PFAS 国指針の26~7倍 静岡市清水区・地下水調査 市は飲用控えるよう呼びかけ

 発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFAS)が、静岡市清水区三保の化学工場で2007年に排出をほぼ終えた後も工場周辺の水路などから高濃度で検出された問題で、静岡市は8日、工場周辺の井戸5カ所で採取した地下水の調査結果を公表した。このうち4カ所で国の指針値を26倍~7倍上回るPFASが検出され、市は三保地区の井戸水を飲まないよう注意喚起した。

静岡市が発表した工場周辺の地下水のPFAS濃度調査結果
静岡市が発表した工場周辺の地下水のPFAS濃度調査結果
静岡市清水区三保地区の地下水のPFAS濃度調査結果を発表する難波喬司市長=8日午後、市役所静岡庁舎
静岡市清水区三保地区の地下水のPFAS濃度調査結果を発表する難波喬司市長=8日午後、市役所静岡庁舎
静岡市が発表した工場周辺の地下水のPFAS濃度調査結果
静岡市清水区三保地区の地下水のPFAS濃度調査結果を発表する難波喬司市長=8日午後、市役所静岡庁舎

 市は10月17~20日、工場敷地境界から約250メートル以内にある民間井戸の地下水を調べた。同工場から約50メートル東の井戸で1リットル当たり1300ナノグラム(速報値)を検出したほか、ほかの3カ所でも700~350ナノグラム(同)の値が出た。国の指針値は、PFASの一種のPFOAとPFOSの合計50ナノグラム。
 今回調査した井戸はいずれも散水用で、市役所静岡庁舎で記者会見した難波喬司市長は「ただちに健康被害は発生しないと推定される」と述べた。ただ、工場周辺には井戸水が飲用されている場合があり得るとして注意を呼びかけた。市によると、三保地区にある井戸の場所や数は把握していないという。
 市はPFASの影響範囲を確認するため、同区折戸・駒越地区まで調査区域を広げ、計23カ所の井戸を調べる。難波市長は折戸・駒越地区で指針値を上回る可能性は「極めて低い」と推測しつつ、調査結果が判明するまでは井戸水の多量飲用を控えるよう呼びかけた。
 加えて市は8日、同工場を運営する三井・ケマーズフロロプロダクツ社(東京)、三保地区連合自治会、市の3者で連絡会を設置したと発表した。近く地元自治会長対象の説明会を開くほか、同社と地下水濃度を指針値以下にするための抜本的な対策を検討する。工場敷地内にある複数の井戸から指標値を上回るPFASが9月時点で検出されたと、同社から報告があったことも併せて説明した。
 市は環境保全課内にPFAS相談窓口<電054(221)1359>を設置し、市民の調査希望などに応じるとしている。

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