移動販売車「共存」へ 磐田市、社協、事業者がスクラム 

 磐田市と市社会福祉協議会は、市内で食料品や日用品の移動販売車を営業する事業者の連携体制づくりに乗り出した。地域の高齢者ら買い物弱者を支援する“社会資源”と位置付け、「競合」ではなく「共存」の関係を模索する。運行ルート・スケジュールが重複しないよう情報共有するなど、行政、福祉、事業者がスクラムを組み、持続可能な買い物支援を目指していく。

磐田市内で営業する移動販売事業者が集まった情報交換会=同市のiプラザ
磐田市内で営業する移動販売事業者が集まった情報交換会=同市のiプラザ

 市はこのほど、各事業者の「顔の見える関係」をつくろうと、移動販売車の情報交換会を市総合健康福祉会館iプラザで初開催した。4事業者が参加し、販売場所や日時などの情報を集約した。市や社協に対し「買い物に困っている市民の情報を教えてほしい」との要望も上がった。
 市内では、今年3月以降に3事業者が参入するなど、移動販売車の営業が増えている。一方で、販売地域の重複など競争激化も懸念される。6月下旬に運行を始めたJA遠州中央営農企画課の高塚朋宣課長代理は「まだ収益的に厳しい状況だが、ニーズを同業者で奪い合っては、本来の生活支援の目的にはそぐわなくなる」と連携の必要性を強調する。
 市と社協は今後も情報交換会を定期的に開く方針。近くに商店がなく買い物に困っている地域や福祉施設など潜在的な需要を掘り起こし、各事業者とのマッチングを図る。営業の重複を避けるよう調整し、効率的、継続的な事業展開につなげる。地域包括支援センターなどを通じた運行スケジュールの周知も検討している。
 市高齢者支援課は、移動販売が地域コミュニティーの交流促進や高齢者の見守り強化にも効果があると期待する。担当者は「移動販売車は高齢者の生きがいや暮らしの安心につながる。事業者が協調することでそれぞれの収益性を高め、移動販売を長く続けてもらえるようにしたい」としている。
 (磐田支局・八木敬介)

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