田代ダム案「法抵触しない」 JR東海、政府見解を説明【大井川とリニア】

 JR東海は31日、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題の対策を協議する静岡県有識者会議の地質構造・水資源専門部会で、トンネル湧水の県外流出対策として提案した田代ダム取水抑制案は、河川法に抵触しないとする政府見解を国土交通省から得たと明らかにした。
 同案は、トンネル掘削時に本県から山梨県に流出する湧出量と同じ水量だけ、東京電力田代ダムの取水を抑えて大井川の減水を防ぐ方策。
 JR東海の担当者は政府見解として、取水抑制した水量はそのまま大井川に流れ、東電が水利権として排他的、独占的に使用できる状況ではないため「(東電が)発電以外の目的で使用したことにはならない」と説明した。抑制した水量はJR東海にも使用の権利がなく、河川法上の水利権の譲渡(有償含む)にも当たらないとした。
 前回の専門部会で大石哲委員(神戸大教授)が「ダム案は河川法が認めていない水利権の譲渡に当たるのではないか」と指摘し、JR東海が国交省鉄道局に照会していた。
 同社は会議後の取材で、今後、東電側から冬場の発電施設維持流量に関するデータの提供を受け、案の実現性を検討するとした。
 (政治部・尾原崇也)

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