客に“ささげる”即興詩 詩人・さとう三千魚さん 静岡で新感覚ライブ
現代詩のウェブサイト「浜風文庫」を主宰する詩人さとう三千魚[みちお]さん(静岡市駿河区)が3日、同市葵区の古書店「水曜文庫」で、来店客に詩を作るパフォーマンス「無一物野郎[むいちぶつやろう]の詩、乃至[ないし] 無詩[むし]!」を行った。
同店では5月に続く2回目。創作を希望する客に好きな花の名と詩のタイトルを尋ね、そこから想を得た詩をその場で編み出す。スマートフォンに文字を連ね、プリントアウトして目の前の客に渡す。新しい形の「現代詩ライブ」だ。
これまで、希望した12人に詩を書いた。報酬は投げ銭形式で受け取る。花の名をリョウブ、タイトルを「透明なアクリル板」とした会社員増田早希さん(掛川市)は、出来たての即興詩を手に「自分のためだけに詩を書いてもらうのは初めて」と顔をほころばせた。
さとうさんは、新型コロナウイルス禍やロシアによるウクライナ侵攻などを契機に一変した世界に直面し、リアルな言葉を取り戻す必要性を痛感したという。「詩を書いて地べたから人にささげる」行為が、その端緒となればと願う。
8月以降は、JR静岡駅北口で毎月第1日曜に実施予定。
(文化生活部・橋爪充)