リニア開業目標「2037年だけ」 部分開業の正当性主張 川勝知事会見 【大井川とリニア】

 川勝平太知事は26日の定例記者会見で、JR東海がリニア中央新幹線の品川-名古屋間開業時期を「2027年以降」に変更すると国に申請したことは、同社が同区間の開業時期に関する目標を取り下げたのと同じとの見方を示した。開業時期に関する目標は「(37年の)全線開通しかない」とし、それまでに神奈川-甲府の連続する2駅間の部分開業を行うことができるとの自らの考えの正当性を主張した。
 川勝知事は、大阪府の吉村洋文知事や山梨県の長崎幸太郎知事もJRの申請をきっかけに「できるところからやればいい」と部分開業を主張しているとし、事業主体であるJRを差し置いて考えを示すことに関しても「国が認可した国家的事業。沿線都府県はみな関与している」と述べ、正当だと主張した。
 2駅間の部分開業の事業効率については、神奈川-甲府間をつなげば「甲府が大雪のときでもリニアで首都圏に出られる」と防災上の役割を強調し、「もうかる、もうからないの話だったら国家的事業にはなり得ない」とした。その上で、JRが以前の説明資料で「山梨実験線の延伸完成から間断なく(リニア工事に)着手」と記していることに触れ、実験線区間を含む神奈川-甲府間の開業が「実験線完成」を意味し、JRが最初に開業すべき区間だと主張した。
 ただ、JRの10年当時の資料に「山梨実験線の延伸完了(平成25年度中を予定)から間断なく着手」との記述があり、「実験線完成」の認識がJR側と知事で異なっている可能性がある。JRは静岡工区の着工見通しが立たないとして品川-名古屋間の工事完了予定時期を「27年」から「27年以降」に変更し、連続する2駅間の部分開業の可能性を否定している。
 (政治部・尾原崇也)

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