静岡工区に指摘・要望 沿線知事から相次ぐ リニア期成同盟会総会

 リニア中央新幹線の沿線都府県でつくる建設促進期成同盟会総会と、自民党「超電導リニア鉄道特別委員会」の会合が31日、東京都内で開かれた。トンネル工事に伴う自然環境や水資源への影響についてJR東海との議論が続き、着手が遅れている静岡県内の工事に関し、沿線のほかの知事らから指摘や要望が相次いだ。山梨県の長崎幸太郎知事は、静岡県が抱える問題や懸念を沿線の自治体全体で共有することを提案。川勝平太知事は「多くの知恵が出され、問題の早期解決に資する」と歓迎する意向を示した。

期成同盟会に入会後初となる定期総会に出席し、あいさつする川勝平太知事=31日午後、都内
期成同盟会に入会後初となる定期総会に出席し、あいさつする川勝平太知事=31日午後、都内
リニア工事に関して静岡県が抱える問題を沿線自治体全体で共有するよう提案する長崎幸太郎山梨県知事(左)と説明に聞き入る川勝平太静岡県知事(中央)=31日午後、東京都内
リニア工事に関して静岡県が抱える問題を沿線自治体全体で共有するよう提案する長崎幸太郎山梨県知事(左)と説明に聞き入る川勝平太静岡県知事(中央)=31日午後、東京都内
期成同盟会に入会後初となる定期総会に出席し、あいさつする川勝平太知事=31日午後、都内
リニア工事に関して静岡県が抱える問題を沿線自治体全体で共有するよう提案する長崎幸太郎山梨県知事(左)と説明に聞き入る川勝平太静岡県知事(中央)=31日午後、東京都内


 期成同盟会の会長を務める大村秀章愛知県知事は静岡県内工区の早期着手に向けて「国土交通省がしっかりと調整してほしい」と要望した。阿部守一長野県知事は「(静岡工区は)最大の課題」と指摘し、国会議員も問題解決に協力するよう求めた。自民リニア特別委の古屋圭司委員長は「ここは建設反対期成同盟会ではない」と述べ、沿線自治体の結束を促した。
 同盟会総会では前年に続き、「静岡工区については国とJRが水資源・自然環境への影響の回避・軽減とリニアの早期実現を両立させる観点から有識者会議の議論を積極的に進める」との内容を含めた決議案を了承し、同様の内容の要望書を国交省に提出した。
 川勝知事は大井川の水資源保全に向けて工事中にトンネル湧水が県外流出する問題や、トンネル残土置き場の問題についてJRと協議を続けている最中とし、「合理的に解決すれば、県民を挙げて(リニア事業)推進の方向で動きたい」と述べた。
 JRが山梨県内で静岡県境に向かって実施している高速長尺先進ボーリングを巡り、静岡県が県内の地下水流出の懸念を示し、水の戻し方が決まるまで県境300メートル区間を削孔(さっこう)しないよう求めていることについて、長崎知事は「静岡県の水環境に深刻な影響を与えるかは現時点で抽象的な可能性にとどまり、ボーリングを進めてもらわなければ困る」との考えを改めて示した。その上で、「今後、静岡県が期成同盟会のメンバーに懸念事項を説明する中で対応を判断したい」と述べた。川勝知事は長崎知事の考えに賛同するとした。
 (政治部・尾原崇也)

 静岡県内選出議員も意見 川勝知事とJR双方に 自民特別委
 沿線都府県の知事や議員から静岡工区の早期着工を求める声が相次いだ31日のリニア中央新幹線に関する自民党の特別委員会では、県内選出議員も意見表明した。大井川流域の住民の思いを代弁したり、川勝平太知事、JR東海の双方へ注文を付けたりした。
 牧野京夫氏(参院静岡選挙区)は水資源に関する国交省専門家会議の中間報告を例に「100%と言わないまでも、流域の水は減らないだろうと(流域の)関係者にやっと理解していただいた。住民の意識は数年前と変わっている」と説明。「沿線の知事とうまく話をして、静岡にリニアが通ることでメリットがあるようJRにも指導を」と呼びかけた。井林辰憲氏(衆院静岡2区)は「JRが地元に寄り添っていればここまで政治的な問題にならなかった」と指摘し「県もJRも地域の発展を考えてもらいたい。他県の知事と非常に技術的なことでやり合うのは建設的でない」とした。宮沢博行氏(衆院比例東海)は「水不足に悩まされている地元は敏感。知事も課題が解決されれば県民を挙げて推進すると言っているので、関係者に尽力いただきたい」と話した。
 塩谷立氏(衆院比例東海)が「こういう話を知事と初めてする。単に静岡県の問題ではなく、沿線の各県と一緒に解決すべき」と話すなど、これまでの対話不足を感じさせる発言も。城内実氏(衆院静岡7区)は「(JRは)新社長を中心とした布陣でこれまでのボタンの掛け違いを戻し、丁寧に物事を前に進めてほしい」と要望した。
 (東京支社・中村綾子)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞