記者コラム「清流」 知らない番号 詐欺の恐れも

 「孫から小遣いが欲しいと電話があったので銀行で100万円下ろす。孫の声とは違った気がしたけど」。静岡市駿河区の高齢女性はタクシーに乗り、運転手にそう話した。
 女性は自宅に現れた男に「孫に渡してほしい」と、現金と共に菓子も手渡した。運転手の通報で男は逮捕されたが、被害者だけでなく家族の怒りや悲しみはすぐには消えない。記者としては詐欺の手口を正確に伝えて被害を身近なことと感じてもらい、被害を一件でも食い止めたい。
 県内の6月末までの特殊詐欺被害額は約3億8000万円(速報値)に上る。高齢者は孫や息子をかたられ、助けを求められると平常心を失いがちだ。詐欺の始まりは自宅への1本の電話。最大の防衛策として「知らない番号には出ないこと」を徹底してほしい。
 (社会部・崎山美穂)

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