水源保全地域、年度内指定へ 静岡県「水循環」本部、初会合で承認

 静岡県は19日、水源に当たる森林地域の開発行為や土地取引に関する情報を一元的に管理する庁内組織「水循環保全本部」(本部長・川勝平太知事)の初会合を県庁で開いた。熱海市の大規模土石流災害を契機に浮上した縦割り行政の弊害を改善し、土地利用の適正化に向けて開発前の段階から対応する。

水源保全地域を本年度中に指定するスケジュール案などを承認した県水循環保全本部の初会合=19日午前、県庁
水源保全地域を本年度中に指定するスケジュール案などを承認した県水循環保全本部の初会合=19日午前、県庁

 6月に発足させた盛土等対策会議(座長・出野勉副知事)と連携し、県内の開発行為や開発行為につながる土地取引を漏れなくチェックする体制を整える。川勝知事は「全庁横断的な対応を早期に図ってほしい」と訓示した。不適切な開発が懸念される情報は、両会議や関係行政機関で共有し、既存法令を活用した規制を検討する。
 水循環保全本部は7月1日に施行された県水循環保全条例に基づき設置した。初会合では、新たに指定する「水源保全地域」を本年度末までに定めるスケジュール案などを承認した。
 水源保全地域は、地域内での土地取引と開発行為について事業者に事前の届け出を求める。事務局の県水資源課によると、水源保全地域の対象範囲は、地域ごとに定めた「地域森林計画」の対象森林を基本に検討する。県内の森林全体の約8割、40万ヘクタール余りを占めるという。水源保全地域の指定案は9月ごろ、県環境審議会に新設する水循環保全部会に諮問する。関係市町や河川管理者の意見も反映させる。
 保全地域指定後は、地域内での土地取引は契約締結予定日の2カ月前まで、開発行為は着手予定日の2カ月前までの届け出が必要になる。
 県は持続可能な水利用と環境保全の両立を図るため、流域単位で「流域水循環計画」も策定する。まずは指標となる水源林や河川流量などの情報を収集する。
 (政治部・尾原崇也)

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