ウクライナから4人避難 御殿場で生活始める

 ウクライナのキーウから避難したインナさん(35)ら4人が13日までに御殿場市に移り、市営住宅での生活を始めた。同日、市役所で勝又正美市長と面会し、インナさんは「山が多く、空気がきれい。ウクライナに似ている」と御殿場の印象を語った。

御殿場市に避難した(左から)マリアさん、ニキータさん、インナさんとオーラさん(右端)=市役所
御殿場市に避難した(左から)マリアさん、ニキータさん、インナさんとオーラさん(右端)=市役所

 共に避難したのは中学生の長男ニキータさん(13)、小学生の長女マリアさん(12)、めいのオーラさん(20)。市との調整に当たった太田恵美子さん(66)=東京都大田区=も面会に同席し、ニキータさんが未来を奪われるのを懸念し、核兵器のない日本への避難を強く希望したと明かした。
 勝又市長は「安心して和やかな生活を送っていただくため全面的に支援する。何でも相談してほしい」と呼び掛けた。市役所の臨時職員としての採用を検討する考えを示した。
 インナさんの知人5人も今月中に同市に避難する。

 ■「安全、ありがたい」同胞心配し涙
 ウクライナから御殿場市に避難したインナさんが13日、報道陣の取材に応じた。「安全な場所で過ごせるのはありがたい」と娘マリアさんの気持ちを紹介した。一方、「ウクライナの人のことが心配」と母国に残る同胞に思いを寄せ、時折目に涙を浮かべた。
 インナさんは英語教師やキャンプのコーディネーターをしていた。同市の乗馬クラブ「岡本ライディングクラブ」と4年前からSNSで交流があり、支援を申し出る同クラブの投稿を見たのをきっかけに、同市への避難が決まった。
 「皆さん親切で温かい」と市側の支援に感謝を示した。「御殿場の皆さんに助けていただいたので次は私が助けたい」と話した。キャリアを生かし、日本とウクライナの子どもが参加するキャンプを御殿場で開催しようと思い描く。
 息子のニキータさんとマリアさんは市内の学校に通う。ニキータさんは格闘系のスポーツに興味があり、市内のクラブに入ることを希望している。マリアさんもスポーツが好きという。
 母国では激しい戦闘が続く。国内にとどまっている教え子に対し「安全に過ごしてほしい。時間はかかるだろうが、良い方向に向かうよう祈る」と語った。

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