全病室に無料Wi-Fi 100床超医療機関の17% 静岡県内まだまだ 遠隔面会、授業参加望む声

 一般病床が100床以上ある静岡県内の入院救急医療機関のうち、インターネットを無料で使用できるWi-Fi(ワイファイ)を全ての入院患者向けに整備しているのは17%にとどまることが、18日までの取材で分かった。新型コロナウイルスの感染防止対策の制約が多くの施設で続く中、病院関係者からもオンライン面会や子どもの遠隔授業参加などができるように、ネット環境の改善を求める声が上がっている。

一般病床が100床以上ある県内入院救急医療機関の入院患者向けWi-Fi整備状況
一般病床が100床以上ある県内入院救急医療機関の入院患者向けWi-Fi整備状況

 対象とした県内47の医療機関に7~8月に取材し、46施設から回答を得た。入院患者の全病室にWi-Fiを整備しているのは東部1、中部6、西部1の計8施設で、個室など一部の病床に設ける医療機関を加えると計13施設(28%)。通院患者向けには14病院(30%、部分整備を含む)に設けられている。
 導入に消極的な理由として、県中部の総合病院の担当者は「膨大な設置費用が必要になる」、県東部の民間病院の担当者は「個人データ流出などセキュリティーに不安が残る」などと課題を挙げる。
 県立こども病院(静岡市葵区)は8月下旬、患者や家族が利用できるWi-Fiを全ての病棟に整備する予定。副院長の河村秀樹医師は「部屋から出ることができない無菌室に入院する子どもが学校の授業をオンラインで受けることが可能になる。友達との交流にも使える」と期待し、「治療の妨げにならないよう、外来、入院、救急のエリアごとに使用時間の制限を設けるなど運用面も十分検討したい」と話す。
 静岡赤十字病院(同区)の臼井洋介医師は精神治療の観点から、ネット環境の必要性を訴える。意識障害の一種で認知機能の低下などを引き起こす「せん妄」状態の患者は家族と顔を合わせることで症状が和らぎ、情緒を安定させる効果があるという。「面会制限が2年近く続くため、通信環境を整えて患者さんが自宅に近い状態で治療が受けられるようにしたい」と希望する。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞