磐田・見付天神裸祭、神輿担ぎ再開 感染防止策を検証実験

 「天下の奇祭」と呼ばれる磐田市見付の矢奈比売(やなひめ)神社の国指定重要無形民俗文化財「見付天神裸祭」の保存会は今夏、新型コロナウイルスの影響で実施を見送ってきた、神輿(みこし)が町内をめぐる渡御、還御を3年ぶりに再開する方針を決めた。感染対策を講じた検証実験を実施し、感染防止と伝統の継承を両立できると判断した。

感染対策を講じた神輿渡御、還御の検証実験を行う祭典関係者ら=6月下旬、磐田市見付の矢奈比売神社
感染対策を講じた神輿渡御、還御の検証実験を行う祭典関係者ら=6月下旬、磐田市見付の矢奈比売神社

 渡御、還御を担う権現町裸まつり保存会のメンバーらが6月下旬、神社境内で検証実験を行った。通常は交代要員を含め約40人の担ぎ手の人数を減らして対人距離を確保できるか確認したり、タイムスケジュール通りに移動できるか時間を計測したりした。
 祭りは28日から9月4日まで無観客で実施する。男衆が拝殿で激しくもみ合う、祭りの見どころ「鬼踊り」は中止するものの、検証の結果、神輿は交代要員を含め40人以上の人員を確保して行う。担ぎ手は掛け声を発さず、マスクの着用も検討する。氏子らが海岸で身を清める「浜垢離(はまごり)」や海水と砂で境内を清める「御池(みいけ)の清祓(きよはらい)」も復活させる。
 検証の中心役を担った乾聡志さん(48)は「実際に現場や現物でやってみないとわからないことがある。検証データが残せたのは大きい」と話す。
 見付天神裸祭保存会はコロナ禍以降、例年通りの祭りを取り戻すため、各行事で社会的距離の確保や人数制限をする感染対策を盛り込んだ実施要項づくりに取り組んできた。中山正典会長(64)は「コロナ禍以前の祭りを今後、完全復活させるため、今できることを検討してきた。常に変化する感染状況に即した祭典にしていく」と力を込める。

 <メモ>見付天神裸祭 祭神「矢奈比売命」をもてなすために町を巡り、矢奈比売神社から遠江国総社の淡海国玉神社間で行う神輿渡御、還御に合わせ、上半身裸で腰みの姿の男衆による鬼踊りをはじめとする祭事を営む。見付天神裸祭保存会によると、起源は諸説あり、700年以上前に始まったとされる。2020年以降、新型コロナ禍で矢奈比売神社例祭などの行事のみ縮小して実施してきた。

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