記者コラム「清流」 情熱という財産

 富士市松野地区の史跡を住民が案内するツアーに誘われた。郷土史愛好会に素人が1人交じって話が理解できるか不安だったが、ガイド本と解説看板に助けられた。
 本と看板は、松野の風習や魅力を絵札に込めた「松野歴史かるた」の力をより引き出す狙いで住民有志が作った。
 かるたの完成から7年がたち、存在は市外に広まりつつある。まち歩きの参考になり、知識が深まると好評だ。
 成果物の完成から後続の策を怠ると世間から忘れ去られてしまう。かるたを土台に活動を広げるノウハウは市内の地域活性化の手本だ。
 住民は今も紙芝居などの新企画を練る。「魅力満載の松野をもっと広めたい」と語るメンバーの情熱はもう地域の財産だ。かるたの札に加えることをお薦めする。
 (富士支局・国本啓志郎)

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