東静岡アリーナ事業化、年度内判断 難波市長が方針「高い経済効果必要」

 静岡市がJR東静岡駅北口市有地に整備を目指しているアリーナ構想について、難波喬司市長は28日までに、2023年度中に事業化を判断する方針を固めた。アリーナ構想は田辺信宏前市長在任時から施設規模や整備手法を巡って検討が続いていて、4月に就任した難波市長が事業化の期限に言及するのは初めて。難波市長は7~8月に県外のアリーナを相次いで視察し、事業手法や収益化が見込める設備について検討を重ねているとみられる。

静岡市アリーナ整備構想の事業化決定までの流れ(イメージ)
静岡市アリーナ整備構想の事業化決定までの流れ(イメージ)
アリーナ予定地
アリーナ予定地
静岡市アリーナ整備構想の事業化決定までの流れ(イメージ)
アリーナ予定地

 難波市長は取材に「アリーナは経済効果が高く、地域にあるべき施設」と整備の必要性を強調し、「年度内には市としての方針を決めないといけない」と答えた。23年度中に民間事業者への聞き取り調査などを行った上で市の事業化方針を決め、市議会への議案提出時期を判断するとした。事業化決定につながる予算案の市議会提出時期については「できたら年度内に(議案提出の)決断を出せるといい」と述べた。
 難波市長は今夏、佐賀、長崎、沖縄の各県にあるアリーナ(長崎は建設中)を視察した。沖縄では開催中のバスケットボール男子ワールドカップ日本会場なども訪れた。
 アリーナの事業化に向けては事業手法を定める必要がある。難波市長は「民主導や公設民営などいろいろある。最適手法を探っていきたい」と述べ、現時点では決まっていないとした。これまでの市場調査結果などを踏まえ、PFI方式(民間資金活用による社会資本整備)の公共事業として建設する手法が有力との認識を示しつつ、「(全国のアリーナと比較して)静岡の場合は集客力が高い」とし、民間資本を中心に建設し市が支援する手法も検討に値するとした。
 市は大型施設整備としてJR清水駅東口のエネオス遊休地にサッカースタジアムを整備する構想も検討している。難波市長は「スタジアムとアリーナはまったくの別物。(整備の)優先順位をつけるという問題ではない」と述べ、事業化の必要性は個別に判断していくとした。(政治部・尾原崇也)

 静岡市のJR東静岡駅アリーナ整備構想 1991年に整備計画が浮上し、2022年2月、東静岡駅北口市有地(敷地面積約2万4千平方メートル)を整備予定地と正式に決定した。検討委員会での議論を踏まえ、23年4月に事業構想に当たる「誘致方針」を策定した。同方針で、スポーツ興行5千席以上、音楽興行8千席以上などの施設規模や防災、多目的などの機能を決めた一方、事業手法については市主体の公共事業とするか民間主体の誘致案件とするかなどを今後検討するとしている。施設建設費は100億~200億円規模を想定している。

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