川勝知事「ルート変更、今後は主張せず」表明【大井川とリニア】

 川勝平太知事は29日の定例記者会見で、リニア中央新幹線建設促進期成同盟会に「現行ルートでの整備を前提に取り組みを進める」と県の姿勢を示したことを踏まえ、自身がたびたび言及してきたルート変更の可能性について今後は主張しない考えを明らかにした。

「現行ルートでの整備を前提に取り組みを進める」との文書をリニア中央新幹線建設促進期成同盟会に送ったことを説明する川勝平太静岡県知事=29日午後、静岡県庁
「現行ルートでの整備を前提に取り組みを進める」との文書をリニア中央新幹線建設促進期成同盟会に送ったことを説明する川勝平太静岡県知事=29日午後、静岡県庁

 川勝知事はこれまで「大井川流域住民の理解が得られない」として南アルプストンネル工事の中止とルート変更の可能性にたびたび言及してきたが、今後は「(ルート変更議論を)先導することはない」と述べた。
 同盟会は3日に都内で開催した総会で、静岡工区での工事について「水資源、自然環境への回避・軽減とリニアの早期実現を両立」「地元自治体の理解を得ながら早期着工を図る」と決議した。川勝知事はこれに加え、南アルプスの生態系について議論する国の専門家会議が立ち上がったことも踏まえ、現行ルートを前提に協議する環境が整ったと判断したとみられる。
 川勝知事はルート変更について「事業者が考えることで、(県側は)言える資格も義務もない」と説明した上で「JR東海が(国の)専門家会議でルート選定(理由)についてしっかり答えられれば、何も問題ない」と強調した。
 一方で、同社が南アルプスルートを選定した過程に不透明な点があるとして、同社と同ルートを採択しリニア工事実施計画を認可した国土交通省に対し、今後も説明や情報公開を求めるとした。

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