川勝知事「生態系保全措置が前提」 静岡県内ボーリングでJR社長にくぎ【大井川とリニア】

 川勝平太知事は28日の定例記者会見で、JR東海が示したリニア中央新幹線トンネル工事湧水の静岡県外流出対策「田代ダム取水抑制案」の実施案を県が認めた場合でも、南アルプスの生態系保全に関する協議がまとまらなければ、JRが山梨県から県境を越えて静岡県内で高速長尺先進ボーリングを実施することは認められないとの認識を示した。
 JRの丹羽俊介社長が16日の定例記者会見で、田代ダム案について東京電力リニューアブルパワー(東京)との協議が合意に至れば、静岡県内でボーリングを実施する状況が整うとの認識を示したのに反発した。
 知事は、JRが山梨県で掘り進めるリニアトンネル工事の先進坑先端から静岡県内に向かって実施する計画のボーリングについて「大井川中下流域の水資源への影響だけでなく、上流域の生態系への影響も懸念される」と従来の主張を述べた。その上で、「これらの影響を回避、低減するための具体的な保全措置が示された後でなければ、(県内でのボーリング実施は)認められない」と話した。
 JRは当初、田代ダム案を先進坑湧水の県外流出対策として提示したが、県側がボーリング湧水の県外流出にも懸念を示したことを受け、ボーリング湧水対策にも同案を運用する考えを示した。
 JRが10月に示した田代ダム案の実施案については知事は、「県の専門部会で実現性を技術面から確認する」と述べ、大井川流域市町などで構成する大井川利水関係協議会が了解した後も同部会でJRとの協議が必要との認識を強調した。
 (政治部・尾原崇也)

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