富士山入山料「義務化」賛成86% 「環境配慮型トイレに」最多 静岡新聞・山梨日日新聞合同調査

 静岡新聞社は富士山臨時支局の開設(1~3日)に合わせて、山梨日日新聞社と合同で登山者250人を対象にアンケートを行った。静岡、山梨両県が検討している入山料の義務化について86・0%が賛成し、反対意見は、現在実施している入山料(保全協力金)の任意徴収への反対を含めて9・6%にとどまった。

今回の登山で入山料を払ったか
今回の登山で入山料を払ったか
富士山保全協力金(入山料)義務化の賛否と適当だと思う料金
富士山保全協力金(入山料)義務化の賛否と適当だと思う料金
入山料の望ましい使い道は
入山料の望ましい使い道は
今回の登山で入山料を払ったか
富士山保全協力金(入山料)義務化の賛否と適当だと思う料金
入山料の望ましい使い道は

 アンケートは静岡県側の富士宮口と須走口、山梨県側の吉田口の各5合目で7月28、29日、8月1日の3日間に行い、両県で125人ずつ回答を得た。
 入山料義務化に賛成と答えた人のうち、徴収額はいくらが適切か尋ねたところ、千円が基本とされる現行と「同額」が最多の72・5%だった。「千円以上」が17・6%、「千円未満」が9・7%と続いた。義務化反対と答えた人のうち、8・3%は「現行の任意徴収自体に反対」とした。
 今回の富士登山での入山料協力状況は、「払った」と回答した人は67・2%で、「払わなかった」は18・8%だった。「分からない」と答えた人もいた。
 入山料の使い道を複数回答で聞くと、「環境配慮型トイレの整備」が最多の190人。「登山道の維持補修」が179人、「救護所の運営」が106人と続いた。
 両県は富士山世界遺産登録の翌年にあたる2014年度から、環境保全などの費用に充てるため、入山料の任意徴収を本格導入した。公平性確保の観点から、自治体が独自に課税する「法定外目的税」として徴収を義務化することを検討しているが、徴収体制の整備などが課題となっている。
 22年度の実績は両県4登山ルートで計10万6千人が協力し、約1億500万円。協力率は静岡県側3ルート(富士宮、須走、御殿場)が57・3%、山梨県の吉田ルートは72・8%だった。(政治部・尾原崇也)

弾丸登山15% 登山届未提出47%
 世界遺産登録10年の富士山は今夏、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年を上回るペースで登山客が増えていて、高山病発症などのリスクが高い「弾丸登山」の増加も懸念されている。アンケートで登山日程に関する回答をみると、「山小屋で宿泊し、御来光見物後、下山」が64・4%と最多で、計画的な富士登山を行っていた人が多かった一方で、弾丸登山に相当する「夜間に登山を始め、御来光見物後、下山」も15・2%いて、危険な登山を試みた人が一定数いる状況がみられた。
 弾丸登山相当の回答をした人に、行動予定や緊急連絡先を記入する「登山届」を提出したかを問うと、「提出していない」が47・3%、「分からない」は18・4%で合計6割を超え、「提出した」は34・2%だった。登山目的については「日本一の高さの踏破」28・9%、「御来光の見物」26・3%が多かった。
 登山日程の設問で、山小屋宿泊、弾丸登山以外の回答は、「朝(日中)からの日帰り登山」12・8%、「山頂に登らずに周辺を散策」5・6%だった。
 静岡、山梨両県は、休息せずに夜通し登り続ける弾丸登山を避けるよう注意喚起している。

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