亡き父思い 5年分の毛髪寄付 湖西の森さん「役に立ちたい」

 湖西市白須賀のパート森千晴さん(30)がこのほど、医療用ウィッグ(かつら)に使用する髪の毛を提供する活動「ヘアドネーション」を行った。がんで亡くなった父親への思いから、5年間伸ばした髪を切って寄付した。

寄付するためにカットした髪を手にする森さん=湖西市古見の「たむたむ」
寄付するためにカットした髪を手にする森さん=湖西市古見の「たむたむ」

 5年前、森さんはショートカットにした際「長い髪を捨てるのはもったいないね」と美容師から言われた。活用法がないかを調べる中で、ヘアドネーションを知ったという。
 父の幹晴さんは、森さんが小学6年生だった2004年に胃がんで亡くなった。41歳だった。森さんには「抗がん剤投与などで頭髪を失ってしまう人の役に立ちたい」との思いがあった。
 25歳の夏から髪を伸ばし始め、30歳の節目で切ろうと手入れを続けてきた。7月、湖西市古見の美容室「たむたむ」を訪れ、カットに臨んだ。長さ約55センチのカットされた髪を見た森さんは「こんなに長かったんだ」と感慨深げにつぶやいた。
 同美容室によると、店では年間20~30人ほどのヘアドネーション参加者がいて、近年認知度は上がっているという。
 森さんはNPO法人「ジャパン・ヘアドネーション・アンド・チャリティー」(大阪市)に髪を送った。「その人の髪として使ってもらいたい。髪を縛るなど、少しでも誰かの楽しみにつながれば」と願った。

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