静岡市 通学補助要綱改ざん 22年度報告書「重大な不備」 

 静岡市は2日の市議会総務委員会で、小中学生に対する遠距離通学補助金制度の要綱を担当職員が改ざんし、不適切な補助金交付が行われていたと明らかにした。「組織として重大な過失があったと言わざるを得ず、市政に対する信用失墜の程度は大きい」とし、市議会に提出した2022年度の「市内部統制評価報告書」で市政事務の「重大な不備」として評価し、記載した。佐藤成子氏(志政会)への答弁。

 同報告書によると、22年4月、足久保小が美和中の敷地内に移転したことに伴い、児童2人の通学費が年額3万8千円の補助上限を超えて自己負担が生じることになった。市児童生徒支援課の職員は事前の財政当局への予算要求で、要綱に従い全額補助はできないと理解していたにもかかわらず、全額補助できるとする内容に改ざんした要綱を添付した上で、交付決定起案文書を作成した。文書は起案通りに決裁され、補助金の一部が保護者に交付された。
 22年12月に庁内で23年度の予算要求手続きを行う中で、財政課職員が要綱の改ざんに気付いた。23年1月、保護者に謝罪した上で、要綱を22年4月にさかのぼって改正し、当初の決裁通りに通学費全額を交付した。
 伊藤崇文コンプライアンス推進課長は総務委員会で、「内部統制が有効に機能していない重大不備の事案」と説明した。今後、関係した職員の処分を検討する。事態をすぐに発表しなかった理由については伊藤課長は「原因の追究に時間を要した」と説明した。
 22年度の市政事務上の重大な不備はほかに、清水病院で筋弛緩(しかん)剤1本を紛失した事案と、同病院で期末・勤勉手当の源泉所得税納付が遅延し、税務署に追徴課税されたケースの計3件。清水病院での2件はすでに公表されている。
 (政治部・尾原崇也)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞