記者コラム「清流」 最初から出して

 最初から出せばいいのに…。会場にいた人の多くがそう思ったのではないか。リニア中央新幹線トンネル工事の大井川水資源への影響を協議する県側とJR東海の会議。JRはトンネル湧水の県外流出対策として田代ダム活用案を示したが、実現性を検証するための資料が乏しく、県側の専門家委員から酷評された。
 「まずは自分たちの持っているデータで示した」。JRの担当者は詳しい資料の提出はダムを管理する東京電力の許可が必要と弁明したが、協議にスピード感を求めるなら事前に許可を取っておくべきだった。
 水問題解決への光明になるか、ダム案への期待が大きいだけに「期待外れ」のときの幻滅もまた大きい。同社には誠実な姿勢を期待したい。
 (政治部・尾原崇也)

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