静岡市訓練 風水害初動対応を確認 台風15号 反省踏まえ 自衛隊派遣を早期要請

 静岡市は1日、総合防災訓練を静岡市役所静岡庁舎などで実施した。多くの問題点が指摘された2022年9月の台風15号対応への反省を踏まえ、同様の規模の台風が襲来したことを想定し、風水害への初動対応を確認した。難波喬司市長は、被害の全体像が判明する前に自衛隊への派遣要請を指示するなど当時との対応の違いを印象づけた。

風水害対応訓練で幹部職員に矢継ぎ早に指示を出す静岡市の難波市長(右)=同市役所静岡庁舎
風水害対応訓練で幹部職員に矢継ぎ早に指示を出す静岡市の難波市長(右)=同市役所静岡庁舎


 「清水区の山間部で大規模な土砂災害が発生し、10人の安否が不明」「駿河区で大規模停電と竜巻が同時発生」などの想定で、情報収集の手法や対応の意思決定過程を確認した。
 幹部職員が参加した災害対策本部運営訓練では、難波市長が予定にない本部会を緊急開催する場面があった。土砂崩れの被害状況が判明する前だったが、SNSなどで断片的に確認した被害情報を参考に、「多くの行方不明者が出ている可能性が高い」として自衛隊派遣要請を職員に指示した。
 昨年の台風15号では、自衛隊の派遣要請が被害判明から2日後と遅れた。8月に市がまとめた行政対応の検証で、要請の判断について「市民の生命、財産を脅かす恐れがある場合など必要性を早期に見極める」と改めていた。訓練では、この改善点を演習する形となった。
 難波市長は「全体的には的確に対応できた」と講評した上で、「訓練はうまくいかないことを見つけることが成果。細かい対応は各自で改善してほしい」と求めた。訓練は被害想定を事前に明かさない「ブラインド型」で実施し、職員約2800人が参加した。
 (政治部・尾原崇也)

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