トンガの海底噴火から半年 静岡県内から義援金、復興手助け 支援NPO「風化させない」

 170の島々からなるトンガ沖で海底噴火が発生して、15日で半年になる。首都から約300キロ離れた同国北部のババウ諸島で子どもを感染症から守ろうと学校での水環境整備活動を続けるNPO法人「VFCP(ババウ未来を作ろうプロジェクト)」(川崎市)は、静岡県などから寄せられた義援金を原資に、現地の復興支援や、児童生徒の飲料水の確保に取り組んでいる。

学校の校舎で火山灰を除去する活動は、噴火直後から始まった(VFCP提供)
学校の校舎で火山灰を除去する活動は、噴火直後から始まった(VFCP提供)
VFCPの今村和美さん
VFCPの今村和美さん
学校の校舎で火山灰を除去する活動は、噴火直後から始まった(VFCP提供)
VFCPの今村和美さん

 法人は静岡市出身の今村和美さん(44)がメンバーで、友人で法人発起人のルイ・敬子さん(44)が同諸島内に住み、実務的な支援を行っている。
 ババウは火山灰の影響が深刻で、飲用の真水を確保する雨水タンクの復旧が課題になった。噴火の報道後、本県を含め全国各地から約200万円の義援金が届き、同法人は高圧洗浄機を借りたり、人を雇用したりして、諸島内の小中学校の2割に当たる9校で、タンクに接続する雨どいや校舎の屋根に積もった灰を除去し、延べ2千人の児童生徒を助けた。
 檀家(だんか)と支援を続ける静岡市葵区の教覚寺の南荘宏前住職(67)は「遠い日本から被災者への思いを届けたい」と話す。
 「復興の本番はこれから。島外にも被害を受けたまま手付かずの島は多い」と話すのは、同法人の横山知弘理事長(52)。火山灰の流入が深刻なタンクはまだあるといい、清掃に合わせて、今後、ババウ諸島以外で津波被害が大きい島や、公的支援が届かない島も対象に含めていく。
 トンガは長らく新型コロナウイルスの感染者がいなかったが、噴火2週間後に感染が確認され、ロックダウンが復興を阻んだ。学校の洗浄活動が中断したほか、首都からの物流が途絶え、食糧難に陥った地域では窃盗事件が起きるなど治安が悪化した時期もあった。ルイさん一家は漁や狩猟で食いつないだという。同法人は日本の海運会社に掛け合い、各村に投網や、小麦粉や砂糖といった食材を害虫から守る真空パック機材を寄贈している。
 今村さんは「支援に感謝している。噴火の記憶を風化させないため、現地の様子を伝えていきたい」と話す。
 (社会部・大須賀伸江)

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