田代ダム 冬場の発電施設維持流量、今後は求めず 東京電力が検証結果報告 リニア大井川水問題

 東京電力グループ田代川第2発電所の田代ダム(静岡市葵区)の水利権や河川維持流量について、大井川流域の市町や電力事業者が協議する大井川水利流量調整協議会の会合が30日、島田市で開かれた。前回の会合から焦点となっていた冬場の発電施設維持流量(毎秒1・62トン)について、東電側が今後は不要とする検証結果を報告し、12月6日から同流量を撤廃した取水の運用を行うことで合意した。

冬場の発電施設維持流量を求めないとする東電側の検証結果が報告された大井川水利流量調整協議会の会合=30日午後、島田市
冬場の発電施設維持流量を求めないとする東電側の検証結果が報告された大井川水利流量調整協議会の会合=30日午後、島田市

 田代ダムを巡っては、JR東海がリニア中央新幹線トンネル工事で県外に流出するトンネル湧水と同じ水量をダムの取水を抑制することで相殺する案を県有識者会議の専門部会で提案している。専門部会の委員からは冬場の発電施設維持流量との兼ね合いから、この案の実現に懐疑的な意見が出ていたが、東電側の今回の検証結果は案の実現性を高めることになりそうだ。
 東電側は、配管などの凍結を防ぐのに発電機2台を稼働させる必要があるとして河川流量が少ない冬場にも毎秒1・62トンの取水を主張していた。検証の結果、保温対策を講じれば凍結を免れ、1台の稼働でも支障がないことが分かったという。
 同協議会のこれまでの合意事項では、冬場(12月6日~3月19日)に毎秒0・43トンの河川維持流量を設定した上で、河川流量が毎秒2・05トン未満の場合には、発電施設維持流量を優先して取水する条件を付けていた。
 東電側は発電施設の大規模改修を行うため、工事期間中の2024年2月~25年11月、田代ダムで発電のための取水を行わないと報告した。

 田代ダムの河川維持流量 大井川水利流量調整協議会は2005年、河川流量の季節変動などに応じて毎秒0・43~1・49トンの範囲で河川維持流量を設けることで合意し、15年に更新した。田代ダムでは毎秒4・99トンの水利権(最大取水量)が許可されていて、25年末に許可期限を迎える。同協議会はそれまでの合意を目指し、新たな河川維持流量や許可期間について協議を進める。

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