旧幕臣の歩み語る 小説家渡辺房男さん講演 静岡

 現在の静岡市葵区にあった静岡学問所で教えた米国人教師エドワード・ウォレン・クラーク(1849~1907年)を顕彰する事業の実行委員会(委員長・今野喜和人静岡大名誉教授)は23日、歴史小説家渡辺房男さん(78)を招いた講演会を静岡市葵区のアイセル21で開いた。渡辺さんは、クラークと同時代を生きた旧幕臣たちの歩みを語った。

明治維新後の県内の状況について語る渡辺さん=静岡市葵区のアイセル21
明治維新後の県内の状況について語る渡辺さん=静岡市葵区のアイセル21

 明治維新後に静岡に移った旧幕臣1万5千人のうち、窮乏した約300人が牧之原で茶畑の開墾を担った経過をたどった。旧幕臣の子孫の居宅でやりを見つけた自身の経験から「彼らは武士の魂を忘れずに生き抜いたのだろう」と推察した。
 NHK職員時代の1980年にクラークが主題の番組を制作した渡辺さんは「クラークは静岡に理化学をもたらした優れた先生」と評価。明治5(1872)年に発行された明治政府が雇った外国人の名簿を参照した。「各国出身の164人の名があったが、(現在の)静岡県に来ていたのはクラーク1人だった」と紹介した。
 約80人が聴講した。渡辺さんは「こうした顕彰の動きがあることは驚きだ。クラークの存在の大きさをひしひしと感じている」と感想を述べた。

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