芸術通じ静高後輩にエール 木彫家前島さん、校訓テーマの大作寄贈

 日本を代表する木彫家前島秀章さん(83)が2日、母校の静岡高=静岡市葵区=が2028年に創立150周年を迎えるのを前に、「高きを仰ぐ」を意味する校訓「コウ高(こうこう)」をテーマとした作品を同校に寄贈した。「立ち止まった時、もう一度頑張ろうと思えるように」と願いを込めた作品で、同校の新たなシンボルとして玄関に飾られる。

母校の静岡高に木彫を寄贈した前島さん(右から2人目)=静岡市葵区の静岡高
母校の静岡高に木彫を寄贈した前島さん(右から2人目)=静岡市葵区の静岡高

 三保松原の羽衣伝説に登場する天女をモチーフとした高さ約2メートルの木彫が中心。天に向けられた両手などで、自らを高める校訓の意味を表現した。
 不安や悩みを持つ生徒らの心を落ち着かせ、清めるように、柔らかい表情に仕上げた。背後に雌雄の鳳凰(ほうおう)などをデザインした横幅2メートル超のレリーフを配置し、新型コロナウイルス拡大やロシアのウクライナ侵攻など不安定な社会情勢の中で命の大切さを訴えかけている。
 同校在学時には校訓の意味が理解しきれなかったと話す前島さん。人生経験を積んで「困難を乗り越えて自分を高めるのはとても難しく、大変な努力がいる」と実感し、芸術を通じて生徒らにエールを送ろうと8年前に制作を開始したという。
 同日に開かれた寄贈式で、生徒代表の山下匡隆さん(17)は「高きを仰ぎ、慈しみの心を持って学業や部活動などにまい進していきたい」と述べた。

 ※コウ高のコウ〓は卯の左部の丿を取る

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