記者コラム「清流」 逆戻り?のリニア議論

 「時間が2年くらい戻った感じがする」。リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川減水問題を議論する県の専門部会で、JR東海の担当者が委員の質問を受けて発した一言。「同じ質問を繰り返し受けている」との意味を込めた皮肉だったと推察するが、最近の県とJRの議論は別の意味で「時間が戻った」と感じている。
 県が高速長尺先進ボーリングによる湧水の県外流出を懸念し対策を求めているのに対し、JRからは「大井川中下流域の水利用に影響はない」との意見表明が目立ち、認識の違いが鮮明になってきた。
 トンネル掘削時の湧水の県外流出を巡る議論が行き詰まり、国の判断を仰ぐ事態となった3年前と状況が似ている。関係者は同じことを繰り返さないように知恵を絞ってほしい。
(政治部・尾原崇也)

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