リニア「破砕帯まで進めるべき」 難波静岡市長、先進ボーリングで見解 トンネル湧水をダイコンで解説

 静岡市の難波喬司市長は6日、市役所静岡庁舎で記者会見を開き、リニア中央新幹線トンネル工事でJR東海が山梨県側から静岡県境に向けて実施している高速長尺先進ボーリングについて、静岡県側の県境付近に確認されている大規模な断層破砕帯に到達するまでは進めるべきとの考えを示した。山梨県側の県境付近の削孔(さっこう)でも県内の水資源に影響を与える可能性があるとの県の主張については「正当性がない」と、改めて否定的な見解を示した。

大根を使い、リニア中央新幹線工事を巡るボーリングについて見解を説明する難波喬司市長=6日午後、市役所静岡庁舎
大根を使い、リニア中央新幹線工事を巡るボーリングについて見解を説明する難波喬司市長=6日午後、市役所静岡庁舎

 難波市長は、ボーリングが前方の地下水をどの程度引き込むかを検討するには、穴先端部の湧水量の評価が重要と指摘。JRの資料に基づき試算したところ、ボーリング先端部からの湧水量は先進坑の湧水量の0・18%に過ぎず、「限定的。県境を掘っても(静岡県の)水は出ない」と述べた。先進坑掘削時の約6割に相当するとしたボーリング湧水量に関する県の試算は穴の側壁からの湧水量を計算していて、「(静岡県の水資源への影響を)過大評価している」と指摘した。
 一方、県境付近の破砕帯に到達した場合はボーリングであっても大量湧水につながる可能性があるとし、JRが現在示している10メートル単位の平均湧水量で削孔の進捗(しんちょく)を管理するのではなく、先端部の湧水量をリアルタイムで計測し管理値を設定する必要があるとの認識を示した。
 難波市長によると、県理事時代にこの問題を提起した責任者として今月7日の県専門部会で説明しようとしたが、県側に断られたという。このため、県とJRに6日に資料を送った上で技術者の立場で記者会見を開いたとした。「一般の人が分かるように説明することが大切」と、トンネル湧水が出る仕組みをダイコンやペットボトルを用いて解説した。

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