飲食店接客研修にVR導入 指導効率化 三島、沼津の2社開発

 静岡県東部で飲食店を経営する三島市のにしはらグループ(西原洋平社長)は今月、沼津市のソフトウエア開発会社カサリス(山本直弥社長)と連携し、VR(仮想現実)ゴーグルを活用した飲食店接客研修システム「スマート接客トレーニングVR」を開発、導入した。飲食業界の人手不足が深刻化する中、DX(デジタルトランスフォーメーション)化で指導に当たる従業員の負担軽減を図る。

VRゴーグルを装着し、仮想空間で接客を一人で実践できる研修システム=沼津市のかつ銀東椎路店
VRゴーグルを装着し、仮想空間で接客を一人で実践できる研修システム=沼津市のかつ銀東椎路店

 「一番亭」「かつ銀」「ぼて福」を運営するにしはらグループは、現場で接客を学ぶOJT方式の新入社員研修を約50~100時間かけて実施していた。しかし主力の従業員が指導に当たるため、研修中の人手不足が課題になっていた。
 開発したシステムでは、VRゴーグルを装着し、仮想空間の店舗で来店者の案内、注文など4パターンの接客応答を一人で実演できる。時間や場所を問わず何度も再現可能で、録音・録画もできるため、研修時間を約30時間に短縮できる見込み。西原社長は「属人化していた研修をDXで均質化し、離職率低下や従業員の満足度向上につなげたい」と期待する。
 カサリスの山本社長は沼津高専出身。飲食店向けのVR研修システムは国内で実例がないといい、にしはらグループ以外へのシステム提供も視野に入れる。「画像・音声分析技術を活用して、お辞儀や姿勢の採点機能を搭載するなど今後も改良を重ねる」と語る。

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