新居弁天地区再整備 湖西市が事業者公募 滞在型観光へ道筋を【解説・主張しずおか】

 湖西市は市営プール「新居弁天わんぱくランド」の跡地と、隣接する熱帯植物園、新居弁天海浜公園を一体的に活用する観光振興策を検討している。年間を通じて観光客が訪れるよう再整備を図るが、今ある地域の観光資源や魅力を分析、再認識した上で事業を進める必要がある。

観光誘客を目指す再整備エリアに含まれる熱帯植物園=7日、湖西市新居町
観光誘客を目指す再整備エリアに含まれる熱帯植物園=7日、湖西市新居町
新居弁天地区
新居弁天地区
観光誘客を目指す再整備エリアに含まれる熱帯植物園=7日、湖西市新居町
新居弁天地区

 古くからの民宿が立ち並ぶ新居弁天地区。緑豊かで木陰が多く、そばには浜名湖の開放的な風景が広がる。複数の観光資源が集まり、市内では際立って行楽地の雰囲気を帯びたエリアになる。
 集客施設の一つだったわんぱくランドは1972年の開園以来、夏場の行楽施設として親しまれてきた。市内外からの来場者は例年約2万5千人。ただ、ウオータースライダーや階段、プールサイドの劣化を理由に昨年度閉園が決まった。市はわんぱくランドの解体に合わせ、観光誘客に向けた同地区一帯の再整備に着手した。
 同ランド跡地と合わせ、再整備の対象になった熱帯植物園は長年活用が進まず、市が木々の維持管理を行うだけ。近隣の観光施設に紛れ、目立たない存在だった。市の担当者は「土地があるだけで、市民にも公園として認識されていなかった」と説明する。
 市は民間活力を導入して活用法を検討しようと、新居弁天海浜公園も含めた土地の整備、管理運営を担う事業者の公募を6月に始めた。プロポーザル方式で募集し、来年度中の再整備を見込む。影山剛士市長は「夏場だけでなく、年間を通じて人を呼び込める地域にしたい」と意気込む。
 市内では4月、湖西市、新居町の両観光協会が合併し、湖西・新居観光協会が発足した。2010年の湖西市と新居町の合併以降も、二つの観光協会が活動を続けてきたが、統合により誘客促進や情報発信の一元化にも期待できそうだ。関係組織が一体となり、観光振興につなげてほしい。
 再整備エリアに近い観光施設「海湖館」に開設される牡蠣(かき)小屋は今年で10年を迎え、冬の風物詩として定着した。夏場は浜名湖の魚やウナギのつかみ取りなどの体験イベントも行われ、県内外の親子連れの人気を集めるが、日帰り客が多いのが実情だ。
 周辺では釣りやバーベキュー、海水浴など楽しみは多い。誘客の潜在力は十分だと認識したい。現在の観光資源と組み合わせて新たなにぎわいを創出し、滞在型観光に向けた道筋をつけられるかどうかが、再整備の鍵を握る。
 (湖西支局・大沼雄大)

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