない」と求めたことについて、「水利権に関することは極めて慎重に関係者で協議すべきもの」と指摘し、安易に条件にしないようくぎを刺した。

 ■金子JR東海社長一問一答 県の懸念「心配ない」
 名古屋市で9日に行われた金子慎JR東海社長の定例記者会見でリニア工事に関する主なやりとりは次の通り。
 ―県と協議しているさなかに、なぜ山梨県内で静岡県境に向けた高速長尺先進ボーリングの削孔(さっこう)を始めたのか。
 「県境から約800メートル離れ、静岡県内の水資源には影響がないと考えられているところから始めた。静岡県にはボーリング調査の進捗(しんちょく)状況などを報告し、意見を聞きながら対応していく」
 ―静岡県はボーリングが県境近くまで進んだら、県内の地下水が流出する恐れがあると指摘しているが、見解は。
 「懸念は心配ないのではないかと(県に)返事をしている。それでも大事をとって(慎重な削孔を始める区間を県境から約)100メートルということにして、何かあれば話をしながら進めましょうというのが私たちのスタンス」
 ―山梨県内の削孔によって静岡県内の地下水が流出する恐れはないと考えているのか。
 「そうだ。100メートル近くまでいったときに静岡県内の水資源に影響を与えることはないと私たちは思っている。私たちなりに余裕をもった区間と認識している」
 ―東京電力は田代ダム取水抑制案についてJR東海と協議するにあたり、大井川流域の関係者の了解を得るように求めている。どうやって得ていくのか。
 「流域に期待されている案。全部の自治体がそうなのか確認はしていないが、東電は確認を求めている。どういう形で協議を進めるかは(議論が)あるが、なんとか理解を円満に得て前に進めたい」

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