清水伝統「灯ろうまつり」 復活願う絵500枚 地元中高生きょうだい呼びかけ 思い出の一場面、市民描く

 静岡市清水区の巴川で毎年7月に行われる「清水巴川灯ろうまつり」が、川に流した灯ろうを回収する小型船舶が確保できずに中止が続き、代わりに灯ろうを川に流す場面や出店の様子など祭りの思い出の絵を募る地元中高生きょうだいの活動が3年目を迎えている。これまでで最多の483枚が集まり、活動に理解を示す巴川沿いの工場のフェンスなどに展示している。

地域の子どもたちから今年も3年連続中止になった清水巴川灯ろうまつりの絵を集めている大多和奈秀さん(左)と弟の寛樹さん=10日、静岡市清水区入江1丁目の巴川沿い
地域の子どもたちから今年も3年連続中止になった清水巴川灯ろうまつりの絵を集めている大多和奈秀さん(左)と弟の寛樹さん=10日、静岡市清水区入江1丁目の巴川沿い


 「灯ろうまつりは地域と切り離せない行事。絵で語り継げたら」。同区入江2丁目の静岡農業高2年大多和奈秀(なお)さん(16)は話す。弟の清水第八中3年寛樹さん(14)と行ってきた活動は口づてで地域に伝わり、今年は地元の小学校や保育園、高齢者施設にも輪が広がった。
 小学生は焼き鳥などの出店、幼稚園は花火の打ち上げ、高齢者は灯ろうが川面を流れる様子…と水彩画などで描かれた絵には思いが詰まっている。今回は初年度の約5倍近くが集まった。
 灯ろうまつりは250年の歴史がある。新型コロナウイルス禍の影響で中止が続いた「清水みなと祭り」「清水七夕まつり」と並び、清水の三大祭りに数えられるが、唯一、今年も再開できなかった。清水巴川灯ろうまつり実行委員会によると、巴川の河口から流した灯ろうが海に出ないよう回収する小型船舶の船主らが高齢化するなどし、窓口となっていた組合が解散したことで十分船を確保できなかったという。
 伊東哲生委員長(68)は「大学のボート部などにも声を掛けることを考えている。清水の欠かせない風物詩であり、やめる選択肢はない」と話し、来年の再開に意欲を見せる。
 大多和さんきょうだいの活動に地域の大人たちも刺激を受けている。16日には地元の勝手連による花火大会が3年連続で企画されているほか、今年は初めてキャンドルを川沿いの堤防に並べることを予定しているという。
 絵の展示は16日まで行われる予定。絵の回収を手伝うなど勝手連に参加する黒田呉服店の西田玲子さん(69)は「子どもたちに伝統行事を伝えるため来年こそ灯ろうまつりを再開したい」と話した。
 (清水支局・坂本昌信)

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