口腔ケアと疾患 国保データ活用、相関関係を分析 静岡県

 静岡県は本年度、静岡社会健康医学大学院大学(静岡市葵区)と協働し、特定健診や医療、介護の情報を保管する国保データベース(KDB)を活用して、歯科や口腔(こうくう)ケアに関する医療提供体制の分析に乗り出す。口腔ケアが糖尿病の重症化や誤嚥(ごえん)性肺炎などの予防につながるなど医療、介護とも密接な関わりを持つ中で、健康寿命の延伸に向けて実効性のある施策の展開や地域医療の「多職種連携」を図る。県によると、同様の取り組みは全国初。

KDB分析イメージ
KDB分析イメージ

 県が静岡社会健康医学大学院大学にデータ分析を委託する。分析は、市町ごとの糖尿病患者の歯科受診率や特定健診でそしゃく不良と回答した人の歯科受診率などを想定。8月予定のワーキンググループで具体的な内容を協議する。
 県によると、KDBの特定健診、国保医療、介護保険の各データは連携しておらず、行政は分析の知見がないこともあってそれぞれの情報しか把握できなかった。そのため歯科、医療、介護の多職種連携が取りづらく、予防できた可能性のある糖尿病患者の重症化や在宅患者の誤嚥性肺炎などが発生していた。
 県は「データ分析によって地域内の(多職種)連携の状況や施策の効果が見えてくる。各市町の課題を効果的な事業につなげられれば」(健康増進課)と強調。県歯科医師会の大内仁之専務理事は、歯科医療の重要性がこれまで以上に示されることに期待を寄せ、「より自信を持って患者に保健指導ができるようになる」と話す。
 (社会部・佐野由香利)

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